2014年6月24日火曜日

Cola - 資本主義のアイコン ペプシコ(PEP)の分析

このペプシコーラは麻薬みたいに効いた。飲んだとたんに元気になった。栄養失調の体に糖分とカフェインが入ったからだと思うが、何かもっと違う効き目があったような気がする。
こんなにうまいものは後にも先にも飲んだことがない。難民キャンプに戻りながら、私は「うまい、実にうまい」と呟きつづけていた。
ハイン・ニョル、ロジャー・ワーナー 『キリング・フィールドからの生還』 吉岡晶子訳 光文社
高校の時に地上波のロードショーで『キリングフィールド』という映画を観て、とても衝撃を受けたことを覚えています。その映画の主人公の一人、プランを演じたハイン・ニョル氏は、出身地であるカンボジアでクメール・ルージュに4年間拘束され、過酷な拷問や強制労働を受けた後、九死に一生を得て米国に移住ました。

『キリングフィールドからの生還』という本は、氏が実際に体験したことをまとめた回想記です。とてもいい本なのですが残念ながら現時点で絶版です。冒頭の引用は、氏がカンボジアからタイに脱出し、一時的に身を寄せていた難民キャンプの近所のマーケットで量り売り(!)されていたペプシコーラを飲んだシーンです。 

クメール・ルージュが席巻する前の平和なカンボジアの時代のインテリであった氏にとっては、コーラは珍しいものではなかったのです。その氏が言う何かもっと違う効き目とは何だったのでしょう。私が思うに、資本主義が生み出す人間らしさと豊かさの世界に再び生きて戻ってくることが出来たという安堵感と感慨を、彼はコーラを飲むことによって実感したのではないでしょうか。

その昔、As steel goes, so goes the nationというフレーズがあったそうですが、いまとなってはAs Cola goes, so goes Capitalismのほうが説得力がありそうです。欧米の軍隊が撤退した後の暴力と腐敗が支配する混沌とした東南アジアにおいても、ペプシコーラは(きっとコカコーラも)その地に留まり、人々のあらゆる渇きを満たし、且つ刺激し続けたのでした。おそらく未来永劫に、世界中のどこででも、人間の豊かさへの欲望・憧れを刺激し続けるでしょう。

もはやコーラは単なる商品・飲料ではありません。資本主義の最強最後の兵器であり、アイコンなのです。

というわけで、四の五の言わずにKOやPEPは黙って持っておけばいいじゃないかと思いますが、それじゃあんまりアレなんで、野暮を承知で分析めいたことを・・・

PEPは食品・飲料会社で、42年連続増配当中。扱っている主なブランドは、Pepsi, Gatorade, Mountain Dew(留学当初はこれにハマった), Tropicana, Doritos(いまだにハマっている), Cheetos等々・・・いやー資本主義って体に悪そうですね。

Revenue(以下グラフのソースはモーニングスターのサイト) 
BeverageとFoodの売上は約半々、同じく米国と米国外の売上も約半々です。
2010年あたりから売り上げが増加しているのはロシアの企業や、Pepsi Bottling Group、Pepsi American Groupを買収した結果と思われます。マージンは低下してますね。

Annual Report 2013には、2030年までに新たに30億人がミドルクラスに加わるかもしれないという調査が紹介されており、そうなってくると量り売りでないコーラを飲む層が増えるので、PEPも恩恵を大いにうけることでしょう。

使い古しの壜を持参して、誇らしげに「満タンで(Fill it up, please)」とか言ってペプシ頼んだりしてたら、かっこいいですね。私もやってみたい。ちなみに冒頭の引用は1979年のタイの辺境が舞台なので、現在コーラの量り売りが世界のどこかで存在しているのかどうかは知りませんが。

一株当たりの指標
文句ありません。
さて、新たなる試みですが、過去2年間のBSとPL(項目は私が適当にまとめています。)




とくに問題なさげです。Net incomeも純資産もは9%伸びてるし。Cash Flowは:
2013は9.6B稼いで、Capexに2.6B使い、上記の表からはわかりませんが、6.4B自社株買いと配当に使っています。稼ぎでやりくりできているように見受けられますね。

現時点でPEPは獲得候補です。

情報公開:KO430株保有

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