2015年6月13日土曜日

局地戦の覇者、ジョンソンとコルゲート・パルモリブ(CL) - 生活必需品ジャイアンツによるマニラ攻防戦 その5 -

 ここ数年間でインドネシアがある程度成功しているという事実は、フィリピンもその気になれば実現できるという、モデルケースを示している。必要なのは、いま少しの政治の安定と、いくばくかの経済的センスなのだから。
ルチル・シャルマ 『ブレイクアウト・ネーションズ』 鈴木立哉・訳 ハヤカワ文庫
食品関連コーナーをいったん離れて、日用品関連を見てみます。

まず高級スーパーRustan'sで洗剤や柔軟剤等を見てみると、
Downyはプロクター&ギャンブル(PG)の柔軟剤
さすがに以前米国のスーパーで見た時のように大きな容器ではありませんが、そこそこ迫力のあるでかさの製品が並んでいます。フィリピンの住宅のスペースはどうなんだろう?

ざっと見たところ、PG5-6割、ユニリーバ(UL)2-3割、クロロックス(CLX)等を含むその他が1割といった感じに見受けられました。あれ、か、花王はどこに? 花王がいないと風景が随分異なって見えますね。

ついでに庶民的スーパーSMの棚は、

TideやArielなどのPGの商品に混じり、私が知らないブランドが多くを占めていました。CallaはClariancyという会社(中国のprivate company?)の製品みたいです。

全体的に庶民の雰囲気漂うパッケージですね。ここでも花王は不在。


なんか日本企業が不在だなあ、とRustan'sをさまよっていると、向こうの棚の上の方に、見慣れた形のものが置いてあるのを発見。あれは、蚊取り線香や! そう、ここはフィリピンで虫が多い、デング熱とかもあるんじゃないか、となるとやっぱりアース製薬や金鳥の出番だぜ、と駆けつけると、

!!!

なんだこれは、金鳥の蚊取り線香ではない。色も品の無い紫だし、Baygonってなんだ。

蚊取り線香だけじゃなく、殺虫剤もBaygonで占められている…というわけで調べると、米国企業のSCジョンソンの製品であることがわかりました。

まぎらわしいですがジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)ではありません。日本では、カビキラーやスキンガード、トイレスタンプとかを扱っているメーカーです。

他の棚もいろいろ確認しましたが、あんまりわからないメーカーの製品がちょこっとあるだけで、暑いフィリピンの空や地べたを跳梁跋扈する害虫を駆逐する兵器を供給しているのは、ほとんどSCジョンソンが独占していたように見受けられます。

で、その奥をみるともっと驚いたことに


棚を席巻するSCジョンソンの製品、奥の方は芳香剤のGlade
ホームクリーナーと芳香剤のコーナーもほとんどSCジョンソンで抑えられています。若干クロロックスのPine-solやZim Chemical Companyの製品がありますが、圧倒的にMr. Muscleが多く、とってもマッチョな棚になっています。

非常に残念ながら、A Family Companyを標榜するSCジョンソン、上場していません。うーん、上場していたら獲得筆頭候補だけどなあ。


ちなみに食器のクリーナーはPGのJoyが圧倒的です。そのJoyとSCジョンソンのコラボ山積み。

ふーむ、花王や小林製薬、エステー化学、アース製薬等々が不在の世界はこうなるんですね。というより、これから先日本の市場規模は先細りするのは確実なので、もっと海外でプレゼンス発揮しないとヤバいんじゃないですかなあ。

で、右の写真の中央奥の方を見てみると、なにやら赤色の箱が積まれているのがうかがえます。

実はいうと今回フィリピンで一番驚いたのがこれなのです。

出張の際にシェービングクリームを忘れてしまったので、こことは別のドラッグストアに足を運んだ時のこと、とある製品の棚の光景を偶然目の当たりにし、驚愕のあまり思わず2、3歩後ずさりしてしまって後ろの棚に激突し、その後ろの棚の陳列物を見てさらに衝撃を受けてしまう、というハタから見たら、なんやねんコイツという行動をとってしましました。

では、私に無様な行動をさせた赤い箱の正体、以下の写真でごらんください。




ご存知コルゲート・パルモリブ(CL)のコルゲート歯磨き粉です。

いやー、すさまじいまでの存在感ですね。歯磨き粉だけでなく歯ブラシや歯のうがい薬等、オーラルケア製品の8割かたはCLで、その赤色たるや神宮球場のヤクルト‐広島戦のレフトスタンドをしのぐ勢いです。

花王、ライオン、サンスター等々がスクラム組んでも勝てそうにありません。

CLは押しも押されぬ52年連続増配中の銘柄なのでもちろん知っていましたが、ここ数年PERが高めなのと、あんまし歯磨き関連コーナーに立ち寄らないので(おかげで虫歯が多し)、これまで関心がなかったのでした。

で、このような光景に驚いた私がぶちあたった棚に陳列されていたのが…

パルモリーブの製品です。

うーん、ものの見事にCLに挟み撃ちにされてしまった。しょうがない、潔く負けを認めて近々CLを調べてみよう。パルモリーブ製品に関しては、これ以外にも面白い風景があったので、それはまた後日書きます。

ちなみに庶民的スーパーSMのオーラルケアの状況は:



約4割がCL、Close upはULの製品です。くだんのドラッグストアは9割かたCLだったのでした。

情報開示:この記事を書いている時点でPG50株、JNJ174株保有


Appendix

アブラ・汚れにJoy、AxionはCLの製品、Rustan'sにて

3 件のコメント:

  1. CLはずっと買い候補なんですけど、割高感があって手を出せていません。
    ちょっとツバ付けとく程度は買ってみようかと思うこともあるのですが。
    追加情報を楽しみにしています。

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  2. ice_skaterさん、CLはエネルギー株と対照的に、万年高めのPERかもしれないですね。といっても私は割と最近しか知らないですが。昔はどうだったんでしょうか。

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  3. 僕もそんなに昔のことは知らないです。
    5年前にPGやJNJを買い始めた時からずっと気にしてきたんですが当時からPERは高めだし配当利回りもイマイチで、ずっと見送ってきました。
    期待される銘柄は結局は儲からないんだと自分に言い聞かせながら、もう5年も経ってしまいました。

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