Zack and I don't want to be busy; we want to be right.
Annual Letter, For the period ended December 31, 2008, The Nomad Investment Partnership
静を守りて而る後に、動を好むの労に過ぐるを知る。黙を養いて而る後に、言多きの躁為るを知る。
『菜根譚』 洪自誠
最近『Next 10 years 第二部 - 敗者のゲーム -』でも確認しましたが、私は現在以下の投資信託を積み立てています。
NISA積み立て投資枠
- 楽天・S&P500インデックス・ファンド
- コモンズ30
- 農林中金<パートナーズ>長期厳選投資おおぶね
NISA成長投資枠
- スパークス・新・国際優良ファンド
これ以外ですと、なかのアセットマネジメントの新規ファンドが気になるところです。すこし時間をかけて、今後出てくるであろう定期の報告書の中身を吟味しながら、積み立てに採用するか否か考えたいと思います。
個人的には、厳選された企業30社程度で構成されていて、回転がほとんどないようなポートフォリオを持つ投資信託が好みです。しかしそのような投信は、あまり存在しない(と思う、私が知らないだけかもしれんが)。
この少数厳選・無回転が難しいのは、プロは常に以下の記事に代表されるプレッシャーにさらされるからではないでしょうか。
徹底して個人投資家に目線をあわせてこられた(これに関してはmy compliments!)経済評論家の(故)山崎元氏は、『株式ポートフォリオの銘柄数について』という記事で以下のように書かれています。
投信の場合でいうと、顧客はせっかく「小口の資金でもできる分散投資」のメリットを購入するのだから、少ない銘柄数で「これがアクティブ運用だ!」と開き直るのは、純粋に運用の問題としては、リスクの計測を知らないか、横着であるかのいずれかだろう。たとえば、「いい銘柄を30銘柄集めてポートフォリオを作りました」と言うファンドマネジャー(二昔くらい前はよくいた)は、「同じ位いい銘柄を100程度集めよ。仕事をサボるな!」と言われたら、反論のしようがないはずだ。
ここからは金融業界とは無縁の一個人投資家の感想にすぎませんが…
「同じ位いい銘柄を100程度集めよ。仕事をサボるな!」
・・・これ、「昭和」の発想そのものではないですかね。ひたすら忙しい状況を連帯で背負わせて、何かをやった感を皆で共有すれば、すなわちそれがよい仕事!的な香りを感じるのは私だけでしょうか。
そこに旧帝大的な頭の良さが掛け合わせられているからタチが悪い。蛍の光と窓の雪のあかりを頼りに正しき理論が書かれた教科書の字面を追い、夜更けまで汗水たらして手足を忙しくバタバタさせるのが美徳とされていた(る?)のでしょう。
これは往々にして仕事のための仕事(部活動におけるウサギ跳びのような行為)をもたらす考えであり、それはもはや仕事ではなく、哀しき労働です。
業界、もしくは組織がこんな空気に支配されていれば、なかなか社会を豊かにする腰の据わった運用は難しいでしょう。なので疑似インデックス的なアクティブ投信が増える。そしてそれを批判することで、独立系FPはメシが食える。
結果的に、(日本の)投資界隈の土地は痩せる。
やれやれ。
***
海外では、ウォーレン・バフェット氏がその代表格ですが、日本よりは長期目線の厳選投資を行う著名投資家が多いように見受けられます。
ちなみにバフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイは、2000年に、模倣されたり他人の商売に利用されたりするのを避けるために保有株式の一部を非公開にしたいという要望を米証券取引委員会に出しましたが、却下されています。それ以来優良株式をそこそこの値段で買うことから、会社を丸ごと買収して傘下に収める方針に軸足を移しているので、上場株式投資の部分だけを見てどうこう言うのはピントがずれている状況です。
閑話休題、『Big Shots』で動向を確認している著名投資家のうち、チャック・アクレさんを再度見てみましょう。『一流投資家が人生で一番大切にしていること』(ウィリアム・グリーン著、依田光江・訳、早川書房)によるとアクレ氏は、今は本社をバージニア州の信号機がひとつしかない小さな村に置き、ブルーリッジ山脈を望む自宅の窓からは、シカやクマ、キツネやコヨーテを見かけることがあるそうです。
そこで彼は投資のエッセンスをスツールの三脚になぞらえ、少数の優良企業に的を絞って投資をしています。
三脚の内訳は:
- extraordinary business
- talented management
- great reinvestment opportunities and histories
で、これらの脚の破損を認めない限り、売却は考えないそうです。
下の表は、左が2023年末、右が2024年3月末時点のAkre Capital Managementのポートフォリオの上位10社です。
ちなみに2024年3月末時点で全22社。うち上位10社で約95%を占めていて、そのメンバーはこの3か月間変更なしです。山崎氏がこれを見ると、こめかみに青筋を立てるのではないか。
これだけでは無味乾燥なのでグリーンの本からの情報を付け加えると・・・
- 30年以上市場平均を大幅に上回る成績をあげている
- 27年(同書の出版は2021年)保有したマーケル社の株は資産を100倍以上増やした
- バークシャー・ハサウェイ株も42年保有(していた)
- AMTは2002年に1株79セントだった。それが2024年3月末には$197.59。
じつに優雅、それしか言えない。私にとっての理想です。
***
最近、故・野村克也氏の影響を受けて、ちびちびと『菜根譚』を読んでいます。その序文のようなものに
逐客孤踪し、蓬舎に屏居して、方以内の人と遊ぶを楽しみ、方以外の人と遊ぶを楽しまざるなり
とあります。これだよ、これこれ、目指すはこの境地、と思っていますが、アクレ氏はまさにもうこの境地なのではないか。アクレ氏までとは到底言いませんが、私も経済的なリアリティに嚙まれることなく、その境地に近づきたいところではあります。
しかし現実は・・・今朝はムスコ(5歳)が盛大におねしょをし、在宅勤務の合間をぬってせっせと洗濯にいそしんでいたりしております。日々これ労働。
まだまだ先は長い。
やれやれ。
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