2024年8月24日土曜日

カジノにおける長期投資Big Shotsの動向 -2024年2nd Q-

We are comfortable outside the normal

-  Founder's video, DISCIPLINED GROWTH INVESTORS


2024年4月の日経新聞朝刊に、日本における投信の平均保有期間が2.9年になったとの記事がありました。10年前に比べて1年近く伸びたそうです。(『投資信託の保有期間、長期化傾向が定着』) 個人的にはよいことだと思います。やはり投信というものは、資産の一部として長期で保有すべきものであると考えます。

ただしその投信(インデックスを含め)の中身が目まぐるしく回転しているようだとどうでしょう。知らず知らずのうちにカジノでのギャンブラーになってしまっているかもしれません。米国での話になりますが、『The Decline of Long-Term Investing』によると、1950年代の株式平均保有ピリオドはピーク時に8年に達していたのが、2020年6月時点ではわずか5.5か月になってしまっているとのことです。

こりゃカジノで酔っ払って踊らされているようなものですね。千鳥足の人々が増えると、先だっての日本株式市場におけるルーレットのような株価の回転を見てぶっ倒れてしまう人が出てきます。んなところで寝そべっていたら、身ぐるみ剥がされますぜ。

さて、各大物ファンドマネジャー(Big Shot)の2024年の2nd Qの株式ポートフォリオが公開されました。たてまえは余興、実は虎視眈々と投資先の開拓を狙って、厳選・長期の腰の据わった株式投資を行っているんじゃないかなあと思われるBig Shotsの動向をチェックしてみたいと思います。

飲みすぎの方は、どうぞお引き取りを。

では、カクテル片手にまいりましょう。

ソースは13Fで、基本的に各Big shotの米国株式のLongポジションのみになります。それらのポートフォリオの上位10社を見ていきます。

各ファンドの左側が2024年3月末で右側が2024年6月末時点になります。% of PFはあくまで時々のポートフォリオに占めるその構成企業の割合で、増減を表しているものではありません。

ちなみに同期間のS&P500は約4%の伸びでした。(為替考慮せず)

まずは"Buy good companies, Don’t overpay, Do nothing"で有名なテリー・スミスが率いるFundSmith。計40社保有中で1st Qと同じ


順位の変動はあれど、メンバーは変化なし。

ただしMSFTの‐6.27%を筆頭に上位10社すべて保有株数を減らしています。かなり割高な状態と判断されたのでしょうか。第15位のMCCORMICK & CO (MKC)は、おそらくそれとは別の理由で保有株数が18%も減っています。

私は減らさない。君がテリーなら私はドリーだ(意味不明)。

前回も書きましたが、FundSmithのシェアホルダーミーティングは、なかなか見応えがあります。ぜひ見てみてください。



次にチャック・アクレのAkre Capital Management。『脱「昭和」のススメと、私の理想郷』で少しばかりアクレさんについて書いています。




メンバーは変わりなく、順位の変動もほとんどなし。こちらも上位を中心に保有株数を減らしていますがVとDHRはそのまま、BNとCSGPは増やしています。

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ドナルド・ヤックマンのYactman Asset Management。72社保有(前期は73社)チャーリー・ティエン著の『とびきり良い会社をほどよい価格で買う方法』(長尾慎太郎〔監修〕山口雅裕〔訳〕PanRolling)で知りました。景気循環に影響されない企業、商品寿命が長いものを作っている企業だけに投資しているのだとか。



PEPの保有株数が増えていますが、その他は減っています。SCHWは‐6%とちょっと大きめの減少。


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『一流投資家が人生で一番大切にしていること』で飽くなき学習マシンとして紹介されていたポール・ラウンティスのLountzis Asset Management。46社保有で前期と同じ。



ORCL以外はポジションを少しずつ減らしています。バークシャー・ハサウェイの株主総会に三十年間毎年出席し続けているだけに、BRKの割合がすごいのは引き続き替わらず。The 3rd Man's  FundとはZTSが被っています。

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LINDSELL TRAIN。そのホームページで、


We are stock pickers. At the heart of our approach is a conviction that inefficiencies exist in the valuation of “exceptional” companies. Specifically, we note that durable, cash generative franchises are not only rare but also appear to us to be undervalued by other investors for most of the time.

と謳っております。

前期より1社減った29社保有。


BF.A以外、結構な割合で保有株数が減っています。

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元海軍将校のフレッド・マーティンが率いるDisciplined Growth Investors。ちょっとした紹介を『カジノにおける長期投資Big Shotsの動向 ‐ 新メンバー -』で書いています。66社保有。


中小型を得意としているだけに、耳慣れない企業が並んでいます。The 3rd Man's  Fundとは、今期の上位10社にはいっていませんが、GNTX、GGG、LSTRが被っています。ちなみにGNTXはこちらのファンドで知りました。

ALRMを中心に5社の保有株式が増えています。ちょっとほかのファンドと動きが違いますね。米国中小型界隈は投資妙味があったのかもしれません。私個人的には、日本もそうじゃないかと思っています。

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WEDGEWOOD PARTNERSのDavid Rolfe氏のポートフォリオ。こちらもカジノにおける長期投資Big Shotsの動向 ‐ 新メンバー -』で紹介しています。19社保有。


The 3rd Man's  FundとはTSCO、そして10位以下ですがPOOLが被っています。

METAってそんなにいいのですかね。GOOGL、V、MSFTといった定番(?)どころにCRPTがはいっております。

19社のうち18社の保有株式を少しずつ減らしていますが、一社だけ、EWが増えています。


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ここからはもっとクセのつよい連中のご登場。

ビル・アックマンのPershing Squre Capital Management。川上譲・著の『リスク・テイカーズ』(日本経済新聞出版社)では、10年先までビジネスの将来を見通すことができ、安定したキャッシュフローが見込めることを重要視している、とありましたね。

前期から2社増えて9社保有。



CMGとGOOGが大きく減りました。CMGは前期も減らしていましたね。

一方新規でBNとNKEが加わっています。BNということは、やはり来るべき米国での住宅関連需要増を見越しているのでしょうか。NKEは、その圧倒的なブランド力を擁していれば、いかようにも復活は可能かと私は考えます。

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クセモノ(としか思えない)モニッシュ・パブライのDalal Street。


あいかわらず4つだけ。CEIXを大幅に減らし、ARCHを大きく、AMRもそこそこ増やしています。

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最後に真打ち、NVICのおおぶね米国厳選。毎月積み立て投資中です。なお『ポートフォリオは円(グラフ)で見よ ーNVICの米国厳選投資編 第7期ー』でもレビューしています。

2024年6月の月次レポートより。前期より1社減って全27社。



上位10社だけでみるとThe 3rd Man's  FundとはZTSが被っています。ちなみにZTSはおおぶねがおおぶねになる前の運用報告会でその存在を知りました(『農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンドの運用報告会』)

全体版運用報告書で確認したらMKCは保有数を減らされていましたが・・・

私は減らさない。そちらがおおぶねなら、こちらは泥船だ。

我独り、永遠(とわ)に死海を航海す。塩分濃ければ沈まない。

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既出のファンドで人気の企業を挙げます。



GOOGとGOOGLを足すとALPHABET INC.が一位。続いてVとMSFT。

昨年来からの株高傾向のせいか、ポジションを縮小するファンドが多かったように見受けられます。為替を考慮しないでみるとS&P500は引き続き好調で、日本で騒がしかった8月も、あちらではそんなに大したインパクトもなく・・・3rd Qはどうなるでしょうか。

次回のレビューは、米国の次期大統領が決まるころになりそうですね。


APPENDIX

S&P500の上位10社(7月末)



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