- Tank! Twelve O'clock! Eight hundred yards!
- I see it. It’s a goddamned Tiger.
映画『Fury』より2020年の第一四半期が過ぎ去りました。
私が米国企業の個別株式投資を始めたのは2010年あたりからですが(以前勤めていた会社のESPPは2006年からですが、これは例外)、その時からつい最近までの株式相場環境は基本的に順風満帆でした。
あたかもM4シャーマン(第2次世界大戦中の米国の主力戦車)数台が横一列に並んで、ノッシノッシと敵の陣地を蹂躙していくような感じでした。映画『Fury』でいくと、このシーン(Fury 1st battle)ですね。こりゃあ調子をこきますね。自分がいかにも無敵でスマートな人物に思えてきます。
定期預金なんてやってらんねーよな。みろ、今月も不労所得が振り込まれたぜ、チャリンチャリーン、撃ちまくれ、戦車前進!
しかし株式投資に長く居続けると、必ずアレに出くわします。
必ず、いつかは。
そのアレとは圧倒的な存在感を誇る(ナチス)ドイツ軍の六号戦車、通称タイガーです。これに遭遇してしまうと、なすすべありません。シャーマン戦車の搭乗員は全員涙目です。そう、こんなふうに(Tiger vs Sherman)。
実際の西部戦線で米英軍がドイツ軍の戦車に出くわすことは滅多になかったそうですが、株式投資戦線においては必ずタイガー級の暴落が出現します。
2020年の第一四半期は、タイガーがうっそうと茂る木立から忽然と姿を現しました。2008年以来ですね。
やあ、ひさしぶり。
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2018年初めに『投資家K.のアニュアルレポート 2017』で株式の相場(ミスター・マーケット)には、無我→発芽(自我の芽生え)→台頭→憑依→狂騒→頓死・復活・帰還→無我、のサイクルがあると書きました。
2007年当時は、じゅうぶん狂騒といってもいいレベルで(私はそんなことはさっぱり自覚していませんでしたが)、大多数の参加者が自業自得的な頓死となったのですが、私が思うに2019年末時点の段階では、せいぜい憑依しかかるか否かといった段階だったと思います。
なので2020年第一四半期の株価の下落は、熟しきった膿まみれの果実がはじけたといったようなものではなく、コロナ・ウイルスという88ミリ砲がさく裂したことによって果実が熟する前に吹き飛ばされてしまったという印象が強いです。
強制終了ですね。
おおもとの実体経済が動いていないので、ミスター・マーケットが復活してくるまで結構長引くのではないかと思います。
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ムスメは現在5.1歳、ムスコは1.7歳です。彼らにもっとも金銭的な援助が必要になってくるのは、いまから10-20年後にかけてだと思います。また私が現役から階段を降り始めるのもその間になります。
それに備えて毎月の積み立て投資や四半期に一度個別の株式に投資をしているのですが、それらを考慮すると、向こう8年弱くらいは株価が停滞し、それ以降ぐんぐん上昇するというのが理想的ではあります。
そのタイムスパンでみると、もしかしたら今回の騒動は、私にとっては大いなる追い風になるやもしれないな・・・などと取らぬ狸の皮算用な今日この頃です。
ま、所詮は、
たいていの場合、人生というものは、一つの地点から出し抜けに別の地点へ移行することの連続ではないだろうか。押しあったり、ぶつかったり、身をくねらせたりのくり返し。ある方向に進んでいたと思ったら、途中でぐいと進路が変わり、立ち往生し、流され、またはじめからやり直す。結局何ひとつわかりはしない。いかなる場合にも、必然的に、はじめにめざした所とはまったく違った場所にわれわれは行きついてしまうのだ。
ポール・オースター 『鍵のかかった部屋』 柴田元幸・訳 白水Uブックス
物事は一般的な法則や高尚な弁証法によってではなく、無数の小さい力が可能性や度合いを高めたり低めたりすることによって決まる。残念ながらこの考え方は、多くの知識人にとっても、すべての政治イデオロギーの信奉者にとっても馴染みのないものだが、わたしたちはこれに慣れたほうがよさそうだ。
スティーブン・ピンカー 『21世紀の啓蒙 下』 橘明美+坂田雪子=訳 草思社
と2人の賢人が述べているように、人生は目論見どおりに進むものではありません。とくにバーボンを2フィンガー分飲みほした後の目論見とあっては・・・
なので、そのへんはある種の諦念をもって投資を続けるしかありませんね。なんせ、相手はタイガーだぜ。ジタバタしたってしょうがない。バーボン、あと1フィンガー。
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The 3rd Man's Fundでは期間中、定期獲得としてホームディーポ(HD)を加え、臨時でステップ(9795)とA.O.スミス(AOS)を追加獲得、アーロンズ(AAN)を放出しました。
その結果、The 3rd Man's Fundのポートフォリオは以下の通りになっています。 (4/3末時点、1ドル108.49円で換算)
計23企業。
かつてはポートフォリオにおける暴君だったリロ・グループ(8876)がTop3から陥落しました。まさかウォルマート(WMT)とP&G(PG)がここまで上がってくるとは、数年前には思いもよらなかったなあ。何故WMTが強いのかはわからん。
こういうご時世になると、ヘルスケア関連及びクロロックス(CLX) やPGなど衛生関連の企業が頼もしく見えます。とくればだ、今後の補強は現在頼もしくない連中が中心になる。
期間中The 3rd Man's Fundの資産は以下の通り推移しました。
また、日本が直面する少子高齢化社会を逆手に取るいざ・波は以下の通りです。(3/27末時点)
タイガー出現前に弁護士ドットコム(6027)を売却し、ピーバンドットコム(3559)とMマート(4380)を購入、また鎌倉新書(6184)を一部売却し、システムディ(3804)を追加購入しました。
タイガー出現後にピーバンドットコム(3559)とMマート(4380)を売却しました。それを原資にThe 3rd Man's Fundでステップ(9795)を獲得しています。
期間中いざ・波の資産は以下の通り推移しました。
以前に勤めていた会社(連続増配のグローバル・ヘルスケア企業)のEmployee Stock Purchase Plan (ESPP)を通じて購入した株式があります。こちらはDripで自動的に再投資が行われるので、完全放置状態です。
2020年Q1はDripにより3.5株増加しています。
ムスメとムスコの教育資金のための作戦『汝の父を敬え』。こちらは今期から2nd Frontにて積み立てるファンドを、
- eMaxis slim 米国株式(10,000円)
- スパークス・新・国際優良日本株ファンド(10,000円)
から
- 農林中金<パートナーズ>長期厳選投資おおぶね(10,000円)
- スパークス・新・国際優良日本株ファンド(10,000円)
に変更しています。
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『令和の改新、最終章 -作戦術の導入ー』で書いた3つの作戦のQ3での割合は以下の通りです(ESPPと投信積立は除く)。
あまりこれの割合にこだわっている場合ではなくなりましたな。
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これからの世界経済がどうなるかはわかりませんが、とても厳しいものになりそうだというのは仕事を通じてもヒシヒシと体感しています。接客業は一気に瀬戸際に追い込まれているようですし、中長期でみるとSCMの混乱による副作用が思わぬところから噴出してきそうです。
ただ個別株式投資をやっている醍醐味の一つとして、世界の名だたる企業がこれらの危機に対しどのような手を打ってくるのかをじっくり見られることが挙げられますね。
今後のアクションとしては以下の3つを行います。
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