2014年12月3日水曜日

照柿(てりがき)色に輝いて -エマ-ソン・エレクトリック(EMR)-

“ さえざえとした頭の芯で鈍い痛みが脈打っているのを感じたとき、達夫はその芯に鮮やかな炎の色がひとつ浮かんでいるのを見た。濃い臙脂色に艶と深い輝きを加えた、一種独特の色だった。そういえば、あの色の名前は何というのだったか - 。
<中略>
 そうだ。照柿という色だ。唯一、晩秋の西日に照らされて映える熟柿の色。達夫は、もう二十年も見たことも口にしたこともなかった特別な色の和名一つを思い出してから、そんなものがいまごろ突然浮かんでくるのも、変調の一つの徴だろうと思った。
高村 薫 『照柿』 新潮文庫
先日引っ越してきた新居の外には、狭いながらもちょっとした林があり 、そこに一本の柿の木があります。実ったまま放置されている柿が、夕日を浴びて照柿色に輝いており、オナガの群れがやってきて、その熟した果実をかわるがわるついばんでいます。

照柿色は成熟の証、もう日本の秋も終わりです。

で、今年最後にレビューする企業はエマーソン・エレクトリック(EMR)、米国ミズーリ州はセントルイスのファーガソン(例のアフリカ系米国人が警官に射殺された事件で騒ぎになっているところ)に本拠地を置く、米国を代表するコングロマリット、この11月にQあたり$0.43から$0.47に増配し、58年!!!連続増配当中の押しも押されぬ巨大成熟企業です。

なにせ2013年度版(他の年度は見ていない)のアニュアルレポートに記載されているグラフが全部、柿色ですからね、自らの成熟度合いをよくよく承知しているっぽいです。

一例をあげると、地域別Salesのグラフは以下の通りになっています。37%がEmerging Marketですか。えっと、日本はどういう扱いかな?
アニュアルレポートより

この色は単に企業カラーなのでしょうか・・・なんにせよ、Sandy & Dry & Steelyなキンバリークラーク(KMB)のアニュアルレポートの色合いとは趣が違います。その成熟度に敬意を表し、当ブログではEMRに関する記述は照柿色でやらせていただく所存であります。

さっそくRevenueを見てみましょう。
ソースはモーニングスターのサイト

Revenueは横ばい、しかしOperating Marginがじりじりと上がっているのが成熟企業らしくてよろしい。いぶし銀のワザです。往年のドリー・ファンク・ジュニアのサイドスープレックスみたいです。

次に一株当たりの指標。
ソースはモーニングスターのサイト

EPSは凸凹で、きれいな右肩上がりというわけではありません。しかしフリーキャッシュフロー(FCF)が潤沢であります。というわけでFCFに対するPayout Ratioが低いですね。ちょっとキャッシュフローを確認。
ソースはモーニングスターのサイト

意外や意外、Capexは少なくて済んでいますね。もっと設備投資とかにお金がかかるのかと思っていました。キャッシュフローを別の角度から見ます。
アニュアルレポートより、項目は適当にまとめています


アニュアルレポートはまだ2014年度版が出ていないようなので、ちょっと古いデータになりますが、最近コカ・コーラ(KO)のキャッシュフローを見続けていた私にとっては、なんとも心穏やかになるウォーターフォールチャートになります。2013年度は少しばかり債権発行が増えたりしていますが、微々たるものです。

BSは:
ソースはYahoo! Finance、項目は適当にまとめています

とくになにも問題ないように思います。若干Current ratioが低いかな。

稼ぎ(Net cash provided by operating activities)に対する配当&自社株買いの割合、および負債の動向です。ソースはモーニングスターのサイト。負債の単位は$Million。
ここのところShort term debtが増加中です。低金利ですからね。ちなみにメドトロニック(MDT)が$17BのCorporate Bond(社債)を発行した結果 、US Corporate bondのSalesの年間記録が塗り替えられたというニュースがありました。時勢ですかなー。 

株価の動きを2008年1月からS&P500と比較してみました。
Yahoo! Financeより
市場が下落した時は同じような勢いで下落しています。とくにディフェンシブではないです。最近は高値更新中のS&P500についていけておりません。熟しすぎたか!? そのせいかどうかは知りませんがEMRは、粛々と自社株買いをしておりますね。


というわけで、私的には一見なんら問題がない銘柄です。しかしですね、私にとって、ひとつ大きな問題が・・・。

何をやっている会社なのか、いまいちよーわからん。

いちおうセグメントは以下のように分かれるようです。 
アニュアルレポートより
私にはこれ以上深く掘り下げる能力はいまのところ無いので、詳しくはウィキペディアを参照されたし。日本語でもわからないものはわからないですが。コングロマリットはこれだから困る。スリーエム(MMM)やジェネラルエレクトリック(GE)も何やってんだか説明しろと言われても途方に暮れますね、少なくとも私は。

このわからなさが、私がちょっと敬遠してきた理由ではありますが・・・でも58年連続増配当という偉大な企業であるし、EMRを除いたThe 3rd man's Fundは、まるで柿の木が無い日本の秋の風景みたいになってしまうので、無視をするわけにはいきません。

次回の定期獲得時の超有力候補であります。

情報開示:とくになし

Appendix: ROEとCurrent Ratioの比較 、ありゃ、Current RatioはEMRが最下位ですな。
 
ソースはモーニングスターのサイト
 
ソースはモーニングスターのサイト


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