"「まあなんだって英雄でしかも豹頭のおまえが、高慢姫をさがし求めてたそがれの国を旅するようになったんだろう。この世にいくらもいない本物の英雄は、この世に何人もいないほんとのその英雄の姫をこそ、どこまででも、竜の炎の息の中まででも、追っかけてゆかなくちゃいけないのだよ。ホイ、あんたは太陽から、どんどん暗闇にむかって駆けてるよ。なんて長い長い暗闇だろう ー なんてまあ長い!」"
栗本 薫 『樹怪 - 黄昏の国の戦士』 早川文庫 『時の封土』に収録中学生のころ、ヒロイックファンタジーとよばれるジャンルの小説が好きで、よく読んでいました。有名なところではロバート・E・ハワードの『コナン・ザ・グレート』シリーズ(シュワルツェネッガー主演で映画になったやつ)があります。
日本のものでは栗本薫氏のグインサーガにハマっていましたね。だいたい30巻程度まで進んだところで、私の趣向が変わってしまった(私のヒーロー像が剣と魔法の世界の超人から、ボストンやロサンジェルスの裏通りを歩く孤高の私立探偵にスライドした)ので、途中で読むのをやめてしましました。
先日、小説など読んだためしのない妻が、本棚の片隅に放置されていた外伝の短編集、『時の封土』を何気に手に取ってしまい、それ以来グイン・サーガに没頭しております。もう12巻まで読み進んでいる。おかげで家にいるときの妻はとても静かになって、私も安らかな週末を過ごせています。さすが、栗本薫さん、たぐいまれなストーリーテラーです。他界されてしまったのが残念です。
話は変わって52年連続増配当中のコカ・コーラ(KO)、ロイターの記事でも書かれているように最近どうも黄昏ています。
現時点でThe 3rd Man's Fundで上位を占めているKOですが、購入した時期は(はっきりと覚えていないのですけど)インデックスから米国個別株式投資に徐々に軸足を移し始めていた2011-2012年あたりです。複数回に分けて購入しています。
KOを選んだ理由は単純で、御大バフェットが保有しているから・・・それだけです。いやあ、やっちゃいましたね。ちなみに何を隠そうジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)も同じ理由です。それ以上でも以下でもありません。ただJNJに関しては、私が購入した時とほぼ同じ時期に、御大は保有数をかなり減らしておりました。後でそれを知った時にゃ汗ダラダラかきましたが(とくに2012年はリスペリドンの副作用の件とかがあったので余計に)、まあいいやっとそのまま保有し続けています。
でもね、いいんですよ、それで。なんせね、『リーマンショック・コンフィデンシャル』(ハヤカワ文庫)を読んでいると、いざ切羽詰まってしまったら、米国財務長官や、名だたる投資銀行や保険会社ののCEOたちですら、みーんな涙目状態で御大にすがりついておりますからね。私みたいな素人が御大の威光に頼るのは、へたなファンドマネジャーに余計な信託報酬を払うよりずっとましってもんですぜ。
というわけで、少々調子悪かろうがなにしようが、減配さえしなけりゃ問題なしと平和な日々を過ごしていたのです。つい先週までは・・・。
事の発端は、アブビー(ABBV)を軽くチェックした時と同じように、簡単にKOのBSとキャッシュのフローを確認しようと思いついたのがいけなかったのです。
まずBSを見てみました。2013(ソースはYahoo! Finance)と2014年(ソースは2014 Q3 Earning Release)の9月時点のものです。
BSに関してはとくに感想ありません。流動性負債が流動性資産に対し多めなのは、競合他社もいっしょですし、食品関連はこんなもののようです。BSの規模が大きくなったほど純資産が増えていないのがちょっと気になるくらいです。
そしてキャッシュフローのウォーターフォールチャートを作ってみたところ、危うくひっくり返りそうになりました。以下は2013年と2014年の、それぞれ年初から9月末までのキャッシュフローです。ソースは2014 Q3 Earning Release。
項目は適当にまとめています |
同業他社のペプシコ(PEP)のそれや、ドクター・ペッパー・スナップルグループ(DPS)のそれと比べても、巨大さが際立っております。唖然としてしまいました。Net Cash Provided by Operating Activitiesの4倍もの借り入れをして、それより若干少なめの負債の返済を繰り返しています。負債の借り換えというのでしょうか・・・素人目からは自転車操業っぽく思える。経営とは、財務とは、こんなもんなんですかね?
借りるより返すのが少ないので、負債は増えていっています。御大バフェットがKOを取得し始めたのは1988年らしい(ZUU online)のですが、私がネットで見つけた一番古いデータは1993年だったので、それからざっくり5年ごとの負債の推移を見てみました。ソースはアニュアルレポート、Short termの値はLoans and note payable + Current maturities of long term debtで計算しています。
うーん、なんかまた汗が出てきて、ノドがカラカラになってきた。いったい連続増配当株式の英雄に何がおこっているのでしょう。今時点でどういう着地点を見出すかさっぱりわかりませんが、ちょっとKOのキャッシュフローを過去に遡って、竜の炎の息の中まで調べていきたいと思います。
とりあえずノドはコークで潤しておこう。To be continued。
情報開示:KO430株、JNJ174株、ABBV108株、DPS95株保有
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