自分の国を守るということをすっかりおろそかにしていた。さっぱりそのことを考えず、日々の仕事にかまけていた。このところの出来事にてらして、あれこれ心配しないではいられない。わたしは王宮前の広場に仕事場をかまえる靴屋だが、夜明けに店を開くやいなや、どの通りの入口も武装した者たちに占められている。我が国の兵士ではなく、あきらかに北方の匈奴たちだ。
カフカ 『一枚の古文書』 池内紀・訳 白水Uブックスの短編集『断食芸人』より
カフカの短編小説の素晴らしいところは、あんなに短い小説なのに、人生のはかなさ・せつなさ・不条理さが凝縮されていることにあると思う。秋の黄昏時に読むには最高ですね。
この『一枚の古文書』の物語は、蛮族に支配されてしまった国の住民がおろおろと悲嘆に暮れているシーンで終わります。国の皇帝さまも途方に暮れるばかりで、彼らを助けるすべを持たず王宮で肩を落とすばかりです。
悲嘆に暮れた人生を避けるには、常日頃から最悪の事態を想定して自衛策を練っておかねばならなりません。“不断の自警は自由の代償”といいますからね。(注1)
我が家にとって考えられるthe worst case scenarioは以下のとおり。
1) 日本政府の財政破たん、あるいは破たんへの危惧による日本国債の価値の下落
2) 1)による社会保障へのネガティブインパクトにより、医療機器の販売が大幅減
3) 1)による日本の信用低下により円が安くなる
4) 2)3)が原因で勤務先での日本のプレゼンスが低下する
5) 4)により、私はよくて給料カット、最悪解雇
6) 1)による輸入品の値上がりで、生活コストの増加
7) このような状況下では預金や失業保険、年金は、あまり力強いセーフティネットとは言えない
8) 結果、おろおろと悲嘆に暮れる
悪いことに、妻の職場も日本政府の財政事情に大きく影響をうけてしまうので、我が家は日本が面倒なことになると、おおがかりな面倒に巻き込まれることになる。
個人的には、例えば藤巻健史氏(注2)が常日頃述べているような極端な財政破たんは起こらないんじゃないかと思うし、そう願ってもいます。ただし世の中は、いつも論理的に正しいことが起こっているわけではありません。それに我が家にとって重要なのは、万が一それが起こった場合に、バッチ来いと備えておくことです。
当ブログでは、上記の備えのために行っている投資についてのみ記述していきます。
情報開示:この記事を書いた時点で、個人向け国債や国債価格に連動する投資信託等は持っていません。確定拠出年金では、30%を3年定期で積み立てています。
また幾ばくかのMRFはありますが、金額はClassified。上記投資目的以外の普通・定期預金もありますが、当ブログでは述べません。
それにしてもアベノミクスは私にとっては、まったく余計なことをしてくれたなあという感じです。円の価値は毀損されるし、貿易赤字だし・・・日銀バズーカの砲口はこっちに向けられている気がするなあ。
注1:どこかで読んだ言葉なのだけど、だれのセリフだったか覚えていない…アメリカ独立戦争時の偉人の言葉だったかもしれない。
注2:藤巻氏はモルガン銀行の元東京支店長、現在日本維新の会の参議院議員。その主張は別として、私は彼のキャラクターが大好きだったりする。
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