2023年12月6日水曜日

次の10年に向けての雑文(2) ー最大の失敗ー

 

What does a high ROCE of, say, 20 percent tell us?  A simple fact : This Business earns $20 for every $100 it invests.

『WHAT I LEANED ABOUT INVESTING FROM DARWIN』 Pulak Prasad


2014年4月に誕生したThe 3rd Man's  Fund、来年には10歳になります。

おおむね順調に育ってきていて、個人的にはEnoughと言える結果です。財務諸表とはなんぞや?の状態から始まり、日米のいろいろな企業の株式に手を出して試行錯誤しながら自分なりの投資スタイルを探してきた、そのひとつひとつの悪あがきそのものがとても楽しいことでありました。

次の10年はThe 3rd Man's  Fundのクオリティをもっと高めていくことになります。我が家の3番目のProfit Centerとして永続的に行進できる筋肉をビルドアップします。

それをするにあたり、やはり最初の10年での失敗をきっちりと確認し、それの回避策を考えるのはマストです。というわけでここのところじっくりと考えていたのですが、やはり私の弱点は

2023年11月24日金曜日

次の10年に向けての雑文(1) ーカタリストとしての株式投資ー

「十分というのはあなたが考えているよりも長いかもしれないわよ」

村上春樹 『ねじまき鳥クロニクル 第1部 泥棒かささぎ編』 新潮文庫

 投資家は、企業と人間の本質、さまざまな数字について多くを知る必要がある。

デビッド・クラーク 『マンガーの投資術』 林康史・監訳 石川由美子・翻訳 日経BP社


2014年4月に誕生したThe 3rd Man's  Fund、来年には10歳になります。これを機に年度を5月はじまりの4月終わりに変更します。たいていの米国企業は2月から3月にかけてアニュアルレポートが作成されますし、日本企業も3月が年度末のところが多いため、そのほうが都合がいいというのもあります。

また、なんとなくなのですが、自分の中で長期投資は30年という意識があります。その場合、10年ごとに前半・中盤・後半と分けられます。

ということで、来年の5月からはいよいよ中盤の10年に差し掛かることになります。中盤が終わるころには、私は63歳、ムスメは19歳、ムスコは15歳となり、こりゃ、なかなか重要な局面を迎えることになりそうです。

来年からNISAもさらに充実してくることもあって、これからは投資信託への積み立てがメインになる予定ですが、一方でThe 3rd Man's  Fundももっとクオリティを高くしていくつもりで、これまでの10年間の反省を踏まえながら、改めて投資方針を見直している最中です(Code of Conduct for next 10 years (策定中))。

それに合わせ、すこしずつポートフォリオの中身もいじっている最中で、来年の4月末まで時間をかけて質を高めていく予定です。最終的には中盤が終わる2034年の初夏の時点で株式の平均保有年数が10年になることを目指します。

その過程でいろいろ考えていることを、これから複数回にわたってつらつらと書いてみたいと思います。

2023年9月30日土曜日

投資家K.の四半期レポート 3rd Q, 2023

At Berkshire, we look to performance, not to the calendar.  Charlie and I, at 71 and 64 respectively, now keep George Foreman's picture on our desks.

To the Shareholders of Berkshire Hathaway Inc.(1994)

今年の夏は暑かったです。炎熱という表現がしっくりきました。その昔、フィリピンはマニラを舞台にした『炎熱商人』という小説がありましたが、もう東京でもそのタイトルでいけるのではないでしょうか。

今年は夏に備えて2月あたりからしっかり走りこんで汗をかいてきたのですが、ほんっとに屋外に出るのに気合が必要でしたね。それでも家族を連れて山や川、それに海に行ってきたところ、8歳と5歳の子どもたちの好奇心と体力は無尽蔵で暑さなんてもろともしておらず・・・こうして振り返ってみると、私にとってはひたすらバテた印象しかない夏でした。



2023年8月31日木曜日

積み立て投信にたいする考察 ー シン・NISAを迎えるにあたり ー

 敗北……。勝利……。私にはこういった常套句の使い方がよくわからない。人を昂揚させる勝利もあれば、人を駄目にしてしまう勝利もある。人を打ちひしぐ敗北もあれば、人を目覚めさせる敗北もある。生命というのは、そのときどきの状態によっては示すことができない。ただその歩みによってのみ示すことができるのだ。

サン=テグジュペリ 『戦う操縦士』 鈴木雅生・訳 光文社古典新訳文庫

『汝の父を敬え作戦』発動から8年半が経過しました。

教育資金を準備する目的で、ムスメ(8.5歳)のための1st Frontでは、彼女が誕生したその日から以下の投資信託を毎月積み立ててきました。現在はつみたてNISAを利用しています。


  • ひふみプラス(2022年9月まで)
  • コモンズ30 (2022年10月より)
  • 米国株式のインデックス投信

さらにはムスコ(5.2歳)向けの2nd Frontとして、

  • 農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね
  • スパークス・新・国際優良日本株ファンド

を毎月積み立てています。

積み立ては、子供たちがそれぞれ中学を卒業する15歳まで行う予定です。そしてその時点での含み益・損の状況を見て、

  1. 定期預金に切り替えるか
  2. そのままリスク資産として保有し続けるか
  3. 積み立てを継続するか

の判断を下すつもりです。

2023年8月8日火曜日

ポートフォリオは円で見よ ーNVICの米国厳選投資編 第6期ー

暑い日が続きます。今年は2月あたりから夏に備えてけっこうランニングをやって汗をかいてきたんですけどね、この暑さはすさまじいですね。外に出たくありません。聞くところによると、あまりの暑さに海水浴客が少ないということで、これに台風がかさなると・・・いやあ、ちょっと厳しい夏になってしまいましたね。

2023年6月30日金曜日

投資家K.の四半期レポート 2nd Q, 2023

The operative phrase here is “pay no attention”. This is not easily done. Many investors are professionally required to “pay attention” to the latest trend for fear of missing out (pay attention and be invested!).

Nomad Investment PartnershipのInterrim report, Jun 30th, 2002

2023年も折り返し地点です。

せんだって映画『探偵マーロウ』を観てきました。あんまり期待しておらず、また劇場で見終わったときも、ま、こんなもんだな、程度の感想しかなかったのですが、それから何日か経つにつれジワジワとくるものがあり、最近ボーっとしているときは映画の回想に浸っていたりします。

そして気が付いたらブログのタイトルを変更してしまいました。いったいどうしたことか。このままでは劇場まで再度足を運びかねない。うーん、もともと上映場所が少ないうえに、人気なさそうだからいつまでチャンスがあるだろう・・・

2023年5月24日水曜日

ロスト・ワールドの覇者

Watsco knew Peirce-Phelps was a good company and they only wanted three things of us: to continue to lead and manage the business as a market leader; to accelerate our growth by providing us with additional capital and technology; and to collaborate with our peers throughout the Watsco network so that we could all learn and benefit from each other’s experience. So far, we’ve all checked all three boxes and both companies have benefited from the transaction.

Watscoの2019年度版アニュアルレポートより

よく言われていることですが、昨今のICTによるネットワーク化や人々の価値観の多様化などにより、かつての重厚長大な企業が発揮していたような、とくに資本力や固定資産のデカさに依存したスケールメリットが薄れつつあるように見えます。

最近のM&Aにしても、単に規模を大きくするのではなく、新たな技術や販路を確保するといった目的でなされていることが多いように思います。さらには世のトレンドは、ジョンソン&ジョンソンやユナイテッド・テクノロジーズ、日立製作所(6501)のように、分割したり事業を手放したりして組織の効率化を図る方向にあるように見受けられます。

しかし、約2億130万年前から始まったジュラ紀に存在していた生物が、生き延びるためにひたすら巨大化する方向に進化したのと同じように、現在でも大きくなることこそが正しい世界、作家コナン・ドイルの代表作の『失われた世界』のような台地が米国に存在しています。



2023年5月16日火曜日

ポートフォリオは円で見よ ーNVICの米国厳選投資編ー

銘柄選択は芸術でもあり科学でもある。

ピーター・リンチ 『ピーター・リンチの株の法則』 平野誠一・訳 ダイヤモンド社

せんだって(といっても、もう数か月前か…)ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイ(BRK)の株主への手紙が公開され、そこには同社の上場企業への投資先が記載されています。BRKはこれ以外の直接支配権を持っている企業があるので、それを考慮にいれたうえで見ないといけませんが、やはり私もまずはレターのそこの部分を確認してしまいます。

プロ・アマ(個人)を問わず、他人様の株式投資のポートフォリオの中身を覗くことほど楽しいことはありません。

2023年4月16日日曜日

ポートフォリオのメンバーの時価総額 その2

「ブラウンは太りすぎだ」いちばん率直にものを言うスカウトが、反論の口火を切った。

「大学では記録的な活躍だが、でぶには変わりない」とピッターも言う。

「SECリーグの史上初めて、安打三〇〇本と四球二〇〇個を記録しています」とポールがパソコンの情報を読み上げた。

マイケル・ルイス 『マネー・ボール〔完全版〕』 中山宥・訳 ハヤカワ・ノンフィクション文庫

名著『マネー・ボール』が米国で出版されたのが2003年。それから20年の時が過ぎ、今年からは元阪神タイガースの藤浪投手がアスレチックスでプレーしています。4/15に3回目の登板をして3敗目となっていますが、今回のピッチング、内容は悪くはなかったのではないでしょうか。


2023年4月2日日曜日

投資家K.の四半期レポート 2023 Q1

「成長」は、「価値」計算の際に必要な変数なのです。

ローレンス・A・カニンガム『バフェットからの手紙 第5版』 Pan Rolling


多くの優良企業では、成熟ステージに入ったとしても、常に新たな事業展開やアプローチなどを模索し、不断の変革を行うことによって、成長ステージへ回帰するように尽力し続けている

柳下裕紀 『真のバリュー投資のための企業価値分析』 きんざい


2023年の最初の25%が経過しました。

これまで私の投資先の選定方法は、まず連続増配をしているか否か、そして地味かどうか、で判断するところから始まり、最近は、社会の情勢・予測等々と企業の事業内容を結び付けた、連想ゲームに近いノリに変化していました。