“「それから」と運転手はルームミラーに向かって言った。「ひとつ覚えておいていただきたいのですが、ものごとは見かけと違います」”
村上 春樹 『1Q84 BOOK1 <4月‐6月> 前篇』 新潮文庫 平成24年 P25予めお断りしておきますが、自己紹介でも書いたように、私は会計や金融は素人です。ものすごい勘違いをしている可能性があります。英語を誤訳している場合もあるかと思います。もし間違いがあったら、ご指摘いただければ幸いです。
以前レビューしたPMですが、先だって三洋貿易(3176)を放出してできた資金を使って獲得しようと考えて、再度Annual Reportを眺めていたら、バランスシートのTotal Stockholder Equityの項目のところに目がとまりました。
USDで-7.7Billionです。
Total Assets - Total Liabilities = Shareholder Equity
なので、負債が資産を上回ってしまっています。
いったいこれは何を意味しているのでしょうか?
前回レビューした際にEPSと一株当たりの配当・フリーキャッシュフロー(FCF) を見てみました。(ソースはモーニングスターのサイト) ついでに発行済み株式の数の推移も載せます。
これだけを見ると、PMは連続増配等株式銘柄としては申し分ないように見受けられます。
EPSは増加傾向だし、配当も毎年伸びているし、FCFは潤沢です。発行済み株式の数は毎年減って株主への還元に努めています。
Nice!!!
しかしバランスシートの過去3年間のTotal Stockholder Equityは以下の通りです。年々大幅に悪化しています。(ソースはYahoo! Finance、単位をbillionにして四捨五入しています)
これを見て、しばらく前に日本経済新聞朝刊に書かれた記事を思い出しました。平成26年3月9日の3面、『長期成長、損なう恐れ』と題された西村博之氏の記事です。
要約すると:
米企業では株価を押し上げるために自社株買いが主要500社の9割近くに広がっているが、借金による自社株買いも急増している(全体の社債発行の7割)。自社株買いは自己資本率や負債比率を悪化させる面がある。Research & DevelopのR&Dではなく、Repurchase & Dividendに偏ると経済全体の活力もそがれる恐れがあるというような内容です。
これ、PMにドンピシャあてはまるのではないか?
そこでPMのAnnual Reportのキャッシュフローステートメントから気になる項目の過去3年間の数字をひっぱってきました。単位をbillionにして四捨五入しています。
2013年度でみると、8.85B稼いでいます。それでもって5.96B自社株買いをし、5.72Bの配当を出しています。5.96+5.72=11.68Bです!! 稼ぎより多いですね。どうも足りない分は7.18Bの借り入れから賄っているようです。2011年度と比べるとNet earningは増えていないですが、借り入れは1.9倍になっておりまする・・・
これは株主に対して、いい恰好をしようとしすぎて、身の丈を超えた自社株買いと配当を行っているのでは?自社株買いや配当をするための借金って、なんだかヘンじゃないですか?
まあPMはそんなにResearch & Developmentは必要ないかもしれないけど、それにしてもね。
というわけで引き続き調査中です。Stay tuned。
情報開示:とくになし。
Balance sheeとかCash Flow Statementとか苦手だなー。しかも英語やし・・・。
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