2014年11月14日金曜日

英雄の彷徨 2010-2013 -コカ・コーラ(KO)-

“ グインは鳥をにらみつけた。鳥は、ばかにしたように黄色の目で放浪者を見おろし、くちばしを開いて、「クワーッ」と啼いた。
「もう一度だけきくが、ここはどこだ」
それから目をそらして、グインは云った。ランタン婆はこんどは笑わなかった。
「ダークランド」
「それは、何だ。どこにある」
「あんたの国の裏側に。あんたの見失った時間の中に」

栗本 薫 『樹怪 - 黄昏の国の戦士』 早川文庫 『時の封土』に収録
2010年から2013年のコカ・コーラのキャッシュフローを追っていきます。このころの株価の動向は:





Yahoo! Financeより

2つ目はS&P500との比較です。ユーロ危機の際には強く、S&P500上昇局面にはついていけていない、典型的なディフェンシブ銘柄の株価の動きとなっています。私は2011年から13年にかけて3回に分けて購入しています。

ではあらためてコカ・コーラ(KO)のおさらいをしてみましょう。

コカ・コーラ、泣く子も黙る資本主義の最強の兵器にして最上のアイコン。そのコカ・コーラを筆頭に500種以上の非アルコールの炭酸飲料やジュース、ウォーターのブランドを擁し、それらのライセンス供与やマーケティングを行っています。ヘッドクオーターはジョージア州アトランタ。2013年度末で従業員数は13万600人。52年連続増配中。今、私はスプライト片手にこの記事を執筆中。御大バフェットはチェリーコーク片手にDuracellの価値を検討中(おそらく)。

米国での乾電池というと、私にはEnergizerしか思い浮かばんけど・・・Anyhow、話題がそれた、keep going, and going...

おもなブランドは以下の通り。私が知っているものを黄色くハイライト。
Annual Reportより抜粋
Ayatakaって英語で書かれると???ですね。タイかどっかの飲料かと思った。Dasaniはウォーターのブランドで、勤め先のUS本社のカフェテリアにどっさりあったけど、誤ってダサイと読んでしまい、なんとなく手を出していません。

Coca Cola System(ボトラーズを含んだ販売体制のことと思う)は、2013年度にunit cases で28.2billionを全世界で販売し、そのブランドは200ヶ国以上で消費されているとのことで、米国外での販売量が81%を占めています。炭酸飲料が占める割合は74%だそうです。

最終製品はボトラーズを通じて販売されていることが多いようですが、前回のエントリーにコメントがあったように、結構KOはボトラーズを買収したり、その株式を取得したりすることがよくあります。

理由としては、あまり販売のパフォーマンスがよくない地域のテコ入れのために、KOが培ったマーケティングや販売知識を効率的にシェアし、IT設備等を導入したりするためだそうです。まあ、せっかくボトラーズの人々や設備ががわんさかあるのに、その地域にKOそのものがあらたに進出しても非効率かもしれませんね。あとは物流網の整理とかの効率化も行っているようです。

ジョージアの例もある通り、地域密着型のボトラーズからメガブランドが誕生することもあるみたいです。あれは冬枯れ対策だったのか。KOの本社がアーカンソーとかユタだったら、どうしてたんだろ。なんにせよ、米国人から見たら、なんでやねんっていうブランド名ですね。ダイドードリンコのお茶が海外でナカノシマというブランド名で売られているようなもんで・・・まあ、べつにいいんですけど。

Revenueと一株当たりの指標。ソースはモーニングスターのサイトです。

2011年度からRevenueが増えているのは、ボトラーズのCoca Cola Enterprise(CCE)の北米オペレーションの買収と、それに付随する私の愛するDPSとのライセンス契約によるものです。金融危機による不況下で、テコ入れだったのでしょうか。結果、マージンが低下してます。

それでですね、キャッシュフローの動向はというと、CCEの買収とかでいろいろ物入りだったのもあるのでしょうが、2009年から大量に行い始めた、まるで黒田バズーカの金融緩和のごとき債券発行が、私から見れば収拾がつかなくなっている。2010から2013年度のキャッシュフロー合計のウォーターフォール。これ以下のグラフはAnnual Reportの数字をもとに作成、項目は適当にまとめています。

2000年から5年ごと(注、直近は4年分!)にまとめたキャッシュフローは以下の通り。


1年少ないにもかかわらず、どうです、この最後の期間の派手な動き。気になるのが2009年のAnnual Reportには、低金利のコマーシャルペーパーで調達した資金で定期預金に投資し始めた云々が書かれてありましたが、それ以降はいくら借りていくら返した、格付け会社からは高いグレードをもらっている、我らの信用力は絶大ということしか書かれていません。

おそらく、返済のためにあらたに借りることを繰り返しているのでいっぱいいっぱいなのではないかと推測します。

こりゃ、別の見方をすると、KOの信用力の証しを表すグラフと言えなくもないですな。

しかし、とうとう2013年のレポートには、フィッチがRatingのOutlookを、StableからNegativeに変えやがった、けど、まだ借り入れには問題ないぜ、と書いています。

BSは:

2009から2013年度にかけて、規模は1.85倍、純資産は1.32倍、負債は全てひっくるめて2.43倍です。なんだかダークランドを彷徨って、自身を見失っているような感じがします。

さーて。

情報開示:KO430株、DPS95株保有



 



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