2024年11月19日火曜日

双頭のヘルメット:SHOEIの第86期

グリーンバーグたちはフレディ・マック(Federal Home Loan Mortgage Corporation)とファニィ・メイ(Federal National Mortgage Association)に見られるような、「複占」が気に入っている。そこでは二社が熾烈な競争をするということがなく、そして特に価格競争はせず、それぞれが高い資本利益率を維持している。

ブルース・グリーンウォルド他・著 『バリュー投資入門』 日本経済新聞社

FY25第二四半期末時点でのThe 3rd Man's  Fundの中堅どころに位置する、モーターサイクル用プレミアムヘルメット・メーカー、株式会社SHOEI(7839)の第86期の決算が出ましたのでクイックにレビューします。



2024年11月1日金曜日

FY2025 第二四半期レポート -02/40- 

Put simply: average companies do not do scale economics shared.

Annual Letter, For the period ended June 30th, 2009, The Nomad Investment Partnership


7/12以降のFY25第二四半期は、夏休みから初秋にかけて比較的アクティブに活動する期間にあたり、海水浴を兼ねたオートキャンプ2回、近畿地方の実家に帰省し川遊び、阿佐ヶ谷の七夕祭り、長野・山形の山々でのトレッキング、子供たちの運動会等々、それなりに充実したひと時を過ごしました。

キャンプ中にカブトムシやクワガタムシを捕まえたことがきっかけでムスコ(6)と私の本能に火が付き、田舎への帰省時には裏山へ、それから在宅勤務後の黄昏時にブラブラ歩いて行ける近所の雑木林(ネットに載っていない穴場)へ、ちょくちょく昆虫採集に出かけたりしました。

木立の中での考察・・・樹液を出し続ける樹にはその蜜を求めて、カブトムシやクワガタ、カナブンを筆頭に多くの昆虫が集まる。その昆虫を追ってムスコや私のような輩も嬉々としてやってくる。これは蜜が出続ける限り毎年繰り返される光景である。

"金のなる木"という表現がありますが、そんなものは存在しない。あるのは"みんながあつまる木"なのである。

みんなが集えば、豊かさが循環するエコシステムが形成される。投資先を選定する際には、対象先企業に“みんなが(嬉々として)あつまる木”という画がイメージできるか否かを判断の基準にすればいい。

みんな」には顧客・消費者はもちろんのこと、経営陣、従業員、供給業者や協力会社、株主も含まれる。さらには銀行をはじめとする金融機関や、社外取締役(昨年のKeePer技研でいい例がありましたね、たまに総会に出るのもよいことだ)も。

ういう企業は"scale economics shared"を擁するExtraordinaryな存在になり、投資に対する見返りもExtraordinaryなものになるのではないか。

けっして私が株)日立製作所(6501)の株主だから言っているわけではない・・・

Singing...このーき・なんのき・きになるき・みんながあつまるきですから♪

2年前、東高根森林公園にて。ここは気楽に行けるほど近所ではないが、カブトムシはいるらしい。

2024年10月25日金曜日

何が株価を形成するのか

「そうむきになるなよ」と私は言った。「女たちだってただの人間なんだ。汗もかけば、体も汚れるし、洗面所にだって行く。君は何を求めているんだ。バラ色のもやの中をあでやかに飛ぶ黄金の蝶々か?」

レイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』 村上春樹・訳 早川書房

現在の私のメインの投資活動は、投資信託の積み立て投資です。『Next 10 years 第二部 -  敗者のゲーム -』で書いたように、その目的は子供たちの教育資金、及び家内と私の引退後の生活費を準備することです。投資信託はアクティブ・インデックスの両タイプに積み立てています。アクティブに関しては、あまり結果やポートフォリオの中身は気にせず(ホントかよ?)、どちらかというと運用レポートを読むことのほうに興味をひかれています。

基本的には現在の日本レベルの資本・民主主義が保たれていれば(社会主義的資本主義とか揶揄されてはいますが)、長期で株式の投資信託を保有していると悪くない結果になるだろうと達観しているので、アクティブだろうとインデックスだろうと成績にそこまでこだわりはありません。

2024年8月29日木曜日

優良企業をつくる問い ‐ Nomad Investment Partnershipのレターと『ユニクロ』を読んで ‐

あらゆる疑問は、煎じ詰めれば、たったひとつの疑問にたどりつく。“その存在意義はなにか?”だ。

フランク・ハーバート 『デューン 砂漠の救世主』 酒井昭伸・訳 ハヤカワ文庫

日米の各企業、ならびにファンドは定期的にレポートを作成します。アニュアルレポート、有価証券報告書、決算説明会資料、マンスリーレポート等々。それらのなかでダントツで面白かったのは、かつてのRollins, Inc. (ROL)のアニュアルレポートならびにプレゼン資料でした。

なんせ紙面が人類に友好的な虫だらけでしたからね。アレ、生理的にダメな人は読めなかったと思います。それがここ最近はすっかりマトモになってしまって、ただでさえつまらない世の中がさらにつまらなくなっています。S&P500に採用されてしまうってのも考え物ですな。

そんな中、ROLとは違った意味で面白いのがNick SleepさんとQaiz ZakariaさんのNomad Investment PartnershipによるLetters to Partnersです。

2024年8月24日土曜日

カジノにおける長期投資Big Shotsの動向 -2024年2nd Q-

We are comfortable outside the normal

-  Founder's video, DISCIPLINED GROWTH INVESTORS


2024年4月の日経新聞朝刊に、日本における投信の平均保有期間が2.9年になったとの記事がありました。10年前に比べて1年近く伸びたそうです。(『投資信託の保有期間、長期化傾向が定着』) 個人的にはよいことだと思います。やはり投信というものは、資産の一部として長期で保有すべきものであると考えます。

ただしその投信(インデックスを含め)の中身が目まぐるしく回転しているようだとどうでしょう。知らず知らずのうちにカジノでのギャンブラーになってしまっているかもしれません。米国での話になりますが、『The Decline of Long-Term Investing』によると、1950年代の株式平均保有ピリオドはピーク時に8年に達していたのが、2020年6月時点ではわずか5.5か月になってしまっているとのことです。

こりゃカジノで酔っ払って踊らされているようなものですね。千鳥足の人々が増えると、先だっての日本株式市場におけるルーレットのような株価の回転を見てぶっ倒れてしまう人が出てきます。んなところで寝そべっていたら、身ぐるみ剥がされますぜ。

さて、各大物ファンドマネジャー(Big Shot)の2024年の2nd Qの株式ポートフォリオが公開されました。たてまえは余興、実は虎視眈々と投資先の開拓を狙って、厳選・長期の腰の据わった株式投資を行っているんじゃないかなあと思われるBig Shotsの動向をチェックしてみたいと思います。

飲みすぎの方は、どうぞお引き取りを。

2024年8月16日金曜日

カジノにおける長期投資Big Shotsの動向 ‐ 新メンバー -

趣味+若干のスケベ心でやっております各大物ファンドマネジャー(Big Shots)の株式ポートフォリオの確認ですが、2024年の2nd Qが公開されています。さっそくレビューをしたいところですが、1st Qのメンバーに以下の通り2つ追加することにしたので、どういうファンドか、ちょっと紹介をしておこうと思います。

  1. DISCIPLINED GROWTH INVESTORS (DGI)
  2. WEDGEWOOD PARTNERS

DISCIPLINED GROWTH INVESTORSは『一流投資家が人生で一番大切にしていること』(ウィリアム・グリーン著、依田光江・訳、早川書房)で紹介されていた、元海軍将校のフレッド・マーティンが率いるファンド(というより運用会社といったほうが正確かな)です。

2024年8月4日日曜日

ポートフォリオは円(グラフ)で見よ ーNVICの米国厳選投資編 第7期ー

暑い日が続きます。今年も2月あたりから夏に備えてけっこうランニングをやって汗をかいてきたんですけどね、先月ムスコ(6)に手足口病をうつされて出鼻をくじかれた。あれ、大人がかかると結構しんどいです。

夏のイベントはしばらく小休止ですが(逆に仕事が忙しくなる)、後半から秋口にかけてはまたキャンプやら旅行やらがあるので、しっかりと体調は整えておきたい。



2024年7月15日月曜日

FY2025 第一四半期レポート -01/40-

I don't think we're asking the right question. I think the question we should be asking is...do you believe in this thing or not.

映画『Moneyball』

ここ最近疲れたときは、先だってNHK BSで放映していた映画『Moneyball』の録画を観ています。DVDも持っていたのですが、まだ小さかった頃のムスメ(現在9歳)が私の目を盗んで円盤投げの道具としてポイポイした結果、傷だらけになり観られなくなってしまっていました。

さすがはNHK。私はひきつづき律義に受信料を支払う、良き視聴者であり続けます。

この映画に登場するのは魅力的なキャラクターばかりですが、やはりアート・ハウ監督を演じる名優フィリップ・シーモア・ホフマンがいい味出していますね。

さて、次の10年の第一回目の四半期が終了しました。本来であれば7月末で終了なのですが、これから夏休みシーズンで週末はいろいろ予定が入っているので、7/12で締めます。

2024年6月28日金曜日

ドラフト候補の調査 FY25 Q1

Our best protection against getting swayed by a false positive - a stock price fluctuation that makes a lousy business look better than it is - is the question we pose for every investment: Do we want to be permanent owners of this business?  Are we absolutely sure that we are willing to live with it permanently?  Are we willing never to sell it? 

Pulak Prasad 『What I Learned About Investing From Darwin』Columbia Business School Publishing

今年の梅雨入りはかなり遅かったですが、私の住んでいる地方ではまだ梅雨空と言えるほどの天気になっていません。子供の保育園の送り迎え等を考慮するとそのほうがよく、特に薄暮の下、缶ビール片手に小一時間くらいかけてムスコ(5)と一緒に寄り道しながらブラブラ帰宅するのはとても楽しいものではありますが、降らなければ降らないで物足りないところではあります。

九州とかで線状降水帯が発生、みたいなニュースが耳に入ってきたりしますが・・・雨の多寡ってKeePer技研のビジネスにどれだけ影響するのだろうか。雨が降ったらキレイになるコーティングというふうに謳っているので、逆に降らないとユーザーから物足りなく思われたりするのだろうか。それともやはり天気がいいほうが客足が伸びるのだろうか。どうなのだろう。


2024年6月7日金曜日

私に残されたパンチの機会

I've told students if when they got out of school, they got a punch card with 20 punches on it, and that's all the investment decisions they got to make in their entire life. They would get very rich because they would think very hard about each one and then you don't need 20 right decisions to get very rich.  You know 4 or 5 will probably do it overtime.

        - Warren Buffet  




希代の投資家ウォーレン・バフェット氏は、若者へのアドバイスとして、人生通して投資の意思決定を20回までに限るようアドバイスをしています。そうすればよくよく考えるだろうから、よい結果になるであろうと。

そのうえで2割5分くらいの確率でよい決断を下せたら、それで十分であろうとも。

2024年5月31日金曜日

ポートフォリオは円で見よ ースパークス・新・国際優良日本株ファンド 第16期ー

 “長期”を一カ月の期間で定義するマーケットとは違って、ビジネスの根本的な優位性に注目するのだ

by 阿部修平、Roald W.Chan 『価値の探究者たち』 山本御稔・小林真知子・訳 きんざい 


ムスコ(5歳)がここ数日すこし高めの体温が続いていて、大事をとって保育園を休んでいます。しかし元気で、在宅勤務中の私の気を引こうと、あの手この手で仕事の邪魔をしてきます。ま、それはよかったんですが・・・

夜、ワイルド・ワイフ(家内)と私が医者に連れて行くかどうかを相談していると、部屋の片隅でそれを聞いていたムスコの顔が一瞬ピクッとひきつったのが気になってはいたのです。

翌日の昼前、ムスコがやたらハイテンションになり、部屋をよろつきながら駆け回ってあっちこっちにアタマをぶつけ、挙句の果てに朝食を吐き出し、目が回るぅー、パパが二つに見えるぅーと呻いたかと思うと、自分で布団を持ち出してきて、ぐーぐー寝始めました。

なんかおかしい・・・そういえば朝、水を入れたコップをもってそそくさと子供部屋に駆け込んでいたな・・・怪しいぞ、と思い捜索してみると、机の下に家内が昔服用していた漢方系の睡眠薬錠剤の容器の殻が転がっていました。

察するに、注射を恐れたムスコがなんとか病院行きを回避しようと、意を決して自己治療を試みたらしい。

さすがに慌てましたが、近所の小児科はすべて休みだったのと、昼寝から起きたムスコがすっかり元通りに元気(相変わらず体温は高い)なので、そのまま様子を見ることにしました。

一晩明けて、念のため保育園は休みましたが、もう暇を持て余しまくっていて、手伝いに来た祖母を連れてカタツムリ取りに出かけております。ま、大事なくて何より。皆様におかれましては、もし小さなお子様がいらっしゃる場合は、薬の管理は厳重にしておきましょう😂

2024年5月20日月曜日

脱「昭和」のススメと、私の理想郷

Zack and I don't want to be busy; we want to be right.

Annual Letter, For the period ended December 31, 2008, The Nomad Investment Partnership


静を守りて而る後に、動を好むの労に過ぐるを知る。黙を養いて而る後に、言多きの躁為るを知る。

『菜根譚』 洪自誠


最近『Next 10 years 第二部 -  敗者のゲーム -』でも確認しましたが、私は現在以下の投資信託を積み立てています。

NISA積み立て投資枠

  • 楽天・S&P500インデックス・ファンド 
  • コモンズ30 
  • 農林中金<パートナーズ>長期厳選投資おおぶね 

NISA成長投資枠

  • スパークス・新・国際優良ファンド 

2024年5月17日金曜日

カジノにおける長期投資Big Shotsの動向 -2024年Q1-

And you wanna be a big shot
You wanna be the big man
You wanna hold a big gun
You gotta have a quick hand
You wanna be the big shot now
The chosen one your mother loved the most
After all

The Lumineers『BIG SHOT』

各大物ファンドマネジャー(Big Shot)の2024年のQ1の株式ポートフォリオが公開されました。たてまえは余興、実は虎視眈々と投資先の開拓を狙って、比較的に厳選・長期株式投資を行っているんじゃないかなあと思われるBig Shotsの動向をチェックしてみたいと思います。

そのまえに・・・ほかの人々の株式ポートフォリオは決して冷やかしで覗いてはいけません。そこに至るまでの苦難に満ちた道程に敬意を表さなければなりません。各ファンドマネジャー、および個々人にとって、出来上がったポートフォリオは、

The only son we love, after all...

のようなものなのです。

まずはThe Lumineersの涙なしでは聴けない名曲で心を律し、姿勢を整えましょう。


2024年5月2日木曜日

Next 10 years 第二部 -  敗者のゲーム -

 

僕はそれなりに年を取ったのだし、時間は取り分を取っていく。誰のせいでもない。それがゲームのルールなのだ。

村上春樹 『走ることについて語るときに僕の語ること』 文藝春秋

 

You just keep doing it.  And that's what investing is.

- Jason Karp 

William Green 『RICHER, WISER, HAPPIER』 SCRIBNER


第一部より続く。

私生活では、ムスメが小4、ムスコが保育園の最終年になりました。教育以外はだいぶん手がかからなくなりつつあるのですが、ムスメが思春期に突入するまでの束の間の小休止といったところでしょうか。

昨年度は、ムスメは週の半分は友人たちと家や公園で遊び、残り半分は一人で絵をかいたり工作をしたりして、バランスよく時間を配分していました。今年度になって中学受験を意識した塾に通い出し、友人たちも同じくいろいろ習い事があるようで、以前のように一緒に遊ぶことが難しくなっているようです。

ムスコはビビりな性格で、いまだに鉄棒や雲梯に近寄ろうとせず(姉と大違いである)、トモダチや保育士さんたちには雄弁に危険生物をやっつける方法のウンチクを語るのですが、いざ動物園で猛獣類のオリの前に来ると、真顔になってそそくさと駆け抜けて安全域を確保します。ただ自転車は頑張ってトライしていて、残る課題は漕ぎ出しとブレーキだけです。これが終われば、私も体力的に楽になるので、あとひと踏ん張り。



2024年5月1日水曜日

Next 10 years 第一部 -  定雲止水のPortfolio -

 

 本来的な意味での株式投資とは、持続的な価値を創造することができる企業を見極め、お金を預けることで、自らの代わりに継続的に価値を増やしてもらうという資本家・オーナーとしての発想であり、この発想は資本主義の根幹を成すものです。

川北英隆/奥野一成 編集 『いま日本を代表する経営者が考えていること』 ダイヤモンド社

 

We buy never to sell.

Pulak Prasad 『What I Learned About Investing From Darwin』Columbia Business School Publishing


The 3rd Man's  FundのInceptionから、この4月末で丸10年を迎えました。『次の10年に向けての雑文(1) ーカタリストとしての株式投資ーで書いた通り、今後は5月をThe 3rd Man's  Fundの年度の始まりとします。

では、新たなシーズンの始まりにあたり、現時点での立ち位置を確認します。

まずはCode of Conduct。昨年末に完成し、一月より試運転。プレ・シーズン中に若干のストライクゾーンの修正(あと、ROCEが左→右で大きくなるようグラフを作図し直した)を行いましたが、今後はこれで行きます。

当ブログを始めた2014年のころは、ろくに財務諸表、アニュアルレポート、有価証券報告書等々の読み方すらわかっていませんでした。営業利益と純利益の違いも分かっていなかったですね。おまけに当時は先の金融危機(リーマン・ブラザーズがあおりをくって破綻したやつ)の記憶が生々しく残っていたこともあり、ひたすら連続増配、ならびに生活必需を中心とした株価的にディフェンシブ(私の体験では、中で働いている人は必要以上にオフェンシブ)と言われる銘柄を追いかけていました。

いまでは一次資料を読んで、自分なりの解釈・判断を下せるようになっています・・・正しいかどうかは別として。そして、それらから読み取る「各企業が世に提供する価値」を見極めて投資することに意義を感じるスタイルに変わっています。価値(勝ち)続けるであろう企業だけを厳選し、いつまでもその株式を保有し続けて、オーナーとしてのステータスをゆったりと味わいたい。

売却して利益を得るために株式を購入するのではなく、保有するために購入するのです。

もちろん投資ですので、私が投下した資本が回収できるかどうかについても冷徹に目を配っていることは言うまでもありません。自分の判断の誤りに気付いたら、躊躇なくその株式を手放します。きっとそのようなケースも、今後いくつか出てくるでしょう。未来は本質的に不確実ですが、一つだけ確実に言えるのは、「私は間違い続ける」ということです。

それを踏まえたうえで、新規であれ追加であれ株式を獲得する場合は、

2024年3月18日月曜日

スパイスのない人生なんて 9 - MKCとLSTR-


My planet, Arrakis, is so beautiful when the sun is low. Rolling over the sands… you can see spice in the air.

映画『Dune』


フランク・ハーバート原作の『Dune』は壮大な叙事詩であり、SiFi(アメリカ人はエス・エフではなくサイ・ファイと言います)の金字塔です。息子のブライアン・ハーバートによると、アイザック・アシモフ、アーサー・C・クラーク、ロバート・A・ハインライン、レイ・ブラッドベリ等々によるハードカバー版SF作品が全米ベストセラーに名を連ねるようになったのは、〈Dune〉シリーズが大成功を収めたのちのことなんだそうです。(『砂漠の砂丘たち〔新訳版〕』酒井昭伸・訳 ハヤカワ文庫 序文より)

つまり『Dune』がSiFiを文学的にまともなジャンルのひとつにした、といっても過言ではないですね。それまでは一部の物好きによって廉価ペーパーバックが読み捨てられるGeekな娯楽とみなされていたんでしょう。

その壮大な物語は、砂の惑星アラキスでとれる特殊なスパイスを巡る骨肉の闘争記、とも言えます。人類にとってスパイスとは、はるか未来の宇宙の彼方にまで大きな影響を及ぼす存在なのです。ま、『Dune』の場合、スパイスというよりはドラッグといったほうがいい感じがしますが・・・

2024年3月15日金曜日

2月後半の振り返り

保有している米国株式のうちの3社から、2月後半に第四四半期および2023年度の決算が発表されました。すべて米国の住宅関連になります。 

ご存じの通り米国での住宅ローン金利は高止まりしていて、とくに中古住宅の需給はよろしくありません。中古住宅販売件数は先の金融危機時(リーマンブラザーズが破綻したやつです)の大底レベルに近い水準とのことで、これからレビューする3社にとっては逆風が吹いています。

2024年3月5日火曜日

カジノにおける長期投資Big Shotsの動向 -2023年Q4-

Though the stock market is massively larger than it was in our early years, today’s active participants are neither more emotionally stable nor better taught than when I was in school. For whatever reasons, markets now exhibit far more casino-like behavior than they did when I was young. The casino now resides in many homes and daily tempts the occupants.

SHAREHOLDER LETTES 2023, BERKSHIRE HATHAWAY INC.


Listen to me very carefully.  There are three ways of doing things around here.  The right way, the wrong way, and the way I do it.  You understand?

映画『カジノ』、ロバート・デ・ニーロ演じるSam 'ACE' Rothsteinのセリフ


最近発行されたバークシャー・ハサウェイの2023年度版のレターを読んでいたら、映画『カジノ』を観たくなりました。私はとくに『グッドフェローズ』に代表されるスコセッシ監督の映画のグダグダ感が大好きで、そういった意味で『カジノ』も興味津々だったのですが、日本で公開されたのが私が社会人になったばかりの1995年。金銭的にも精神的にも劇場に足を運ぶ余裕がなく、そのまますっかり観そびれていました。

2024年2月19日月曜日

2月前半の振り返りとストライクゾーンの修正

保有している米国株式のうちの4社から今月前半に第四四半期および2023年度の決算が発表されました。すこし振り返っておきます。が・・・ 

その前に『打率8割の投資家の勝率』でTypeIエラーを減らせ!と書いたばかりにもかかわらず、一部ストライクゾーンでバットを振ってもいいエリアを上方に修正しましたので報告しておきます。舌の根も乾かないうちに・・・というのは私の得意技。 

詳しくは投資方針のページに記載していますが、右打者であると仮定すると、内角高めにヒッティングエリアを拡大しています。内角は過去10年間のROCEの中央値が35以上であり、さすがにこのあたりの数字をたたき出している企業の株式のPERは過去をさかのぼって調べても常に高いので、エリアを高めに修正しています。

ROCEの35以上の企業ってのは大抵の場合、バフェット氏が言うところの「島に一つだけかかる橋を所有しているような事業」を行っており、なおかつ投資対象企業はDebt/Equityが0.3以下に絞っているので、獲得時のPERが高くても致命的なリスクは避けられるだろうという判断です。

2024年2月16日金曜日

打率8割の投資家の勝率

  マーケットで生き残ることは、戦場で生き残ることと本質的に同じことだ。できるだけ損失を出さないようにして生き残ることさえできれば、結果的にいくらかの財産ができているものさ

by ウォルター・シュロス、Roald W.Chan 『価値の探究者たち』 山本御稔・小林真知子・訳 きんざい

 

進化のカジノで使われる通貨は生存である。

リチャード・ドーキンス 『利己的な遺伝子』 日高敏隆・岸由二・羽田節子・垂水雄二・訳 紀伊國屋書店


私にとって投資関連のザ・マスターピースと言える本、インド株式を運用するNalanda Capitalの創始者Pulak Prasad氏(以下敬意をこめて師匠Pと呼ぶ)による『WHAT I LEARNED ABOUT INVESTING FROM DARWIN』は3つのセクションで構成されていますが、それぞれに


  1. Avoid big risks.  
  2. Buy high quality at a fair price
  3. Don't be lazy - be very lazy 


とタイトルがつけられてあるように、まずは(損をする)リスクを最小限にとどめることに重きが置かれています。しかし人間、いやもとっと範囲を広げると、生きとし生けるものすべてが、リスクを広げてしまうエラーを犯す存在でもあります。

2024年2月2日金曜日

1月の振り返り

Struck me kinda funny
Seemed kinda funny sir to me
Still at the end of every hard day
People find some reason to believe

Bruce Springsteen 『Reason to Believe』

保有している米国株式の第四四半期および2023年度の決算が発表され始めました。まずは数字だけで軽くフォローしてみます。

2024年1月20日土曜日

次の10年に向けてのプレ・シーズン

The big money is not in the buying and selling...but in the waiting.

Charlie Munger

次の10年に向けての雑文(1) ーカタリストとしての株式投資ー』で書いた通り、今後は5月をThe 3rd Man's  Fundの年度の始まりとします。ということは2月~4月は第四四半期になりますが、ファンドのInceptionからこの4月末で丸10年を迎えるので、5月からは投資活動における新たなシーズンが開幕という気分になっており、それまではプレ・シーズンで慣らし運転期間と位置づけたいと考えています。新たに投資方針も策定したこともあるので、これで本当に違和感がないかを確認することになりますね。 

といっても現状の株式市場の相場水準を鑑みると、ほとんどアクションを起こす機会はなさそうです。逆に、機会を待ち続けることに自身をどう慣らせるか・・・が焦点です。