2023年3月22日水曜日

害虫防除がサイエンスの域に達するとき その8 - ローリンズ(ROL) -

The 3rd Man's  Fundの老舗メンバーの米国の害虫・害獣防除(ペスト・コントロール)のローリンズ(ROL)をレビューします。


【存在を知ったキッカケ】

当ブログの読者様からのコメント。(『北米に忍び寄る危機をジカくせよ - 米国での虫よけ剤 -』)

【初回の獲得】

20162月。同6月に一度追加。

【誰にどのような価値を提供しているか】

一般家庭や商業施設への、質が高くて安定したサービス = 信頼・安心。

【参入障壁】

ニッチな市場で零細の企業を買収し、サービスをスタンダード化することにより規模の経済性を構築していると考えます。2022年には新たに31の企業を買収。

また、アトランタに27,000SQFTのトレーニング施設を擁し、米国のTraining magazine誌で過去20年間に17回、全米でのトレーニングのTop125企業に選ばれています。

ROLは

*一般住居のペストコントロール
*商業施設のペストコントロール
シロアリ関連

の3つのエリアに分かれているが、新CEOのJerry Gahlhoff氏によると、クロスセリングが活発になっているとのことで、これが新たな価値を提供しているようです。

潤沢なCash ⇒ 競合他社買収 ⇒ トレーニング ⇒ クロスセル

という流れが作りこまれていて、価値創造増大につながる戦い方を擁していると考えます。ここまでプロセスが確立している競合他社はいないのではないでしょうか。また買収先にも共通のシステムを導入することにより、業務の効率化が図れていると思います。

大きな競合先としてRentokil、Ecolab、それからAnticimexがアニュアルレポートに挙げられていした。いずれこのあたりの企業も調べてみようかと思います。

【長期潮流】

以下の3つの潮流にうまくのっていますね。

  • 健康意識の高まり
  • 米国の長期的な人口動態
  • 地球温暖化による、やつらの増殖ならびに凶悪化

ROLの数字を確認してみましょう。


収入も利益も2013年以降一度もマイナス成長がなく、ここ数年はダブルディジットで成長しています。過去10年間で利益は売上より平均して高い成長率で、買収後の効率化がうまくできているようです。また営業利益率も10%台後半で、徐々に高くなりつつあります。

ちなみに2022年度は、シロアリ関連の売り上げが15.4%の伸びだったとのことです。これは昨今の米国での居住地の多様化を反映しているのか、それともRentokil社あたりからシェアを奪っているのか、ちょっと気になるところですね。

ROIC(私の計算なのでいささか心もとないけど)も20%台を切ることがほとんどなく、素晴らしい数字をずっと維持し続けています。こりゃ、すごい。その20%を切ったタイミングは、比較的大型の買収を行った時(Clark Pest Control)で、その後徐々に回復していっています。

ROLの収入の80%はReccuringです。よってCash Flowも安定しています。いろいろ買収するけど、その都度トレーニングセンターを新設するわけでもないですので・・・


安定しています。Clark Pest Control社買収のときに初めてDebtがBSに載っていますが、その後せっせと返済しています。ここは米国企業ではあんまり見かけない借金非依存企業です。

CEOが変わったので、今後そのあたり変わるかもしれませんが。

というわけでROLは

  • 勝ち方の方程式を創りこんでいる
  • 変化の激しくない業界にいる
  • 資本集約型ではない
  • 景気循環に大きく左右されない
  • まだまだ零細企業(米国だけで2万社以上)買収による成長の余地あり
  • 売上高と利益は安定した実績で、今後もそれが維持される可能性が高い
  • 私の嗜好にぴったりで、保有のストレスがない

企業であり、うん、こりゃどうあがいても手放しようがない、というのが現時点の判断です。

情報開示:この記事を書いている時点でROL361株保有

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Appendix





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