2014年5月19日月曜日

PM (フィリップ モリス インターナショナル)再調査 その1

“「それから」と運転手はルームミラーに向かって言った。「ひとつ覚えておいていただきたいのですが、ものごとは見かけと違います」
村上 春樹 『1Q84 BOOK1 <4月‐6月> 前篇』 新潮文庫 平成24年 P25
予めお断りしておきますが、自己紹介でも書いたように、私は会計や金融は素人です。ものすごい勘違いをしている可能性があります。英語を誤訳している場合もあるかと思います。もし間違いがあったら、ご指摘いただければ幸いです。

以前レビューしたPMですが、先だって三洋貿易(3176)を放出してできた資金を使って獲得しようと考えて、再度Annual Reportを眺めていたら、バランスシートのTotal Stockholder Equityの項目のところに目がとまりました。

USDで-7.7Billionです。

Total Assets - Total Liabilities = Shareholder Equity

なので、負債が資産を上回ってしまっています。
いったいこれは何を意味しているのでしょうか?

前回レビューした際にEPSと一株当たりの配当・フリーキャッシュフロー(FCF) を見てみました。(ソースはモーニングスターのサイト) ついでに発行済み株式の数の推移も載せます。
これだけを見ると、PMは連続増配等株式銘柄としては申し分ないように見受けられます。
EPSは増加傾向だし、配当も毎年伸びているし、FCFは潤沢です。発行済み株式の数は毎年減って株主への還元に努めています。

Nice!!!

しかしバランスシートの過去3年間のTotal Stockholder Equityは以下の通りです。年々大幅に悪化しています。(ソースはYahoo! Finance、単位をbillionにして四捨五入しています)


これを見て、しばらく前に日本経済新聞朝刊に書かれた記事を思い出しました。平成26年3月9日の3面、『長期成長、損なう恐れ』と題された西村博之氏の記事です。

要約すると:
米企業では株価を押し上げるために自社株買いが主要500社の9割近くに広がっているが、借金による自社株買いも急増している(全体の社債発行の7割)。自社株買いは自己資本率や負債比率を悪化させる面がある。Research & DevelopのR&Dではなく、Repurchase & Dividendに偏ると経済全体の活力もそがれる恐れがある
 というような内容です。

これ、PMにドンピシャあてはまるのではないか?

そこでPMのAnnual Reportのキャッシュフローステートメントから気になる項目の過去3年間の数字をひっぱってきました。単位をbillionにして四捨五入しています。


2013年度でみると、8.85B稼いでいます。それでもって5.96B自社株買いをし、5.72Bの配当を出しています。5.96+5.72=11.68Bです!!  稼ぎより多いですね。どうも足りない分は7.18Bの借り入れから賄っているようです。2011年度と比べるとNet earningは増えていないですが、借り入れは1.9倍になっておりまする・・・

これは株主に対して、いい恰好をしようとしすぎて、身の丈を超えた自社株買いと配当を行っているのでは?自社株買いや配当をするための借金って、なんだかヘンじゃないですか?

まあPMはそんなにResearch & Developmentは必要ないかもしれないけど、それにしてもね。


というわけで引き続き調査中です。Stay tuned。

情報開示:とくになし。

Balance sheeとかCash Flow Statementとか苦手だなー。しかも英語やし・・・。



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