2021年12月31日金曜日

インデックス投資を広める方法

You see -- all our people are business men, their loyalty is based on that. Now, one thing that I learned from Pop was to try to think as people around you think. Now on that basis, anything's possible.

『ゴッドファーザー part II』

年末になると家族が寝静まったとに観てしまうんですよね、映画の『ゴッドファーザー』。

さて、せんだって今年最後のブログ更新と書いたのですが、年末年始にどうしても仕事の都合上メール等をチェックしないとだめなので、帰省先のワイルドワイフの実家にパソコンを持ち込んでいます。日本以外は、とくに私のカウンターパートがいる地域は、あんまり正月は休まない所なので。

で、ヒマなのでついでにそのパソコンでブログを書いております。

先日、実家に(おそらく)独りで住んでいる年老いた母親が、銀行に勧められるがままに亡き旦那様が遺した退職金を『三菱UFJ新興国再建ファンド通貨選択シリーズ〈トルコリラコース〉』で運用し、(おそらく)かなり資金を減らしてしまったことを嘆いている内容のツイッターをみました。

これ、いろいろ考えさせられますね。

その嘆かれているご本人は、ノーロードのインデックスファンドを積み立てられていらっしゃるようです。

投資方法に関しては、各個人個人が様々な考え方をお持ちだと思います。イスラエル人2人に政治に関して意見を問うと4つの答えが返ってくるというジョークがありますが、投資家100人にベストな投資方法を問うと、おそらく1,500通りくらいの答えが返ってくるのではないでしょうか。

私自身は、インデックス投資は、2nd Bestな選択肢という位置づけです。たとえば勤めている会社での企業型拠出年金のラインアップにロクなアクティブ株式投信がなければ、仕方がなしにインデックス株式投信を選ぶといった具合です(実際そうしている)。

なぜインデックス投資が消去法的に2番目にくるかというと、やはり投資というものの本質は自分なりにしっかり投資先(あるいはファンドの投資方針)を見極めて、そこに自身の大事な資産を投じるというところにあると考えているからです。

インデックス投資だと、いわゆるゾンビ企業へも自動的に自分の資産が投資されてしまうので、たとえそれがいかに小さな割合であっても、居心地が悪く感じます。これだとあんまり世の中に価値をもたらしていない企業の株価も上がることになりかねず、そうなると極端な話、落第の無い学校が醸し出すだらけた雰囲気みたいになってしまい、市場全体にガバナンスがきかなくなり、活力も奪われます。

私自身は資本主義化のマーケットの力=人々のもうけてやるぞというスケベ心の集合体はとても強靭で、そんじょそこらの専制君主的なシステムなんぞ、とても太刀打ちできないと考えているのですが、唯一そのマーケットを弱体化させうる力を持っているのが、インデックス投資的な考えだと確信しています。

あと、インデックス投資はどうしても値札だけを追っかけてしまう方法になってしまいますし。自分自身をイナゴ化することには、あんまり気が進みません。

なので積極的にインデックス投資をしたいとは考えていません。

それを踏まえたうえで・・・、それでもさすがに上記のような資産を棄損してしまうリスクが高く且つ手数料の高い商品よりは、株式指数であれ不動産価格であれ債券価格であれ、それらに連動するインデックス投信の方が、はるかにマシだと思います。なぜなら資産が50%以上も少なくなってしまう可能性は、インデックス投資だと株式に連動するものであってもかなり低いからです(もちろん無いわけではない)。

***

では、世にインデックス投信をもっともっと、とくにお金を持っている比較的年齢の高い方々に広めるにはどうすればいいでしょうか。ちょっと考えてみました。

鎌倉新書の決算説明資料より

まず本当に高齢者の方が資産を増やすような、効率的な運用を求めているのか・・・という疑問が残ります。

もちろん老後の生活費や、子や孫にのこす資産をすこしでも増やしたいという考えはあるでしょう。

でもそれが本当に彼らが望んでいるいことでしょうか。

Try to think as people around you think.


【仮説】

私は、彼らが本当に欲しているのは、「社会とのつながり」だと思う。

人間は社会的な動物で、たとえ現役生活から退いたとしても、人生の最後の最後まで社会になんらかの貢献をしたい、かかわっていたいという思いを懐いている人がほとんどだと思う。なので年老いて精神的にも肉体的にも昔のように社会とかかわれないのは、やはりさみしいものではないか、と思う。ここに心のスキマができます。


When they come, they come at what you love.

『ゴッドファーザー Part III』


そう、金融機関が突いてくるのは、そのスキマです。このスキマは肉親や家族とのコミュニケーションで埋められるものではありません。第三者の、それも法人でないと難しいのです。なぜならこのスキマは自分と社会の間に空いているものだからです。

人々はそこのスキマを埋めてくれるナニモノかに承認してもらうことに価値を見出しているのであり、そのナニモノかがおススメしてくる商品の中身には、正直そんなに価値を見出していないのかもしれない。

それが正しいのであれば・・・2つの大きな難題が浮かび上がります。


  • そもそも効率の良い投資方法を伝えても、対象となる人々に訴求しない
  • 対象となる人々にリーチするチャネルが存在しない

2つ目の方は、そう、ネット等でインデックス投資の良い点やコストの比較はできるのですが、地方にお住いの比較的高齢な人々はIT関連は不得意な方が多いと思われます。なのでネット証券や銀行、あるいはITリテラシーが高いブロガーがどんなにインデックス投資の利点を声高に説いても、その声は届きません。

チャネルは重要です。企業が、たとえば未開拓の国や地域にある同業他社を買収したりしますが、その理由の一つにその地での販売チャネルや流通網を押さえることが挙げられます。一から自前で開拓するのは現実的ではない。

で、対象となる人々のPOS(Point of Sales)はどこにあるかというと、店舗を全国津々浦々に張り巡らしているリアルな銀行にあり、対象となる人々が見出す価値はそれらの店舗で社会の第一線で働いている銀行員と接することにあるのです。

となると、解決方法はひとつ、そのチャネルを有するBrick & Mortarな金融機関にインデックス投信を一押ししてもらうしかない。

しかしネックはBrick & Mortarな金融機関に手数料が安い商品を売るモチベーションがない。その利益の薄さだと、全国津々浦々に張り巡らしている店舗とそこで働く人々を養ってはいけない。

バンカーだって人間です。仕事は失いたくないし、昇給やボーナスは少しでも多いほうがいい。このことは「45歳定年制」を聞いて、サントリー製品不買だあああ!と叫んだ人にはよくわかると思う。なのですこしでも儲かる商品を売る。

これが金融庁長官ご推薦の、まっとうだけれども利幅の薄い商品しか売らないようだったら、そのうちに維持できなくなったお店は次々と閉店し、地方はますます衰退するのではないか。

ちなみにインデックス投資の手数料(信託報酬)最安値みたいなやつの損益分岐点(どれだけの口数を維持できれば商売として魅力的になるか)というのは興味ありますね。せっかくインデックス投資ナイトとかいうイベントがあるんだったら、そのへん突っ込んでもらいたいところ。もう話題になったのかもしれんけど。

話がそれましたが、こうなってくるとそのBrick & Mortarな金融機関にインデックス投信を売ってもらうには、方法は一つしかありません。

Keep your friends close, but your enemies closer.

『ゴッドファーザー Part II』


手数料をむちゃくちゃ高く設定する。

もう10%くらいふんだくるように設定するのです。それでそれらを販売した行員にはインセンティブつけまくるのです。こうなるとコストの安いまっとうなインデックス投信がバンバンと売れまくるでしょう。

アナタのお金が世界中の企業に行き渡るのです。日本はもとより、それこそ米国からマレーシア、ことによるとバンクラディッシュまで。カチッとしたスーツや制服姿の銀行員にこう言い寄られて価値を見出さない高齢者はおりますまい。おまけに長期的には株式指数の値は右肩上がりでもあるし(TOPIXは知らん)。

ついでに信託報酬も、ほかのRinky Dinkyなアクティブ投信をぶっ潰してしまうくらい高くしましょう。

というけで提言。

金融機関の皆様におかれましたは是非とも、

c MAX Metabo シリーズ
CはCostのCですぜ



というインデックス投信を設定して欲しい。株式だと全世界や米国、トピックスとかの指数に連動するやつ。販売手数料は10%、信託報酬は4%くらいで。

正しき人々は手数料を見て脳溢血をおこすかもしれんが、考えてもみましょう。もっと怪しいリスクもりもりな商品に手を出して資産の80%とかを失くしてしまうよりは、こっちの方がだんぜんマシな結果で終わる可能性が高い。

受益者、販売業者、運用業者、ひいては地方の活力の維持と、すべてにおいてWin Winなのではないでしょうか。

懸念を挙げるとすれば・・・冒頭に述べた通り、日本のタンス預金の大部分がなだれ込んだりすると、マーケットが機能不全になることですね。とくにTOPIXあたりには深刻な問題をもたらしそうです。まじで日本の国力が衰えます。

でも、ま、杞憂でしょうな。

なにせ世の中には金融リテラシーが高くて、とても正しい人々が大勢いらっしゃいますので、それらの方々が

一物二価はいけませええええん!
インデックスで信託報酬が0.5パーセント越えとは何事だああああ!
もりちょおおおおかああああん、介入だぜええええ!

と声高に叫んでくれるので、 c Max Metaboが日の目を見ることはないでしょう。

そして人々の資産は溶けていく。

Speak softly, love, Godfather....

情報開示:特に無し

0 件のコメント:

コメントを投稿