2023年3月25日土曜日

床は固いのがお好き その3 -フロア&デコア(FND)の2022年度-

For fiscal 2022, 10 of our 14 merchandising departments posted positive comparable sales, led by Building Materials, Plumbing, Millwork, Paint, Hardware, and Kitchen and Bath, which posted comparable sales above the Company average. Our Indoor Garden, Outdoor Garden, Appliances, and Flooring departments posted negative comparable sales.

THE HOME DEPOTの2022年度版10Kレポートより、下線はK.による

もしかしたらホーム・ディーポ(HD)のフロアリング関連を苦しめているのかもしれないフロア&デコア(FND)2022年度をレビューします。ただLowe’sのフロアリング関連の売り上げはずっと好調のようなので、まだなんともいえませんが。





【存在を知ったキッカケ】

インターネットで米国の小売、とくに住宅方面を探していて以下のリンクの記事を見つけました。

Why Floor And Decor Is The Category Killer In Specialty Flooring Retail (forbes.com)

バークシャー・ハサウェイのポートフォリオに加わったから知ったわけではないです、念のため。

【初回の獲得】

初回獲得は2021年8月。以降複数回にわたり追加。

【誰にどのような価値を提供しているか】

FNDのお店は、お気に入りの床を探して複数の店を訪れたり、在庫の取り寄せを待ったりするような時間の浪費を回避することができるOne stop serviceを提供することにより、専門業者を含む消費者から、フラストレーションやバリアを取り除いています。

【参入障壁】

FNDの店舗には以下の特徴があります。

  • その1店舗当たりの規模のでかさ(平均79,000SQRT)、並びフロア関連に特化することにより、競合のお店を圧倒する豊富な種類の商品を在庫できる。純粋に床材だけではなく、シャワールームのドアやカウンター、装飾用のアクセサリー、専門工具等々も扱っています。在庫の品目数(SKU)は約4,400。
  • 床にフォーカスすることで、店員が専門的な知識をお客さんに提供できる。
  • ニッチな分野で規模がでかいので、Buying powerを発揮して、everyday low priceを提供できる。

またその商品の特性上、専門業者の動向が最終消費者に強く影響します(約45%)。FNDはその専門業者のニーズを強く意識したサービスを提供しています。

さらには各ストア・マネジャーには商品の選択や価格設定、ディスプレイの仕方等の柔軟性が与えられていて、ローカルなニーズに応えられるような仕組みになっています。あれだけ広い国土なので、さもありなん。

競合先はHDやLowes等のホームセンターや大型デパートが挙げられますが、フロアに特化したFNDだからこそ提供できる利便性や規模には太刀打ちできないのではないでしょうか。

あと、がっぷり四つの競合としてLL Flooring(LL)があります。ただLLの株価推移を一瞥して、こりゃちょっと力の差がありすぎるのでは、と判断して、LLを偵察するまでには至っていません。

またAmazonをはじめとするE commerceに脅かされる心配もないと思います。なかなか床を宅配するわけにもいかん。そう、FNDはこの特殊な商材に特化したSCM網も築きあげています。

【長期潮流】

令和の改新 その4 - 巨鯨現る -で書いたような米国での人口動態があります。

さらには、米国では通常住居の屋内でも靴のまま過ごすのが一般的です。なので、床の改修の必要性は日本より多いと思われます。また中古住宅市場も日本と比べ活発で、床を含む住宅リフォーム需要は多いです。

FNDの数字を確認してみましょう。






FNDは成長期のステージです。2022年末で191の倉庫型店舗をもっていますが、次の8-9年で500店舗に増やす計画です。(2022年はNetで31店舗増加)

ですのでまだROICがどうとか見る段階ではないかもしれません。キャッシュフローも投資キャッシュフローが多めです。成長ステージの企業の数字がどう変化していくかは興味深く見守りたいと思います。ちなみに営業利益率は過去6年で平均8.7%です。(HDは過去10年で平均14.3%)

ま、CEOのTom Taylor氏は、HDに23年間在籍していた人で、そのあいだHDの店舗数は15未満から2,000以上にまで増えています。成長期の経験豊富な方ですので、安心してお任せです。

2022年は、Comparable store salesの前年比は前年比+9.2%でした。これで14年連続増加達成。

客単価が+17.0%。値上げが影響していますね。

一方、来店客数?購買客数?(Customer transactions)は-6.6%。金利の上昇や、アフターコロナで人々の消費動向が外食や旅行にシフトしたことが理由に挙げられます。あと、過去数年はコロナ禍の特需がありました。

このあたりはHDも同じようなことをアニュアルレポートに書いていましたね。

というわけでFNDは

  • 勝ち方の方程式はあり、なおかつ作りこんでいる最中
  • 変化の激しくない業界にいると私は考える。床になんらかのイノベーションとやらは起きないだろう、たぶん、きっと。
  • 現在店舗数を増やしている最中なので、その資本はいるが、資本集約型とまではいかないのでは?
  • 景気循環には、ある程度は左右される
  • 成長の余地あり、というかそれを睨んで投資
  • 売上高と利益は安定した実績で、今後もそれが維持される可能性が高い
  • 事業内容が私の嗜好にぴったりで、保有のストレスがない

企業であり、引き続き楽しみながら保有、というのが現時点の判断です。


情報開示:この記事を書いている時点でFND221株、HD84株保有


このブログでのFNDについてのその他の記事はこちら

Appendix





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