Because I intend to squeeze you. I don't like your kind of people. I don't like to see you come out to this clean country in your oily hair -- dressed up in those silk suits - and try to pass yourselves off as decent Americans. I'll do business with you, but the fact is, I despise your masquerade -- the dishonest way you pose yourself. Yourself, and your whole fucking family.私にとってのオールタイムNo.1映画である『The Godfather Part II』で、2代目のドン、マイケル・コルリオーネが、パット・ギアリー上院議員から投げかけられた言葉です。
映画『The Godfather Part II』
あからさまにイタリア系アメリカ人を差別してますね。
この映画は、ヴィトー・コルリオーネ(本名ではない)少年が故郷を追われて着の身着のままニューヨークに流れ着き、そこからN.Y.の暗黒街のボスへとのし上がっていく過程を描いたパートと、その息子マイケルが父から受け継いだ 組織を担っていくパートが、それぞれ交互に描かれていく大作です。新型コロナで外出が憚れる休日にゆっくり鑑賞するには、最適な作品ですぜ。
マイケルのパートは1950年代後半の米国が主な舞台ですが、当時はまだまだWASP(北米に初期に入植した白人英国系プロテスタント)か否か、白人でもイタリア系かアイルランド系か等々、というのは大きな社会的Issueだったのですね。
そのマイケル、のちに査問された組織犯罪対する公聴会で自身がdecentな米国市民であることを強調するために、参謀役のトム・ヘイゲンの耳打ちを受けて次のようなセリフを述べていらっしゃいます。
I also have stock in IBM and IT&T.
なるほど、永遠の不発弾といわれるIBMがいつも人気な理由の一端がわかるというものです。IBMの株式を持つことが健全なる米国市民の証だったのさ。そりゃ、ピーター・リンチさんもウォーレン・バフェットさんも手を出すというもんですわな。
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さて、ご存じの通り私の株式投資は、おおきく米国企業に偏っています。インデックス投資を選択するのであれば、米国株価指数に連動するもの以外ありえない、という考えです(現時点で私が加入している企業型確定拠出年金では該当する商品がなかったので、先進国株式指数に連動するものを仕方がなく選んでいますが)。
これまで複数回その理由を記事にしてきましたが、再度おさらいします。
株式のインデックス投資は、市場平均株価の値上がりに賭ける投資です。だれも値下がりを期待して投資はしませんよね? で、インデックス投資でキャピタルゲインという果実を得るためには、
- その市場の本源的価値が長期的に上がり続ける
- 効率的な市場でなければならない
という2つの前提条件が必要となってきます。
本源的な価値が上がらなければ株価指数は上がらない(株価は価値の影)し、効率的な市場でなければ本源的な価値が株価指数に反映されないからです。
じゃ、その2つは何によって形成されるのか?
その問いに対する私の考えは、
多様性と公正さを尊ぶ精神
になります。そして米国(企業)は、これについては他の追随を許さないワイドなモートを築いているのです。
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強いのは私の方だ。私の属する文明だけが、それぞれに独自の多様性をいずれも損なうことなく、自らの統一性のなかで結び合わせる力を備えているのだから。私の文明は、おのれの力の源泉から活力を得ていると同時に、その源泉を絶えず活気づけているのだ。
サン=テグジュペリ 『戦う操縦士』 鈴木雅生・訳 光文社古典新訳文庫
すこしばかり世界史に目を向けてみます。
世界の覇権国家になるには、決定的な兵器や戦法を開発したり圧倒的な官僚システムを持つことではなく、いかに資金繰りをうまくやるかにかかっていた、てなことを『大国の興亡』で述べた(私の理解なんで違っていたらスミマセン)ポール・ケネディ氏は、産業革命以前の欧州地域の台頭を「ヨーロッパの奇跡」と称し、その理由として地理的な要因で作られた政治と文化の多様性を挙げています。
欧州はアルプスなどの山や森林に分断されていたので、統一的な支配が困難だったのです。またそれらの地理的要因により、地方により気候が異なっています。結果、大陸の隅っこの比較的狭いエリアで、多様な文化が切磋琢磨することによってダイナミズムを維持し続けることができたのです。
それは ― 個々をとればのちの時代のものにくらべて原始的であったにせよ ― 経済面での自由放任主義と政治および軍事的な多様性と知的な事由がいっしょになったものであり、これらがたがいに作用しあって、「ヨーロッパの奇跡」をつくりあげたのである。
ポール・ケネディ 『大国の興亡』 鈴木主税・訳 草思社
ひるがえってほかの地域、例えば中国やトルコ、インド(ムガール帝国)では、いったん覇権が確立してしまうと多様性や自由(公正なルール)というものが失われ、経済や軍事分野におけるダイナミズムが持続しなくなってしまいました。そして欧州諸国の植民地となってしまうのです。
ケネディ氏は、このヨーロッパの奇跡は、歴史的に見てとてもユニークなもので、同じような結果が他地域でおこることはないだろうと述べていますが、持続性をのぞくと短期間に奇跡的な発展を遂げた国がありますね。
日本です。
日本も欧州と同じく主に地理的な要因で各地域にそれぞれ独立性の強い領主が存在していました。江戸幕府下の藩でもそうです。なおかつ比較的狭い地域に異なる気候が存在するため、多種多様な技術や文化が発展していました。
余談ながら、徳川三百年は江戸に将軍がいるとはいえ、三百諸侯が地方々々にそれぞれの小政権をもち、城下町を充実し、そこを政治、経済、文化の中心たらしめていた。
が、それが、明治四年の廃藩置県でにわかにくずれ、日本は東京政府を中心とする中央集権制になった。
司馬遼太郎 『坂の上の雲(一)』 文春文庫明治維新で人の移動が自由になった結果、それらが融合し、国は目覚ましい発展を遂げます。
というわけで、国・地域の発展は、その社会に多様性が認められるか否かがひとつのカギとなります。多様性こそが社会にダイナミズムをもたらす源なのです。
そして多様性を武器にするには、面倒くさいのですが知恵を絞って価値観が異なる人々をフェア(公正)に扱うことが 必要となってきます。多様性を阻害するのは文化的かつイデオロギー的な正統主義なのですが、マイノリティーな考えをできうる限り公正に扱うことによって、その弊害を取り除くことができます。
さて、世界史をおおまかになぞっていくと、15・16世紀以降の近代にヨーロッパ諸国が台頭し、スペインやイギリスが帝国を築き、大国の興亡を繰り広げます。その後米国が独立。一時的にナチス・ドイツや大日本帝国、共産主義国家も存在感を見せますが、持続しませんでした。
世界史上のマイルストーンである第一次世界大戦後からずっと大いなる存在感を誇り続けているのは米国だけです。ここで以下の歴史の潮流を見ることができます。
- 画一性を誇る、あるいはそれを目指す国や社会は、もはや人類史上的にトレンディーではない。それはごく短期間において目覚ましい強さを見せることがあるが、持続しない。
大英帝国は世界各地で自分たちの流儀を押し通そうとして疲弊していった。共産主義国家はその理念と裏腹に人を公正に扱わなかったため、自己崩壊していった。ナチスドイツはすべての人の肌の色を純白にしようともくろんだ結果、壊滅させられた。日本列島では多様性が失われ、成長が長期的に持続しない・・・and so on.
現在において、米国ほど多様性と公正さを尊重する文化が根付いている国はありません。そしてその分野における米国とそれ以外の国と地域の差(モート)は日ごとにワイドになっていくように見受けられます。
WASPだのイタリア系だの言っている段階は、とうの昔に過ぎ去ったのである。Speak softly love, Godfather...
長くなったので、その2につづく。
情報開示:とくになし
連休中は『The Godfather』を楽しみましょう。NHKのBSプレミアムで4/29にPart 1、5/6にPart2、5/13にPart3が、いずれも午後一時から放映です!
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