2023年3月14日火曜日

プールサイドにて その1

2022年末でThe 3rd Man's  Fundの6%を占めていたプール・コーポレーション(POOL)をレビューします。



POOLは米国最大(=世界最大)のプール関連の卸。B2Bで、プールの施工・メンテ業者が主な顧客になります。

【存在を知ったキッカケ】

下記のリンク先の記事。

https://www.nasdaq.com/articles/4-stocks-to-gain-from-the-leisure-recreation-products-industry

このときは米国の小売りでなにか特徴のあるものがないかなあ、と探していました。たぶんそのころピーター・リンチの本でも読み返していたんでしょう。

スポーツ・アウトドア関連に的を絞って探していた記憶があります。ついでにこのときワンウォーター・マリン(ONEW)も知り、一時期保有していましたが、すでに放出済み。

なお、柳下由紀氏が主宰する『Aurea 人生と投資の会II』第143回サロンでPOOLが取り上げられていたので、いそいそと参加したりしてます。

【初回の獲得】

2022年2月。以来折にふれて追加しています。

【誰にどのような価値を提供しているか】

プール施工・メンテ業者への、ワンストップ・サービスによる利便性。なんせPOOLへのサプライヤー業者数は2,200社もある。製品数は20万以上。POOLがなければ、施工・メンテ業者はプールにたどり着くまで、なかなか面倒くさい業務をせざるを得ない破目になる。

【参入障壁】

まず扱っている製品が特殊なので、例えばDIYのホーム・ディーポ(HD)等のような、あるいは一般的なハードウェア製品を扱う小売業者が、あらたに参入してくる可能性は低い。

その特殊なマーケットで、既に全米で376の(ちなみに米国外では44)の販売センターを持っていて、市場シェアが40%とのことなので、いまさら新規企業が付け入る隙はほぼ無い。

また特殊な製品を扱うには特殊な物流手段・方法が必要なため、アマゾンでも崩せない。

【長期潮流】

人々の健康への意識、ならびにコロナによる住への意識の変化、等もあります。また住宅にプールを設置するような人々はもちろん富裕層に該当するわけですが、その富裕層の人口は増えつつあります。


上記は農林中金バリューインベストメンツの奥野一成氏による『投資家の思考法』(ダイヤモンド社)に載せられていた表です。一番上の折れ線グラフが北米での富裕者数の推移(左軸)になります。同書を手に取って一番ニンマリした箇所です。正直ここしか覚えていない(笑)。

ちなみに柳下氏による第143回サロンでも、このグラフが参考資料として使われていたので、ニンマリ・ニンマリです。

それにその特性上、米国でプールが設置される家は、カリフォルニア州やフロリダ州といった温暖な地域に多いです。それらの地域は、仕事を引退した人々がよく移住していきます。で、米国での60歳以上の人口は、2016年で約1億1,250万人なのが、2050年には概ね40%増の1億5,670万人になると推定されています。

POOLの数字を確認してみましょう。


2020、21年はコロナによる特需です。行動制限された富裕層たちが、ならばとばかりにご邸宅にプール設置やグレードアップをしたんでしょうな。

それにつけても資本効率の指標の素晴らしこと。ROIC-WACCスプレッドは安定してプラスで、その値が桁違いに大きいです。また卸という業態にも関わらず、営業利益率も高いですね。

唯一無二の証です。

POOLのビジネスは、約58%がメンテナンス、約22%がリファービッシュ、約20%が新規プールとなっていて、ストック型です。今後もとても安定した収入が期待されます。キャッシュフローを見ても、


2021年度にでっかい買収をした以外は、常に営業キャッシュフローが投資キャッシュフローを大きく上回っています。

足元はインフレ懸念があり、また金利上昇の住宅市況へのインパクトの思惑もありで株価はちょっと調整したのかなと思いますが、そもそも私が思うに富裕層はインフレなんぞどこ吹く風でしょう。

それより直近のsvb破綻の方が自宅にプールみたいな人々へのインパクトがでかそうですが、ま、数十年目線で見ると、そんなに気にすることもないと考えます。

POOLは、変化が比較的激しくない分野において優位性を保っていて、顧客に付加価値を提供できるビジネスモデルを作りこんでおり、それでいて資本集約型というわけではありません。機会があればもっと株数を集めたい。

ただ会社名だけは、もう少し何らかの工夫ができなかったんかい、とも思ふ。

情報開示:この記事を書いている時点でPOOL67株保有

Appendix



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