で、そのマクド(MCD)。以前にさらっとレビューしたときは、フリーキャッシュフロー(FCF)に対するpay out ratioがここ2年連続で70%以上だったので、獲得候補から外していました。しかし先日投資方針を改定したので、あらためて獲得候補に浮上してきました。
38年連続増配当中で、2013年末時点で35,429(うちフランチャイズが28,691)店舗を119か国で展開し、毎日約7千万人のお客さんが利用しており、従業員は180万人(フランチャイズ含む)とのことです。コーラとともにタッグを組んで資本主義の最強・最終兵器として世界の食文化を日夜破壊しておりますな。在りし日のブロディとハンセンの世界最強タッグをほうふつとさせます。
Revenueを地域別でみると以下の割合になります。
2013年Annual Reportより |
あら、意外。欧州の方が米国より大きいのですね。欧州はロシアを含んでいます。ちなみにAPMEAはアジアパシフィック・中東・アフリカで、カナダはその他に含まれています。
さすがグローバル、と感心していたらUK、仏、露、独、中国、加、豪、日、米でRevenueの約75%を占めているのだとか。地球上には、まだまだ破壊すべき食文化がたくさん残されているではないか。それにしてもねえ、モスクワにマクドが出来たというニュースが話題になったのも、そんなに昔ではなかったと思うんだけど・・・月日が経つのとマクドがはびこるのは早い。
会社としてはフランチャイズ展開によるDe-centralization(ローカリゼーション)による現地の風土や文化にしなやかに適応する能力が強みとしています。
Revenueと一株当たりの指標を改めて見ます。ソースはモーニングスターのサイト。
いささか気になるのが、増配のペースが速いんじゃないかなーと・・・。あとすでに述べたようにFCF Payout Ratioがここ2年高いです。ではCash Flowをウォーターフォールで確認してみます。
Annual Reportより |
Capexは新規出店と、既存店のメンテ(改装やドライブスルー化)に約半々で使われているようです。2013年度は1,438の出店、1,500既存店のReimageを行ったそうです。
今後は 、例えば米国では朝食、欧州ではMcCafe、APMEAではMcCafeやデリバリーサービスに注力するっていうふうなことを考えているようですが、あんまりジタバタしなくてもいいんじゃないかなあ。
確かに米国でも食に対する意識は変わってきています。たとえば今読んでいる佐久間裕美子氏著の『ヒップな生活革命』(朝日出版社)には、オーガニックな食材や調理の工程にこだわったベンダーが集まるフリーマーケットの盛り上がりや、新鮮さや地産地消の思想に基づいたニューヨークの屋上農園の有機野菜の増加などが取り上げられています。
そういえば先日のTBSの『世界ふしぎ発見!』でも、ニューヨークの食がおいしくなったみたいな内容でしたね。世界の食文化、大逆襲といったところです。
でもですね、世の中にはソニーの盛田氏邸に招かれて、職人にスシをふるまわれても、一口も食べなかった御大ウォーレン・バフェット氏みたいな人もまだまだいます。(最近世界中の大都市で日本食ブームだから、ますますバフェット氏はオマハに閉じこもりがちになるに違いない。)
それに米国では、主に低所得が原因で、6人に1人が1年に1回は食糧不足に陥っていて、それらの人々の多くは仕事や育児に追われ時間がなく、どうしてもファストフードに頼ってしまうそうです。なんせ自炊する場合の所要時間は買い出しから片付けまで平均128分かかりますが、ファストフードなら移動を含めて34分で済むんでね。(ナショナルジオグラフィック誌日本版2014年8月号)
また同じニューヨークでも、たとえばブロンクスでは、ファストフード店が近所にあっても、生鮮食品を売る店がほとんどないようなところもあり、このような地域はフードデザート(食の砂漠)と言われているらしい。(同上)
良いか悪いかは別として、米国、そしてほかの多くの地域でも、ファストフードへの切実なるニーズは存在しているし、それが減っていくことは考えづらいです。
マクドがマクドである限り、マクドは世界の人口動態に沿って、着々と稼ぎ、粛々と増配当してくれるのではないでしょうか。
目下のところマクドには逆風が吹いているようです。どのような問題が発生しているかは、マイブログリストにリンクさせていただいているブログ、配当再投資でのんびり投資さんで、簡潔かつ見事にまとめられています。
MCDの魅力の一つに、なかなか株価の下落時に強いということがあるのですが、最近はさすがにちょっと凹み気味です。もしかしたら絶好のチャンスかもしれません。
私はキャピタルゲインは狙いませんが、配当利回りは高ければ高いほどありがたいので、やはり株価が割安なときに獲得できればそれに越したことはありません。今の株価が好調な時期に、なかなか下落しない株式を獲得し、株価が調整した時にある程度景気に敏感な株を獲得するのが理想です。
以下は2008年7月から金融危機を経て現在までに至るMCD、ジェネラルミルズ(GIS)、およびS&P500(赤線)の株価の比較ですが、MCDは本当にベアマーケットに強いですね。2014/9/11追記:この考えを、こちらのエントリーで修正しています。
Yahoo Financeより |
ちなみに私は正直なところマクドがあまり好きではなく、米国留学中や出張のさいには、もっぱらバーガーキングに寄ってました。うちの奥さんは3か月に一度くらい
そんなときには、私はメニューをちらりとも見ずに、ダブルチーズバーガーセット、コーラで・・・と力なく注文します。MCD株式を保有すると、ひょっとしたらメニューにも興味を持つように・・・ならないな、たぶん。
情報開示:GIS49株保有
以下参考資料
BS
ソースはYahoo Finance |
稼ぎ(Net cash provided by operating activities)に対する配当&自社株買いの割合、および負債の動向です。ソースはモーニングスターのサイト。負債の単位は$Million。
やはり腐ってもマックですね。
返信削除ちょっとやそっとのことでは動じないと思います。
先日も中国チキンの問題で大騒ぎになりましたけど、マクドと食品安全の問題は今に始まったことじゃなくて、もうずっと前からセットみたいなものですからね。
私たちが子供の頃にも、マックの肉はミミズの肉だとか、ネズミの肉だとかいう噂が流れてたなー。かれこれ25年くらい経ちますが、大きく成長してるマック。
しかもベアマーケットに強いってすごいですね。
返信削除ファンダメンタル見ても、堅調ですね。
今、株価が下がってるからチャンスかも。買おうかな。
9/11のエントリでも書きましたように、ベアマーケットの強いというより、リーマンショックの下落時に強かったというのが、より正確みたいです。
削除拝見しました。
返信削除KOもそうですが、セクター的に不況に強いのかもしれませんね。
日本のMCDとアメリカのMCDでは、かなり違いますが、アメリカではやはりMCD強いです。(アメリカ在住です。)
人々の生活に浸透しているというか。アメリカは本家なので、食文化というバリアもありませんしね。
目下の課題は、「ヘルシー志向へと移行する人々」のようです。が、世界基準で見れば、ヘルシー志向に移行できる人々と、ジャンクフードしか買えない人々の割合を考えると、やはり今後も安定の企業でしょうね。先日、マックブランチを発表しましたが、前々からなぜ朝マックを一日中販売しないのか、という声をよく耳にします。かくいう私も、午後に朝マックが食べたくなり、なんで売ってないの?と不満を口にしました。