「成長」は、「価値」計算の際に必要な変数なのです。
ローレンス・A・カニンガム『バフェットからの手紙 第5版』 Pan Rolling
多くの優良企業では、成熟ステージに入ったとしても、常に新たな事業展開やアプローチなどを模索し、不断の変革を行うことによって、成長ステージへ回帰するように尽力し続けている
柳下裕紀 『真のバリュー投資のための企業価値分析』 きんざい
2023年の最初の25%が経過しました。
これまで私の投資先の選定方法は、まず連続増配をしているか否か、そして地味かどうか、で判断するところから始まり、最近は、社会の情勢・予測等々と企業の事業内容を結び付けた、連想ゲームに近いノリに変化していました。
例えば、
- 人類が豊かになれば、糖尿病患者が増える。であればアボット・ラボラトリーズ(ABT)を保有しよう
- 人口が増えれば食料へのニーズがもっと切実になる。だからクボタ。
- 日本は多死社会に突入する。なので鎌倉新書。
というような具合です。このような方法は、ときにはうまくいくこともあります。実際、The 3rd Man's Fundでの上位組入れ企業であり、今後もずっとそのポジションを維持し続けるであろうマコーミックやトラクター・サプライも、どちらかというと当初は連想ゲームで獲得の判断をしています。
しかしThe 3rd Man's Fundは、
社会にとって有意義なバリューを創出することにより長期的に利益を出し続ける企業の株式を厳選し、永代保有する
ことを背骨にしています。回転率を高めて、証券会社の売り上げに貢献することに意義を見出しているのではありません。それにしては、やはり保有株式の獲得・放出の頻度は理想とするよりも多すぎるきらいがあります。現に該当期間中に以下の企業が全放出されました。
- システムディ
- サカタのタネ
- クボタ
- ステップ
- U Haul
- P&G
- A.O. Smith
現在意図的に保有企業数の削減をしていることもありますが、やはり3か月で7社も手放すことになるのはいささか多すぎです。これまで四半期毎に、もしくは年に一度、多すぎる・多すぎる、と唱えてきましたが、全然改善が見受けられていません。
なぜかを考えたときに、持続的な成長への期待が具体的に見えないと、企業の一部を所有し続けるのはしんどいという結論に至りました。
連想ゲームだけでは持続できないのてす。
そこで該当期間中は、なるべく定性的な情報をあまねく収集し、なおかつ数字、とくに収益の増加率やROIC等に留意し、また稼いだ利益がいかにして再投資されているか(これこそが株式投資がゴールドや債券への投資より勝る源泉)を確認して、いかにして価値を創造する仕組みが作りこまれているかを自分なりに考えることを、これまでよりもさらに意識して行うことにしました。
見るのは経営者や従業員の方々の卓越した知見、たゆまない努力、情熱によって成し遂げられる価値創造の成長です。決して配当の成長(連続増配)や株価の成長(いわゆるグロース株投資)にフォーカスするものではありません。それだと順番が逆になり、結局は踊らされてしまうことになりかねません。
なので東証から一喝されたから慌てて動き出すPBR1倍割れ企業には積極的に投資をしないでしょう。別の見地から考慮して結果的に投資先になることはあるでしょうが。
期間中に新規で獲得した日立製作所やミスミグループ本社は、その成長への準備が整ったと判断したからになります。持続可能な価値創造の仕組みが作りこまれていると考えます。
一方グローブライドは、まだそのあたりがいささか心もとない。同社の株式を獲得したときは脳内にワーグナーの『ワルキューレの騎行(The Ride of the Valkyries)』がかかっていました。少しアドレナリンが出すぎた状態だったようです。
次回になにかの株式を獲得する際は、BGMに『美しき青きドナウ』か、あるいはいっそのこと『弦楽のためのアダージョ』をかけるくらいのほうがいいかもしれません。
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情報収集には紙ベースの新聞が一番だと考えています。紙面をばっと広げると、質が高くて信頼のおける(もちろん程度の問題はあるが)広範囲の ー 政治・経済はもとより、各企業の情報や見解、各地の桜の開花情報や健康に良い運動方法まで ー 情報が半ば強制的に目に入ってきます。
これは非常にありがたいことです。ネットではこうはいきません。玉石混合の情報を自分のバイアスや嗜好経由でチョイスせざるを得ないので、私にとっては情報の取捨選択においてのハードルが非常に高いことになります。
その新聞が、とくに紙ベースでは、発行部数が減ってきています。歓迎すべきことです。株式投資に例えて言うと、この状況は企業の自社株買いと同じで、発行部数が減れば減るほど新聞を紙面で読む人の、一人当たりの情報の持ち分の価値が上がっていると言えるでしょう。
これを利用しない手はありません。
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The 3rd Man's Fundのポートフォリオは以下の通りになっています。 (4/1時点、1ドル133.07円で換算)
3つの作戦(参考記事『令和の改新、最終章 -作戦術の導入ー』)のバランスは以下の通りになります。
日立製作所、グローブライド、ミスミグループが加わり、比率が高くなっています。
日立はDX関連事業のルマーダを軸に、製品の売りっぱなしの事業モデルから脱却し、持続的な収益が得られる事業モデルが作りこまれていて、成長ステージに回帰したと考えます。今後はさらに効率的かつ安定的な価値創造が期待できます。
ミスミグループ本社も2019-2023年度で基幹システムを一新していて、アジアでのバリューチェーンのなかで強固なポジションを打ち立てることができると判断しています。
実際のところ上記2社の足元の資本効率は顕著に上昇してきています。
また昨年はインフレに苦しめられたマコーミックもpricing actionが行われており、インフレが落ち着けば結果もついてくるでしょう。人々は日夜スパイスを食べ物に振りかけており、かくいう私もありとあらゆる料理に長野県のお土産の柚子胡椒をかけまくって家族にあきれられています。
スパイスの種類がなんであれ、きっとあなたもそうでしょう。
ただやはりJupiterの比率が多すぎるので、一部をMarsへ資本移動することを検討中です。
【Mars】
米国でのインフレとそれに伴う金利の上昇で一部実需に影響が見受けられ、とくに株式は近視眼的な見地で少々敬遠されているようです。
しかし先のサブプライム金融危機の影響で、米国の住宅市場はミレニアル世代やZ世代の需要に対し、大幅に足りていないのが現実です。すでに起こっている未来です。
まだまだ種まきのチャンスが続きそうです。
【Pluto】
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「バークシャー・ハザウェイがわれわれの保有する事業資産の究極の所有者であるとは考えていません。そうではなく、バークシャー・ハザウェイを通じて、株主の方々が事業資産を保有しているのだと考えています」
アリス・シュローダー『ウォーレン・バフェット伝 スノーボール〔改訂版〕』 伏見 威蕃・訳 日経ビジネス人文庫
上記引用のバフェット氏の考えは受益者にとっては理想的だと思います。アクティブ投信に関しては、その理想の息吹を感じられる以下の3本に積み立てをしました。
- コモンズ30
- 農林中金<パートナーズ>長期厳選投資おおぶね
- スパークス・新・国際優良日本株ファンド
というわけで以下の一本を積み立てています。
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド
それ以外の「投資」は下記のプログラムを通じて行っています。
- ユニセフ・マンスリーサポート
- Table for Kidsのマンスリーサポート
情報開示:面倒くさいのでSkip
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