2025年3月20日木曜日

害虫防除がサイエンスの域に達するとき その9 - ローリンズ(ROL) -

我らがThe 3rd Man's  Fundには(私の理解では)ロールアップ戦略を得意とするメンバーがいます。Watsco, Inc. (WSO)、Pool Corporation (POOL)、そしてRollins Inc. (ROL)です。ロールアップいう言葉はNVIC『おおぶね』のカンファレンスコールだかレポートだかで知りました。それまで私はRollins型ビジネスと呼んでいましたね。そのROLの2024年度を確認します。


Rollins, Inc.(ROL)

主に米国にて害虫・害獣・シロアリの防除サービスを住宅・商業施設に提供。

【存在を知ったキッカケ】

当ブログの読者様からのコメント。(『北米に忍び寄る危機をジカくせよ - 米国での虫よけ剤 -

【初回の獲得】

20162月。

【誰にどのような価値を提供しているか】

  • 一般家庭や商業施設への、質が高くて安定したサービス = 信頼・安心
  • 顧客の健康・ブランド・資産の劣化防止

【参入障壁】

ニッチェな市場で比較的零細な企業を買収し、サービスをスタンダード化することにより、規模の経済性を構築していると考えます。24年度は44の買収(うち12はフランチャイズのBuy Back)。アトランタに27,000SQFTのトレーニング施設を擁し、米国のTraining magazine誌で過去20年間に17回、全米でのトレーニングのTop125企業に選ばれた実績あり。

大きな競合先としてRentokil、Ecolab、それからAnticimexがアニュアルレポートに挙げられていますが、後程見るようにROLの数字が素晴らしいので、あえて気にするまでもないと考える。ホントは面倒くさいだけだけど。

【長期潮流】

以下の3つの潮流にうまくのってる。

  • 健康意識の高まり
  • 米国の長期的な人口動態
  • 地球温暖化による、やつらの増殖ならびに凶悪化

***

ROLが産み出す企業価値をみてみましょう。(以下経営効率や一株当たりのFCFの数値は私の計算なので、あくまで参考値)



棒グラフはROIC-WACC Spreadです。Clark Pest Control社を買収した2019年以降少し数値は鈍っているものの、毎年安定した価値を創出しています。

2024年度は:

Net Salesは+10.3%、過去10年間のCAGRは8.6%(マイナス成長なし)
各セグメントの対前年度比成長はそれぞれ以下の通り


シロアリの伸びがすごいですね。商業施設の伸びが住宅を上回っているのは、コロナ禍からの反動もあるのでしょうが、戦略的にCommercial divisionに重きを置いたようで、Orkin commercial devisionという部署を立ち上げたとのことです。より安定した需要が見込まれるB to B方面をもっと開拓しているようです。

一方住宅部門では、新たなOrkin顧客ポータルを導入し、スケジュール調整や支払い方法の利便性向上を行っています。

Operating Incomeは+12.7%、過去10年間のCAGRは10.5%(マイナス成長なし)
Operating Marginは19.4%、過去10年間の平均は17.6%。上昇傾向です。
ROCEは30.3、過去10年間のROCEのMedianは31.2。

一株当たりのフリーキャッシュフローの推移。


過去10年間のCAGRでみると14.1%。まるでタブチさんやオータニサンの見事な放物線を描くホームランの逆バージョンを見ているかのような美しさがあります。

***

素晴らしい企業で、とくに言うことはございません。The 3rd Man's  Fundのロールアップ3兄弟(こう書くとジーンズの裾をまくり上げている子供のようである)は、足元の株価がどうであれ、保有していて一番自信があるメンバーたちです。

したがって2016年にもっともっと資金を投入しておけばよかったという悔恨のみがございます。あのころはROCEなどはまったく知らず、良いビジネスだろうなあという非常にあっさりとした定性的な判断だけが足掛かりだったので、それ以上資金を回す勇気も根拠もなかったのです。ま、しゃあない。

あとはやはり、S&P500に採用されたあたりから、以下のようなムシがアニュアルレポートから一掃されてしまったのが残念です。

2016年度のアニュアルレポートより、マイルドな例


情報開示:この記事を書いている時点でROL362株、WSO50株、POOL58株保有


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Appendix



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