2014年11月4日火曜日

岩盤規制の犯人は? -2014年のサイモンとガーファンクル-

"Hiding in my room, safe within my womb.
I touch no one and no one touches me.
I am a rock,
I am an island.
"


Paul Simon作詞 『I Am A Rock』、played by Simon & Garfunkel 

コカ・コーラのキャッシュフローを追いかけるのをちょっと脇にどけておいて、日銀のバズーカ第二弾について・・・

以前に書きました通り、黒田さんのバズーカは、我が家にとっては非常に困った政策です。日銀での決定会合で賛成5、反対4だったとか。11/1の毎日新聞朝刊に以下のように賛成・反対のメンバーが記載されていました。


私はこちらの皆様方の経歴をこれ以上は知らないのですが、ぱっと見たところ、バッターボックスに立ったことのある人は反対、スコアブック片手にバックネット裏であーだこーだ言っているけどバットを握ったことがない人は賛成、のように見受けられます。大丈夫かな。

黒田さんが目指しているのは、金融緩和によって物価上昇というかインフレを誘導し、その結果現金の将来の価値が落ちるのを見越した企業や個人が現金を使い始めるのことによって経済を活性化させるということだと、私は理解しています。あってるかな?もちろん円安による輸出増加への期待もあったかとは思いますが。

ふつうは経済が活発な結果、インフレが起こるのですが、その順番を逆にいこうという発想ですね。

以前見たテレビの話ですが・・・ふつうは楽しいと感じたときに人は笑うのですが、脳は騙されやすいので、気分が落ち込んでいるときでも無理やり笑みを浮かべると結果的に楽しい気分になれるということをやっていました。落ち込んだ気分を回復させる方法です。たしか脳科学者の茂木健一郎さんが言っていたような気がする・・・。

黒田さんは、この回復方法を経済でやってのけようとしていますね。はたして脳のように実体経済を、人為的なインフレでうまく騙すことが出来るでしょうか?

この金融政策により、個人的には、保有しているドル建て資産は含み益として増えました。一方で日々購入している食料や生活必需品、エネルギー代は円安で値上がり傾向でダメージがとまらなくなりつつあるし、海外旅行の選択肢は減るし、ドル建て金融資産も値上がりです。

実質的にも機会的にもネガティブインパクトの方が大きい。

以下のグラフの金融資産を抱え込んでいる年配の人々にとっても、今回の金融政策によって購買力が損なわれつつあるのではないでしょうか。木枯らしピューピュー状態です、とくに地方は。せっかく涙ぐましい苦労をして日本を経済大国にし、YENを一流通貨にしてきたのに、その功労者から購買力を奪ってどうする。これじゃ彼らは益々不安になって、さらなる福祉の充実を要求し、且つその資産をがっしり抱え込みにはしるに違いない。お金のめぐりがさらに悪くなるのでは?と思いますがどうでしょう。
データのソースはコチラのエントリーに記載
やっぱりですね、日本の経済の再生は岩盤規制をとっぱらうことによって民間投資を喚起する成長戦略が王道だと思いますね。金融緩和よりそれが先だ、農協なんぞ解体だ、などと思って意気盛んに新聞を読んでおりますと・・・11/4の毎日新聞の吉田啓志氏による『薬価の「毎年改定」焦点』という記事に目がとまりました。
国が2年に1度の診療報酬改定と同時に定める薬の公定価格(薬価)を毎年改定するかどうかが、2015年度予算編成の争点の一つに浮上してきた
のだそうである。これは医療機器も含まれると思われます。

まったくもう、馬鹿も休み休みにしてもらいたい。ただでさえ日本での医療機器の承認は時間と手間と金がかかる。さらに日本語添付文書だのなんだのといろいろコストがかさむ。おまけに日本には富山の薬の置き在庫商売の伝統があり、なおかつオラが村根性の結果病院が乱立し、加えて先生方の派閥争いがあり、なんだかんだで日々のオペをカバーするのにあきれ返るほどの在庫が必要になっていて、日本で商売するのはとても高コストなのである。

それなのに毎年価格を下げられるとなると、冗談ではなく日本に新しい治療法が入ってこなくなる、そうなると日本人のQuality Of Lifeにとってとっても由々しき問題だ、コスト削減するなら他でやってもらいたい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ、なんということだろう、いつしか私も知らず知らずのうちに『I Am A Rock』を口ずさむ人間になってしまったようだ・・・わが身を脅かされてしまうと上記のようなもっともらしい(事実もっともではあるが)論法がスラスラと出てくるOne of those 岩盤規制ニストになり果ててしまった。

サイモン&ガーファンクルの名曲は、繊細な若者が傷ついたがゆえの引きこもり願望を唄ったものですが、これが40を越えたおっさんの手にかかると、己の卑近な現実をかたくなに守ろうとする開き直りソングになってしまう。若き読者よ(いるのか?)、これが年をとるってことですぜ。官僚も医者も先生も新聞記者も、みんなこれを歌って今日を生きのびているのです。I am a rock, I am an island、僕は岩だ、僕は孤島なんだ・・・。

なかなか3本目の矢は厳しいわけですね。

ああ、我ながら、木枯らしが身に染みる、さみしいエントリーになってしまいました。

情報開示:とくになし





 

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