プールです。
Pool Corporation (POOL)
米国最大(=世界最大)のプール関連の卸。B2Bで、プールの施工・メンテ業者が主な顧客になります。
【存在を知ったキッカケ】
同社の事業に対する知識を深めるため、2022年9月にAurea Lotusの柳下氏主宰の第143回卒業生サロン(私は卒業してませんが😅)に参加しました。
【初回の獲得】
2022年2月。その後、若干の追加・放出(馬鹿なことをしたもんだ)あり。
【誰にどのような価値を提供しているか】
プール施工・メンテ業者への、ワンストップ・サービスによる利便性。POOLへのサプライヤー業者数は2,200社もあり、製品数は20万以上。POOLがなければ、施工・メンテ業者はプールにたどり着くまで、なかなか面倒くさい業務をせざるを得ない破目になる。
【参入障壁】
扱っている製品が特殊なので、例えばThe Home Depot, Inc(HD)等のようなホームセンター大手、あるいは一般的なハードウェア製品を扱う小売業者が、正面切って参入してくる可能性は低い。
その特殊なマーケットで既に442の販売センターを持っていて、市場シェアが40%(この数値は既述の第143回卒業生サロンの情報で、少し古い)とのことなので、いまさら新規企業にひっくり返される隙は、ほぼ無い。
また特殊な製品を扱うには特殊な物流手段・方法が必要なため、アマゾンでも崩せない。
【長期潮流】
住宅にプールを設置するの人口は増えている。
米国でプールが設置される家は、カリフォルニア州やアリゾナ州、それからフロリダ州といった温暖な地域に多く、仕事を引退した人々がよく移住してくる場所でもある。米国での60歳以上の人口は、2016年で約1億1,250万人なのが、2050年には概ね40%増の1億5,670万人になると推定されてる。
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POOLが産み出す企業価値を見てみます。(以下経営効率や一株当たりのFCFの数値は私の計算なので、あくまで参考値)
棒グラフはROIC-WACC Spreadです。直近はコロナ禍の特需の反動(というより2020年が出来すぎ)と金利動向による住宅市場がスローなので、ちょっと落ちてきています。
2024年度は:
Net Salesは-4.2%、過去10年間のCAGRは8.4%(マイナス成長は2回)
これは主に既述のコロナ禍の特需の反動と住宅市場の影響が大きいです。ただ同社のビジネスの魅力の一つはReccuring需要です。不景気であろうがプールのメンテナンスが必要で、それ関連のRevenueは底堅かったようです。2024年度のRepairがRevenueに占める割合は、以下のグラフの通り約6割で、2023年度と同じです。
このReccuring需要は、私にとっては、事業を選択する上での重要なポイントのひとつで、POOL以外でもGraco Inc.(GGG)やRollins, Inc.(ROL)等々を保有し続ける大きな拠り所となっています。
とどのつまり、比較的退屈な産業におけるReccuring需要ほど、将来の収入を保証するものはありません。経営者が語る我が社の未来ストーリー的なものとは対極に位置する、注目すべきビジネス要素なのです。
もう一つの重要なポイントであるロール・アップ戦略ですが、2024年はジョージア州とミシシッピ州の同業他社を買収しています。Reccuringで確実なキャッシュフローを保ち、そのうえで計算されたRiskをとってM & Aを行ってニッチェなエリアでのスケールアップを図り、するとさらなるReccuringが・・・というサイクルですね。シビれます。
あと2024年は在庫の整理も行ったようで、プロダクトカテゴリー数は前年度の50から45に減っています。
Operating Incomeは-5.1%、過去10年間のCAGRは8.3%(マイナス2回)
Operating Marginは11.6%、過去10年間の平均は12.0%。
ROCEは24.5、過去10年間のROCEのMedianは33.9。
キャッシュフローも安定していて、調べた限りの2013年以降、営業キャッシュフローが投資キャッシュフローを下回ったことはありません。
一株当たりのフリーキャッシュフローの推移。
10年のCAGRは19.5%です。
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株価推移を見ていると、コロナによる巣ごもり需要で住宅プールの需要が高まったのを受けて多くの投資(投機?)家が群がり、そのあと住宅市場の状況とPOOLのトップラインの停滞をうけて、それらの株式を投棄したと思われます。
私はPOOLのビジネスは順調で、息の長いポテンシャルを秘めていると考えます。一株たりとも放出する理由はないですね。
情報開示:この記事を書いている時点でPOOL58株、ROL362株、GGG239株、HD55株保有
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Appendix
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