何もしないことは、あらゆる悪徳の始まりであり、あらゆる美徳の頂点である。
カフカ 『カフカ断片集』 頭木裕紀・編訳 新潮文庫
長期投資という運用方針はすばらしいものだ。経済に好不況の波があっても、買うか売るか、白か黒かに思い煩う必要はなく、自分の投資がどう展開していくかを見守っていればいいだけだからだ
by アンソニー・ナット、Roald W.Chan 『価値の探究者たち』 山本御稔・小林真知子・訳 きんざい
FY2025は、過去10年のなかで一番トレード(株式の売り買い)の少ない一年となりました。それでも年度の初頭に"Never Sell, Never Again"と宣言した割には、全放出の株式もあったのですが。
The 3rd Man's Fundの期間中の獲得並びに放出は以下の通りでした。
あらたな指針を策定し終わる前から投資していたXPELやFNDは仕方がないにしても、GNTXは私の失敗でした。ひたすら数字の確認が甘く、期待の方が先行していました。結果的に株価がさえなかったときに保有し続けるまでの確信をもっていなかったことが露呈しました。
これは大いなる教訓として胸に刻んでおかなくてはなりません。
一方で『3RDMANからの手紙 FY2025 - 1』でも確認したように、自分なりに評価の高い(株)MonotaRO (3064)(プレシーズン中)、KeePer技研(株)(6036)、それからNVR, Inc. (NVR)を、それぞれ株価が下がったときに獲得したのは、とてもよいアクションでした。
NVRは、個人的には今が獲得の最後のチャンスなのでは、と考えています。もし9年後にこの考えが正しかったと証明された暁には、その機会を与えてくれた第47代アメリカ合衆国大統領に、ネクタイを締めたうえで"Thank you"を伝えたいと思います。
J.D.ヴァンス氏に言われるまでもなく。
McCormick & Company, Incorporated (MKC)の大幅な放出も納得の上でのアクションです。LSTRは少し残念ですが、NVRのポジションを増やすためしぶしぶ納得の上での放出となっています。
ROCE(私の計算)は過去10年のMedian、Debt/Equity Ratioはモーニングスターから取得。円グラフでは$MMFも含めています。
現時点ではあまり評価が高くない(株)日立製作所 (6501)が一番大きい存在になっています。どうにもその株価は期待先行になっているようです。
NVRを3位に持ってきました。さしあたりこれでRamp upは終了です。
3064が株価上昇をうけて上位に上がってきています。
下位グループは比較的同じくらいの時価額なので、今後抜け出してくるところがあるか注目です。
メンバーのイコール・ウエイトでの初回獲得からの保有日数平均は1,314日。最長はMKCで3,745日、最短はNVRで96日。第一四半期に放出されたFNDは1,067日間の保有、第三四半期放出のGNTXは189日、第四四半期放出のLSTRは444日で終わっており、計算にはこれも含まれています。
2034年四月末にイコール・ウエイトで平均4,000日が目標でしたが、きっかり10年=3,650日に下方修正します。
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FY25の各株価のパフォーマンスは 以下の通りになります(為替考慮せず)。あくまで2024年4月末時点の各株価との比較になります。平均取得価格に対する含み損益ではありません。なおNVRのみ初回獲得時の株価との比較になります。
The bottom three performers
- eBASE (株)(3835)
- Pool Corporation (POOL)
- (株)SHOEI (7839)
3835は期末決算と有価証券報告書を待ってじっくり吟味することにします。
POOLは米国最大(=世界最大)のプール関連の卸です。B2Bで、プールの施工・メンテ業者が主な顧客となっています。『プールサイドにて その2』と『3RDMANからの手紙 FY2025 - 1』で確認した通り、とても評価は高く、現時点でその企業価値を創造し続ける体制と参入障壁が減退している傾向はつかめていません。引き続き保有します。
7839はモーターサイクル用プレミアムヘルメット・メーカーです。『双頭のヘルメット:SHOEIの第86期』で確認した通り、素晴らしい業績を出し続けている企業です。とくに同社の価値が毀損されている要因は見当たらないので、引き続きのんびり保有します。
The top three performers
- (株)MonotaRO (3064)
- Rollins, Inc. (ROL)
- (株)日立製作所 (6501)
6034は、主に工場関節資材を卸業者・メーカーから仕入れ、ウェブサイト経由でエンドユーザーに直接販売しているeコマース企業です。『MonotaROの第25期レビュー』で確認した通り、なににフォーカスすればもっとも顧客に付加価値のあるサービスにつながるかが組織に浸透していると思われます。
ROLは米国における害虫害獣防除サービスの会社です。『害虫防除がサイエンスの域に達するとき その9 - ローリンズ(ROL) -』で確認した通り、最近は商業施設に力を入れていて、さらに安定性が増しています。それにしても株価が伸びている印象はなかったので、いささか意外に感じています。
6501は課題解決型インフラ企業。地球温暖化で問題が解決できなかったシロクマは手放すようです。という冗談はさておき、なにぶんいま放出すると税金が嵩んでしまうこともあり、それがゆえにブレずに保有を続けています。
しかし、同社のこれからのビジネスの結果次第では、躊躇なく"Expire the Next"になります。
FY2025を総括すると、株価に対する耐性を身に着けていることが確認できたのが収穫でした。そういった意味では、さっさと第47代アメリカ合衆国大統領にお礼を言っておいた方がいいのかもしれません。
今後はさらにポートフォリオの回転が少なくなると思われますし、それを目指してもいます。じっくり投資がどう展開していくかを、手数料を払うことなく、見守っていきたいと考えます。
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