過去3日間、高熱で寝込んでいました。病院に行きましたが、コロナもインフルエンザも陰性。何だったのだろう。本日37度台まで回復してきましたので、ほったらかしにしていた本稿をアップします。タイトルも中身も体温とは裏腹に熱のこもっていないものとなっています。
あー、しんどい。
Graco Inc.(GGG)
様々な流体を移送したり塗装(スプレー)したりする機器の製造販売。詳しくは日本法人のHPを見られたし。ただ日本で取り扱っているのは一部のみと思われます。
【存在を知ったキッカケ】
Buy good companies
Don't overpay
Do Nothing
で有名なFundsmithの組み入れ銘柄を眺めていて発見。
エンドユーザーが多岐にわたっていることが気に入った理由の一つですが、そのうち約45%が建設分野なのがさらにツボにはまっています。理由は『令和の改新 その3 - 株式投資のメインストリーム -』『令和の改新 その4 - 巨鯨現る -』に書いた通り。
あと本社がミネアポリスというのもグッド。昔勤めていた会社の本社がそこにあり、あの街へは出張で12回くらい行った。正直冬はやってられんが。
【初回の獲得】
2023年10月
【誰にどのような価値を提供しているか】
特に待ったが許されない業種の現場での、確かな信頼感かな(正直、まだ腹落ちまではしていません😂)
【参入障壁】
ニッチェな分野で、回転率の低い(高くないのがミソ)SKUを数多く抱えており(平均販売数/日が1pce以下のものが56,900 SKUあり、全SKUの93%を占める)、それらを正午までに受注すれば同日出荷するような体制を整えている。そのサービスレベルは95%。
そしてRevenueの約40%はパーツや付属品で、これらは比較的安定したリピート需要と思われる。
そこで得たキャッシュを、M&Aやディストリビューションセンターに投資し、さらなる規模拡大とサービス向上に充てている。
正面切って資産を投じて対抗する企業が出てくる経済圏ではない。またゲームチェンジ的なイノベーションの可能性も低いと思われる。
【長期潮流】
重複しますが『令和の改新 その3 - 株式投資のメインストリーム -』『令和の改新 その4 - 巨鯨現る -』に書いた通りなのと、そのニッチェさゆえの再編余地があると思われます。あとは世界人口増加による都市化、インフラの更新。
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GGGが産み出す企業価値をみてみましょう。(以下経営効率や一株当たりのFCFの数値は私の計算なので、あくまで参考値)
棒グラフはROIC-WACC Spreadです。買収した企業の減損処理をした2016年を除きしっかりと価値を創出しています。
過去10年間のROCEのMedianは27.5。
2024年度は:
Net Salesは‐3.7%、過去10年間のCAGRは5.1%(マイナス成長2回)
Operating Incomeは-3.3%、過去10年間のCAGRは5.1%(マイナス成長3回)
Operating Marginは27%、過去10年間の平均は24.8%・・・この値はすごくないですか。
ROCEは21.7%
地域ごとのRevenueの昨年度対比。
半導体関連(なんだろ、なにか塗布しているのか?)の需要落ち込みが米国とAPACにネガティブインパクト。住宅関連がスローだったことが米国にネガティブインパクト。それでも米国はほぼフラットです。オートモーティブ・エレクトロニクス・イーモビリティのエンドマーケットが低調(とくに中国)だったことがAPACにネガティブインパクトといったところです。
セグメント別のRecenueの昨年度対比。
それでもContractorがほぼフラットなのは、Protective coatings equipmentが好調だったのと、新製品効果、それから以前買収した事業による売り上げ増があったためです。これで米国での住宅需要が戻ってくれば・・・というのは捕らぬ狸の皮算用。
Industrialの減少は、ほぼほぼ上記のAPACと同じ。
Processは半導体の落ち込みと、オイル・ガス等の需要も今一つだったらしいです。
一株当たりのフリーキャッシュフローの推移。
過去10年間のCAGRでみると13.5%。
営業CF vs 投資CFの比率もずっとプラスで、2024年度の買収は2件。そのうちの1件はかなり大きな買収で、イタリアの液体定量塗布装置を扱う企業でしたが、キャッシュで済ましています。Debtはありません。
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来年からセグメントが、Contractor、Industrials、Expansion Marketに変更になります。Expansion Marketは新たな開拓が見込まれるであろう比較的革新的な分野(環境・半導体・高圧バルブ・電動モーター事業)を含めて、どうやらその中での新領域やM&Aに集中する気配が漂っています。
流体を扱っているだけに、さまざまなエリアに水のごとく浸透していける可能性を秘めています。GGGは存在そのものが流体ですね。
情報開示:この記事を書いている時点でGGG239株保有
Appendix
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