2025年4月4日金曜日

カジノにおける長期投資Big Shotsの動向 -2024年4th Q-

He deals the cards as a meditation,  And those he plays never suspect 

He doesn't play for the money he wins,  He don't play for respect

He deals the cards to find the answer

Sting『Shape of My Heart』

最近某国の大統領とその取り巻きがやたらと「お前はどんなカードを持っているんだ、なにも持ってないじゃないか」と喚いています。政治信条や政策へのPro/Conは別としても、さすがにそのやり方はよくないよな、と思います。

それはさておき、我々在野の個人投資家はいかなるカードを切ることができるでしょうか。

たぶん我々が優位に切れるのは「時間」というカードだけなのでしょう。そのたった一枚のカードは最後までとっておき、贅沢に時をかけて解を見つけていくのがよいのかな、と思います。

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各大物ファンドマネジャー(Big Shot)の2024年の4th Qの株式ポートフォリオが公開されました。たてまえは余興、実は虎視眈々と投資先の開拓を狙って、MoneyやRespectを得るために株式投資を行っているわけではなさそうな修道士的雰囲気を漂わせている長期・厳選株式投資Big Shotsの動向をチェックしてみたいと思います。



ソースは13Fで、基本的に各Big shotの米国株式のLongポジションのみになります。それらのポートフォリオの上位10社を見ていきます。

各ファンドの左側が2024年9月末で右側が2024年12月末時点になります。% of PFはあくまで時々のポートフォリオに占めるその構成企業の割合で、増減を表しているものではありません。

今回から%(Shares) activityという欄を付け足しています。これは前期からの保有株数の増減率になります。

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まずは"Buy good companies, Don’t overpay, Do nothing"をモットーに掲げ、ときには"The English Warren Buffett"と呼ばれる英国人紳士テリー・スミスFundSmith

The 3rd Man's  Fundで保有しているGGGFundSmithをチェックしていて知るところになっています。

ちなみにテリー・スミス氏はロンドンの比較的貧しいエリア出身(父はトラック運転手)で、ボクシングやムエタイの心得がある武闘派でもあります。Buffetというより、シャーロック・ホームズですな。

計38社保有中で前期から2社減McCormick & Company, Incorporated (MKC)が手放された2社のうちの1社です。同社がインフレ対応に後手に回ったのと、同社製品どうしのカニバリ状況がお気に召さなかったようです。




前期に引き続き、
保有株数を減らしています。市場はかなり割高な状態と判断されていたのでしょう

恒例のアニュアル・ミーティングの様子も視聴できます。インデックス投資に関する興味深い話も出て、なかなか面白いです。


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次にチャック・アクレのAkre Capital Management。『脱「昭和」のススメと、私の理想郷』で少しばかりアクレさんについて書いています。

計18社保有。




メンバーは変わりなく、順位の変動もごくわずか。こちらも上位を中心に保有株数を減らしています。AMTも減らしたんですね。

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ドナルド・ヤックマンのYactman Asset Management。71社保有チャーリー・ティエン著の『とびきり良い会社をほどよい価格で買う方法』(長尾慎太郎〔監修〕山口雅裕〔訳〕PanRolling)で知りました。景気循環に影響されない企業、商品寿命が長いものを作っている企業だけに投資しているのだとか。




前期に引き続き、TOP10は全部保有株数を減らしています。やはりここのところの株価はやってらんねーぜとの判断だったのでしょう。


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ウィリアム・グリーン(著)・依田光江(訳)の『一流投資家が人生で一番大切にしていること』(早川書房)で飽くなき学習マシンとして紹介されていたポール・ラウンティスLountzis Asset Management。47社保有で前期から2社減っています。



The 3rd Man's  FundとはZTSが被っています。今期は11位になったので上記リストからは消えていますが。

こちらも10位以下を含めたほぼすべての株式の保有数を減らしています。

バークシャー・ハサウェイの株主総会に三十年間毎年出席し続けているだけに、BRKの割合がすごいのは引き続き替わらず。

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そのホームページで、

We are stock pickers. At the heart of our approach is a conviction that inefficiencies exist in the valuation of “exceptional” companies. Specifically, we note that durable, cash generative franchises are not only rare but also appear to us to be undervalued by other investors for most of the time.

と謳っております。

前期から1社減の計28社保有。




新規でTMOが加わっています。でもそれ以外で増えているものはありませんでした。


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カナダのマネー・ジャーのフランソワ・ロション氏のGiverny Capital彼については『全人類のすみっこ5%暮らしの男』で少し書いています。62社保有。



なるほど、集団行動の遺伝子をもっていない😄だけあって、上位10企業の全ポジションが増えています。

The 3rd Man's  Fundとは、NVRが被っています。

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WEDGEWOOD PARTNERSDavid Rolfe氏のポートフォリオ。こちらはカジノにおける長期投資Big Shotsの動向 ‐ 新メンバー -』で紹介しています。19社保有。





The 3rd Man's  Fundとは10位以下ですがTSCO、そしてPOOLが被っています。

ちなみに彼らが重視しているROCEとROICの2024年度の結果は以下の通りだったようです。



さすがですね。

私自身はROCEの計算は自信は無いのだが、The 3rd Man's  FundにはWEDGEWOOD PARTNERSFundSmithのROCEに挑戦させたいと思う。ただ、普通ROCEの値はROICより高くなるのでは、と思うのだが。


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ここからはもっとクセのつよい連中のご登場。

ビル・アックマンのPershing Squre Capital Management。川上譲・著の『リスク・テイカーズ』(日本経済新聞出版社)では、10年先までビジネスの将来を見通すことができ、安定したキャッシュフローが見込めることを重要視している、とありましたね。

前期から1社減って10社保有。(くどいですが米国株式のLongポジションのみ)・・・と思ったら減ったのはSEG-Rで、これはSEGと同じと思われるので、実施は変化なし。



前期から継続してBNNKEが大きく増えました。NKEは割安と判断したのでしょう。ちなみにTerry SmithもNKEには、経営陣も変わったし、わりかし期待しているようです。あれだけのブランドですしね。

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クセモノ(としか思えない)モニッシュ・パブライのDalal Street。



😃😃😃

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最後に真打ち、NVICのおおぶね米国厳選。毎月積み立て投資中です。なお『ポートフォリオは円(グラフ)で見よ ーNVICの米国厳選投資編 第7期ー』でもレビューしています。

2024年12月の月次レポートより。全28社。



最近はなかなか時間が合わず、カンファレンスコールに参加できていないです。

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既出のファンドで人気の企業を挙げます。



GOOGGOOGLを足すとALPHABET INC.が一位。続いてVMSFT、そしてMETA

今回は、誰かさん一人を除いて、みなポジションを縮小していました(キワモノは別、あと、おおぶねは不明)。大統領就任に備えるためというより、おそらくは米国株式は割高と判断された結果だったと思うのですが、結果的に帰ってきたダイトーリョーが割高を証明したのかもしれません😆😆😆

最近仕事が忙しいのと、The 3rd Man's  Fundの保有企業のアニュアルレポートを読むほうが楽しいので、今回はあっさりめのレビューでした。

次回のレビューは梅雨時ですかね。直近の株安を受けて、株式の修道士たちがどのようなアクションをとっていくのか、楽しみですね。



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