2015年2月7日土曜日

帝国の行く末 - マクド(MCD) ‐

"You were around the old timers who dreamed up how the families should be organized, how they based upon the old Roman Legions, and called them 'Regimes'... with the 'Capos' and 'Soldiers,' and it worked."
"Yeah, it worked.  Those were great old days, you know.  And we was like the Roman Empire.  The Corleone family was like the Roman Empire."
"Yeah...  It was once..."

映画『ゴッドファーザー Part II』より、トム・ヘイゲンとフランキー・ペンタンジェリの会話

ヴィトー・コルリオーネは、少年時代にシチリアから命からがらニューヨークに逃れてきます。そしてそこで知り合ったクレメンザ、テシオ、ジェンコ(映画では存在感あんまりなし)と共にニューヨークでもっとも影響力のあるファミリーを築き上げます。

彼は、教会や法律が禁止しているけれども、人々の営みに絶対に欠かせないモノやサービスを(非合法的に)提供することによって、富と影響力を強めていきます。そうです、御大バフェットと同じく、ドン・コルリオーネも生活必需品に投資し、ビジネスをすることによって莫大な富を築き上げたのです。

一例を『ゴッド・ファーザーPart I』のドンのセリフから抜粋してみましょう。


"Because, I believe this drug (注) business will destroy us in the years to come. I mean, it's not like gambling or liquor, even women, which is something that most people want nowadays, and is ah forbidden to them by the pezzonovante of the Church."


(注) 薬のことではなくクスリです


・・・えーと、ギャンブルと酒と女ですか・・・ちょっと違うかな。まあこれらは確かにある意味生活必需なもので・・・禁酒法を逆手にとって大儲けだったんでしょうな。


ただクスリは人を破壊するのでドンの好むところではなかったようです。そしてその儲けが桁外れに大きいクスリを扱う他のファミリーに挑まれて、次第に劣勢に追い込まれていきます。そんななかコルリオーネ家は三男のマイケルに引き継がれます。


マイケルはなんとかファミリーを維持するために、敵にも、手下にも、自身の家族にも冷酷にふるまいます。Part IIではますますその冷酷さに磨きがかけられ・・・このPart IIの見所の一つはマイケルの一挙手一投足を食い入るように見つめ、ひそやかな目配せを互いにかわす手下たちの反応だったりますね。


冒頭で引用した、クレメンザの古参の手下で、歴史に造詣のあるフランキーと、ファミリーの相談役トムのやり取りは、part IIの終盤のワンシーンからで、私がゴッドファーザーの物語の中でも最も好きなシーンの一つです。トムの"Yeah...  It was once..."のところでいつも涙がでてきます。あのしぐさ、あの目線、あの間合い、あの顔の角度、あの声の響き。そしてまたこの音楽の入るタイミングが絶妙なんだな、これが。


俺たちはすごかったよな、コルリオーネ・ファミリーはまるでローマ帝国だったよな。

ああ・・・かつてはな・・・

ご存知の通り、かつてファストフードの世界で栄華を誇っていたマクド(MCD)が劣勢に立たされております。とくに日本はひどいことになってますな。もはやマクドで注文するときは、「チーズバーガーのMセット、異物抜きで」と頼まないといけないかもしれません。いっそのこと、最初から異物あり・なしで値段の差をつけてメニューを作った方がいいかもしれない。


グローバル全体でも大苦戦中です。なになに、2014年度のQ4は前年同期比でRevenueは‐7%、Operating Incomeは‐20%、EPSは-19%・・・CEOのドン・トンプソン氏は去っていきました。2015年2/11追記、正しくはトンプソン氏は2015年2月末で退任です。失礼しました。


MCDは去年の9月にThe 3rd Man's Fundに加えました。ポートフォリオの新参者で、まだまだ手放すつもりはありません。ひどい減配とかしない限り。個人的にはこの39年連続増配を成し遂げている企業が、新たなCEOのもと、どういうふうにファイトバックしていくのか興味津々です。楽しみです。


そして本当にささやかではありますが、MCDのShare holderであるということが、その楽しみを増大しています。20年後に、どうでしょう、マクドはすごかったよなあ、という問いに、Yeah, it was once...と答えることになるのか、それとも、Yeah, it was...and still is.になるのか。


しかと見届けようぞ。

またアニュアルレポートがでたらフォローしてみたいと思います。


情報開示:このエントリーを書いている時点でMCD33株保有


今日は奥さんが終日外出してたので、午前はテニス、午後は心置きなくゴッドファーザーを堪能、というすばらしい一日を過ごせたのでした。いかん、掃除が終わっていない・・・私もテシオと同じ運命をたどりそうだな…

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