2014年9月24日水曜日

日本経済と土地 - 『ヤバい日本経済』(東洋経済新報社)メモ その2-

先日のエントリーで述べました通り、複数回にわたり『ヤバい日本経済』(東洋経済新報社、2014年)のメモを書いていきます。連続ではないかもしれませんが。3人の頭文字Yのオヤジがワイワイとワイ談(まじめな経済トーク)しているところに、私が面白いと感じたところを抜き出して切り込んでいくので、本の全体像からかけ離れたものになる恐れがございますが、それをご念頭に置いていただければと思います。(以下青色の字は同書からの抜粋)

吉崎氏バブルというものは借金して投資することによって起こりますから、資産価格が上がって、担保価値が上がってくると金融マンが担保を持っている企業や投資家に寄っていき、過剰な借金をさせ、自分たちのビジネスを拡大していくわけです(P18)

山崎氏:今の段階ではまだバブルの時計がぐるぐるっと回ってきているところ。相場のピークは12時、ボトムを6時とすると、アメリカは11時くらい、日本は10時くらい(P19) 

山口氏問題はアベノミクスの最終目標は何かということ。政府がやっていることを実際に見ていると、要するにバブルを作りに行っているわけで、そのバブルが出来なかったら意味のない政策なんだと思うんです。(P20)

吉崎氏と山口氏はアベノミクスによるデフレ脱却については、彼らのネガティブな予想に反し、成功したと評価しています。 山崎氏も“期待に働きかけることが政策として有効”ということを実証したとしています。

あくまで私個人の立場までアベノミクスを落とし込むと、以前に書いたようにアベノミクスの政策、とくに日銀のバズーカ砲は、我が家の購買力を落とし、海外旅行の選択肢をせばめ(逆に$建て資産は円ベースでみると膨らんだけど、いまのところはあくまで絵に描いた餅にすぎぬ)、かつ私の勤め先の日本市場のプレゼンスを劣化させるリスクがある、やっかいなシロモノです。

バブルをつくるですと?あの80年代の浮かれた世相がそんなにいいもんですかね。私は当時の日本の雰囲気が嫌で留学したようなものですが・・・。でもバブルの発生と崩壊を繰り返すのが資本主義の宿命、というよりそれが健全な姿なのかもしれません。
山口氏本当に日本経済が「おお、来たね!」と実感できるのは、バブルが起こって土地の価格がグーンと上がったときですよ。日本は莫大な借金をして、30年 とか35年の住宅ローンを組んで家を買うでしょう。その大きな買い物の価値が下がったままだったらやっぱり元気が出ない。<中略> 5000万円で買った家の価値が5000万円まで戻ってきたという実感があったら、たとえローンが3000万円残っていてもお金を使うようになりますよ。 アベノミクスはそこまで言ったら大成功。目標はそこなのだと思いますね。(P22)
山口氏都心まで1時間とか1時間半という通勤圏内の住宅価格が戻ってこないと、本当の経済成長は達成できない(P22)
やはり資本主義においては、まず不動産価格がカギみたいですね。でも日本の人口動態をみるとなあ。山崎さんも指摘していたけど、普通の住宅地の不動産価格を上げるとなると外国人の手を借りるしかないんじゃないか? で、話はそちら方面に進みます。

山口氏曰く中国人が欲しがる物件と米国人のそれはまるで違うんだそうで・・・例えば中国人は足立区や江戸川区の物件が魅力的とのこと、なぜならば都心に出てくるのも便利で土地の値段も安いかららしいです。
山口氏明らかに日本人とは違う観点から不動産を物色する外国人が自由に売り買いできるようになると、マーケットが活性化するのは確かです。アベノミクスっ て規制緩和の部分が全くできていないけれど、外国人の不動産売買に関する規制を撤廃することが、最大の規制緩和になるんじゃないかと思いますね。

確かに・・・例えば首都圏では日本人による趣向で西高東低的な不動産価格になっているけど、外国人が多く入ってくると、思わぬ地域が人気になる可能性ありますね。なにごとも多様性が重要です。地方でも北海道のニセコの例もありますし。

ロンドンの不動産は非ブリティッシュの保有率が50%を超えているようで・・・
吉崎氏:東系の人が多いですよね。『シャーロック・ホームズ』で有名なベイカー街なんて、中東系と日本人観光客しか歩いていない。
そのほうが偏屈者のホームズにとって居心地いいかもしれない。かれは日本人観光客を思いっきり馬鹿にしそうだけど。「あいつらうぜえよ、ワトソン君。君が余計な本を出すからだ。」

神楽坂界隈はフランス人が好むと前に聞いたことがあります。新大久保界隈はとってもエキゾチックだし、いよいよトーキョーも本格的に面白い国際都市っぽくなってくるかもしれません。外国人の不動産売買に対する規制緩和が果たして出てくるでしょうか。でも逆に局地的には価値が下がる物件・地域も発生する恐れはありますね。

ちょっと話はそれますが、オリンピックに向けて電柱を無くそうとかいう動きがあるようですね。とてもいいと思います。ついでに隠してほしいものがもう一つ・・・町中に氾濫しているポルノ雑誌及び小説ですね。

無くせとは言っていません、隠せと言っております。ああいうものはしかるべきところだけで扱うようにすべきで・・・なんせ夜中でも明るくて清潔で安全なコ ンビニの書籍コーナーや、日本の誇る新幹線を下車したすぐそこにあるキオスクに整然とああいったものを並べられててもね、居心地悪さを感じる滑稽さです。これは規制すべき。

さて地方。こちらも地価が上がらないと経済が好転しないようです。山口氏がかかわった紫波町(私も遊びに行きました)は岩手県で地価があがったたった2か所のうちの一つとのことですが、それだけで県全体の消費性向が上がったという統計もあるらしいです。

ただ以前にもちらりとレビューしましたが、日本の人口動態は厳しいものがあります。ちょっと別の角度から見てみましょう。1990年から2034年までの年齢別人口推移です。
ソースはUnited States Census Bureauのサイト
単なる人口減というわけでなく体力や購買意欲の旺盛な年齢層の割合の減り方が結構きつい・・・2014年の各年代の人口の値を100として推移を見てみると、不吉なXを描きます。
ソースはUnited States Census Bureauのサイト

山口氏:現場を見ている感覚からいえば、あと5年もすれば教育や医療、上下水道まで含めた基礎的インフラでさえもう維持できないかと思われる自治体が東北には散見されます。5年ですよ!(P31)
東北ではないですが、先日富津市が18年度に破綻の恐れというニュースがありました。うちの実家(関西)の田舎もやばそうです。戦後から高度成長で形成された常識に従っていると、自治体も個人も痛い目見ること間違いなしですな。
山口氏:一番やってはいけない地方再生というのは、一時的なお祭りにしちゃうもの。ところが、これってメディアが取り上げやすいので、すぐ飛びついてワーワーやるんですが、忘れ去られるのも早い。最悪のパターンです。(P57)
地方再生のキーワードは「サステーナブル」みたいです。ワンショットなイベントをやっても、将来の負債につながるだけっぽいですからね。無理せず持続的に儲けが出る方法を考えないと。それを頭にとどめてアベノミクスを追っていこう。

でもそういった意味じゃ、円安は地方(東京も含む)にとってメリットありますね。外国人・日本人の観光客増加の追い風にはなります。ハワイの代わりに沖縄!ウィスラーの代わりに長野の白馬!コートダジュールの代わりに西伊豆・岩地!(これはさすがに無理がある、でも海はきれい)。どれだけリピートしてもらえるか、あるいは留まってもらえるかですね。近隣諸国の皆さんとも仲良くしないと。

それとは関係ないですが、私も備えとしての資産運用はサステーナブルをキーワードにボチボチ行きたいと思います。

土地の話の続いて、次回は日本経済と女性。あと資産としての不動産の話は後々山崎さんが熱弁をふるいます。

情報開示:特になし

 ヤバい日本経済

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