2025年6月14日土曜日

ポートフォリオは円で見よ ースパークス・新・国際優良日本株ファンド 第17期ー その二次会

 「そうだね。外に残してきたものは死者であり、夜の闇に生きるなにものかであり、雨や風、雷、月、星、つまり自然だ。人間のなかに内と外という概念が生まれるのは ー 自意識のようなものが生まれ、内面が育っていくようになったのは ー 自分たちの手で家をつくるようになったことが大きかったんじゃないかと私は思っているんだよ」

松家仁之 『火山のふもとで』 新潮文庫

ゴールデンウイークに信州へ出かけたさいに、浅間山のふもとを舞台にした『火山のふもとで』を旅のお供の文庫本にしました。結局、帰りの新幹線の中で読み始め、それから約一か月半かけてじっくりとページをめくりました。

一つ一つのシーンが静かに丁寧に書かれているのですが、それらが丁寧に書かれれば書かれるほど、書かれていない場面が雄弁に語りかけてきて、静かに読み手の心の奥底まで沈殿してきます。

素晴らしい小説です。

最終章での、

建築は利用者とその時代によって、息を吹き込まれ、生かされていく。 〈中略〉 人と時間が、あの大聖堂を育てたのだ。

と主人公が達観している場面は、それまでの物語を読み終えた後だと、胸にじんわり沁みてきます。

株式投資もおそらくはそのようなものなのでしょう。人と時間が育んでいくものなのです。

いかん、すっかり真面目に感傷にふけってしまった。

とにかくですね、内と外を分ける象徴ともいえる「家」というものは、人にとってなにかしら特別な存在であるようです。持ち家 vs 賃貸、どっちがお得⁉ みたいな論争は、そもそもハナッから本質をボール2個ぐらい外しています。しっかりと人生に目線を合わせましょう。でないと他人のメシのタネのために、大事なものを失いかねません。

で、ムスコの教育資金を準備するための汝の父を敬え」作戦で毎月積み立てているスパークス・新・国際優良日本株ファンド(以下、同ファンド)の第17期の全体版運用報告書を確認しましたが、『ポートフォリオは円で見よ ースパークス・新・国際優良日本株ファンド 第17期ー その一』で書いた通り、そのポートフォリオに違和感を感じました。

もう一度確認してみましょう。第17期(2025年3月)は以下の通りです。



これはあくまで私見なのですが、同ファンドの特徴として、あるセクターの企業銘柄を一括りにしてポートフォリオの分散のバランスをとっていることが挙げられます。

例として2024年8月の運用コメントをみてみると、

しかし、ポートフォリオ全体のバランスについてはマンスリーレポートの開示内容が示唆するほどこれら2銘柄(*)に偏ったポートフォリオではないというのが当ファンドの見解です。「半導体」(信越化学工業など関連4銘柄)および「損保」(東京海上ホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、SOMPOホールディングス)といった銘柄群をそれぞれ一括りとすれば、上位2銘柄と同程度の組入比率(アクティブウェイトベース)になっており均等分散が図られているからです。

(*)7 & iとオリックス

とあるように、半導体関連と生保企業をある程度一括りでとらえています。損保セクターはほかの月にも複数似たようなコメントがあったかと記憶しています。

これはバークシャー・ハサウェイにおける、日本商社のバスケット買いのアプローチと似ているように思います。

ではちょっと色分けしてみます。



赤くした半導体関連は計10.3%、黄色の損保は計13.4%の割合になります。なるほど、一括りで扱うと、7 & iとオリックスに次ぐ大きさになりますね。

それもあり、これらのセクターは、月次の運用コメントに、メイン扱いではないとしても、ちょこちょこ言及されています。損保を例にとると2024年の2月と8月と12月です。きちんとフォローされています。

しかしよく見ると、もうひとつ大きく括れる企業群があります。何の言及もなく2024年になってから忽然と姿を現した連中です。青くハイライトしてみます。


ハウスメーカー3社です。

下位の方にしれっと名前が連なっていますが、三つ合わせると6.4%となっています。

リクルートよりも割合が大きいです。そのリクルートは度々運用コメントに登場します(最新の2025年5月の運用コメントにも取り上げられています)。なのにハウスメーカー群は、私が見逃しているのではない限り、一言も触れられていない。

私は性格が悪いので、このまったく言及されていないところに、スパークスアセット・マネジメントの本音が出ていると思います。書かれていないことこそが、雄弁に語られているのです。

***

さて、バーボンウイスキー片手モード。

オレは令和の改新 その3 - 株式投資のメインストリーム -』『令和の改新 その4 - 巨鯨現る -で書いた通り、2000年代のサブプライムクライシスにより住宅バブルがはじけたことによって、かの地では住宅の需要と供給に多大なるGapが生じていると考えている。

なんといっても家というのは人にとって特別な存在だ。もしかしたら「意識」の形成に一役買ったのかもしれんくらいだ。なので上記のGapは、いずれ解消に向かわざるを得ない(すでに起こっている未来)が、これまたコロナ過の経済・金融政策の反動による高金利で火口に蓋がされた状態で、マグマがどんどんたまりつつある。

金のにおいがぷんぷんする。

いろいろ嗅ぎまわったが、現時点でこの界隈でのオレの手持ちカードはNVRWSOHDだ。あとすこしズレてはいるが、ROLGGGも揃えている。

スパークスは、国際優良日本株ファンドだけあってさすがに米国株とはいかず、揃えてきたのは積水ハウス、住友林業、大和ハウスか。たしかどの社も積極果敢に海外、とくに米国市場に進出中だったはず。口火を切ったのは住友林業とオレは認識していて、2022年あたりは真剣にカードに加えるかどうか検討したものだ。

もう一人、この界隈をコソコソ嗅ぎまわっているヤツがいる。Giverny Capitalのマネー・マネジャーのフランソワ・ロション氏(全人類のすみっこ5%暮らしの男』)や。

やつはNVRを持っている。しかも最近こっそりポートフォリオの下位でBLDR(ホームビルダー御用達の部材屋さん)とITB(US Home ConstructionのETF)を新規で仕入れ、IBP(断熱材)、FERG(配管卸)のポジションを増やしている。まだ感触を探っている段階っぽいが。

人は下半身に本音が出るってやつですぜ。

家は人を踊らせる。2008年に隻眼の相場師ことMichael Burryさんは、住宅バブル崩壊のカードで大もうけした。そのときオレはS&P500やTOPIXのETFを抱えて、なすすべなく押入れの奥で指をくわえていた。

今度はその逆にオレはかける。LongをLong termで。

じっくり味わうPayback timeだな。

情報開示:スパークス・新・国際優良日本株ファンドは、2018年夏より積み立て投資中

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