2024年3月15日金曜日

2月後半の振り返り

保有している米国株式のうちの3社から、2月後半に第四四半期および2023年度の決算が発表されました。すべて米国の住宅関連になります。 

ご存じの通り米国での住宅ローン金利は高止まりしていて、とくに中古住宅の需給はよろしくありません。中古住宅販売件数は先の金融危機時(リーマンブラザーズが破綻したやつです)の大底レベルに近い水準とのことで、これからレビューする3社にとっては逆風が吹いています。

では、決算をさらっと見ましょう。企業によってグラフのスケールが異なっていることにご留意ください。前回までは、Net SalesやIncomeは過去10年間の平均を使用していましたが、今後はCAGRを使います。

Floor & Decor Holdings, Inc.

FNDは2000年にVincent West氏によって創業された、バカでかい倉庫タイプの店舗で種類豊富な床材および関連するツール等をEvery Day Low Priceにて提供する、とってもアメリカンな小売店です。固い素材が専門で、タイル、木材、ラミネート、ビニールや石材でできたものを扱っています。バークシャー・ハサウェイが保有している(非常に小さな割合ですが)ことを知る直前の2021年8月に獲得(ささやかなる矜持)。


  • Net Salesは3.5%増、過去7年間のCAGRは18.0%(マイナス成長0回)
  • Operating Incomeは19.0%減過去7年間のCAGRは15.4%(マイナス成長1回)
  • Operating Marginは7.3%、過去7年間の平均は8.5%
  • ROCE(私の計算)は9.6%、過去7年間のMedianは11.9% 
  • Debt/Equity Ratioは0.78
  • 営業CF対投資CF比率は42%

ROIC - WACC spread(私の計算、あくまで参考値)は以下の通り。




まだまだ成長ステージの会社です。倉庫型店舗は2023年度末で221店。前年からネットで30店増加。2031年度あたりまでに500店が目標。

ちなみに後で述べるThe Home Depot, Inc. (HD)は、あえてカニバリを受け入れて地域の面を取りに行く戦略をとっているようですが、FNDは床(なんか体操の競技種目みたい)専門なので、そこまで密度を高められないですな。「面」ではなく「小手」を取りに行ってると言えるんでしょうかね。

Comparable Customer Transactionsが前年比‐7.2%と2年連続で低下中。やはり中古住宅市場のスローダウンが影響しているようです。2023年度はSalesのうちの45%が業者(プロ)むけだったとのこと。22年度は42%だったので、少し割合が増えています。FNDもアニュアルレポートで強調しているように、プロはリカーリング需要が期待でき、かつ最終顧客への影響力があることから、この割合は今後も要チェックポイントになります。

最近読んでいる本『The Quality Growth Investor 2024 Edition』(Long Equity著)の影響を受けて、FCF(私の計算)の推移も見てみます。



やはり新規店舗のためのPropertyへの投資がでかいので、マイナスになっている年度がありますね。

株価推移を見てみます。



株価推移はFCFの推移と妙にシンクロしていると思いません?

The Home Depot, Inc. (HD)

米国の、ちょっとあっけにとられるくらいにどでかいDIY小売店。Aurea Lotusの柳下由紀氏によると、米国のDIY文化を再構築したのは同社だとか。ちなみに私がその昔留学していた米国の片田舎では、なかばライフワーク的に自分の家(ログハウス風)を自分で建てている最中、みたいな人が結構な割合でいたので、米国は生来そういう文化なんだと思っていましたが、わりとHDの存在に負うところが大きいのかもしれません。

みずから市場を創出した企業ですね。2020年3月から保有。

  • Net Salesは3.0%減、過去10年間のCAGRは6.8%(マイナス成長1回)
  • Operating Incomeは9.8%減過去10年間のCAGRは9.0%(マイナス成長1回)
  • Operating Marginは14.2%、過去10年間の平均は13.8%
  • ROCE(私の計算)は40.1%‼、過去10年間のMedianは42.9%‼
  • Debt/Equity Ratioは73.3(笑)
  • 営業CF対投資CF比率は348%
  • ROIC - WACC spread(私の計算、あくまで参考値)は以下の通り


HDはコロナ禍での生活スタイル変化に伴う(と思われる)需要増が一服したのとインフレが落ち着いてきたのもあって、TopもBottomも対前年比減です。とくにLumberデパートメントの価格が落ちているとのことでしたが、そういえば一時期ウッドショックなる言葉がありましたね。

店舗は13店増。過去10年の年平均(ネット)が5店増なので、攻めの姿勢が鮮明になってきています。

FCF(私の計算)の推移はというと:


昨年度はTop・Bottom減にもかかわらず増えていますね。

それを踏まえたうえで株価の推移を見てみると:



若干の遅効性は認められますが、妙にシンクロしていると思いません?

さらに一株当たりのFCF(私の計算、いちいちアニュアルレポートから発行株数を手作業で拾ったので、参考ベースで見といてください)をプロットグラフにしました。



比較的安定して成長しています。


Pool Corporation (POOL)

米国最大(=世界最大)のプール関連の卸。B2Bで、プールの施工・メンテ業者が主な顧客。下記のリンク先の記事でその存在を知る。

https://www.nasdaq.com/articles/4-stocks-to-gain-from-the-leisure-recreation-products-industry

2022年2月より保有。

なお、柳下由紀氏が主宰するAurea 人生と投資の会II』第143回サロンでPOOLが取り上げられていたので、いそいそと参加して理解を深めました。


  • Net Salesは10.3%減、過去10年間のCAGRは9.4%(マイナス成長1回)
  • Operating Incomeは27.2%減過去10年間のCAGRは14.7%(マイナス成長1回)
  • Operating Marginは13.5%、過去10年間の平均は11.7%
  • ROCE(私の計算)は28.1%、過去10年間のMedianは33.9%!! 
  • Debt/Equity Ratioは0.94
  • 営業CF対投資CF比率は1,141%!!
  • ROIC - WACC spread(私の計算、あくまで参考値)は以下の通り




ここもserial acquirerです。ざっと調べて限り過去10年で29(昨年度は4)の買収をしています。ただ企業丸ごとではなく一部の事業やPropertyだけ、というのもあります。

 POOLTopBottomも対前年比大幅減ですが、FCF(私の計算)の推移はというと:




で、株価の推移は、と言いますとね・・・



なにが言いたいかといいますとね、いや、あの、大いなる機会が目の前に広がっているのかも・・・と。FNDとHDの前述の記事は、ここに持ってくるための前振りでもありました(笑) 

私にとってはDebt/Equityが獲得の基準を逸脱しているので、POOLは現時点では追加の対象ではないのだけれど。

一株当たりのFCFAgain、私の計算、いちいちアニュアルレポートから発行株数を手作業で拾ったので、参考ベースで見といてください)は:



昨年度が頭抜けているのは別としても、比較的安定しているので、安心して継続保有できますね。

***

ということで、今回は株価を語るという野暮なことをしました。

今後必然的に高まらざるを得ない米国での住宅関連需要増を鑑みると、上記でレビューした3つの株式を保有していれば、いい夢を見ながらぐっすり眠れます。

今回から取り上げたFCFの動向とその安定性(どれだけリニアな推移をしているか)は、今後ほかの保有株式ならびに新規候補の株式に展開していき、獲得・放出の判断基準に取り込んでいきたいと考えています。とくにFCF/株価の値は、ひょっとしたら5月までにPERと取り換えるかもしれません。ひきつづき研究。

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