まず進化は系列を作ります。変化したものがまた変化し、変化の上に変化が積み重なっていくので、変化へ系列化せざるをえません。次にその変化の幅がふくらんだり狭くなったりします。これを放散(divergence)と、収斂(convergence)といいます。放散は分枝とも分岐ともいい、種が多様に分化して枝分かれしていく過程です。収斂はその逆で、多様なものが似たものにまとまっていく過程です。進化現象というのは、だいたいこの二つが交互に起きます。一直線の変化というのは起きません。
立花隆 『サピエンスの未来』 講談社現代新書
『サピエンスの未来』で立花隆氏が紹介しているテイヤール・ド・シャルダンによると、万物の進化は放散と収斂が交互に起こるのだそうです。人類に当てはめると、内省的思考をはじめた時点で人間化がはじまり、自然に解体の方向に向かうエントロピーの法則に従って放散されていくものの、言語を獲得して集団での共同思考が始まると放散から収斂へとベクトルの転換が起こり、その収斂は放散を防ぐという消極的なものから収斂それ自体を目的とした積極的なものに変化していき、いずれ臨界点であるオメガ点へ収斂していくそうです。
図にするとこんな感じです。
立花隆 『サピエンスの未来』 講談社現代新書 P.235 |
下の方に書いてある通り、今の人類の状況はCで、これからまさに強く収斂していくようです。昨今の移動手段やインターネットによる情報共有の飛躍的な発展により、その流れはより強くより速くなっていくことでしょう。
ま、進化の話なんでね・・・単位は数千年ですが。
で、収斂していく先のオメガ点とは何ぞや、と言われても、貧弱なワタクシのアタマの理解では、いやあ、映画『2001年宇宙の旅』で行き着いたようなところみたいやで・・・としか言いようがない。
さて、2001年から20年が経過した2021年もそろそろ終わる11月末時点で、私は『The 3rd Man's Fund』と『いざ・波』合わせて計26企業を保有しています。以前勤めていた会社のESPPを通じて持ち続けているものを合わせると27企業です。
このブログを始めた時点では、 『The 3rd Man's Fund』は、まだ12企業だけ、『いざ・波』は存在していませんでした。またこのころは、連続増配等の株式を選ぶことに強くこだわっていた時期でもあります。それ以前は株価指数に連動するETFだったのですが(いわゆるインデックス投資)、サブプライム金融危機を乗り越えていく中でいろいろ考えた結果、連続増配当株式への投資に活路を見出していたんですね。
その後、保有株式数はどんどん増え、時代が令和になるころにはもうすっかり配当に対する関心は薄れてしまってしまい(それでも連続増配をしているということは、よいビジネスをしているという認識はいまだに持っています)、無配当のものや、上場してそんなに時間がたっていない日本の企業の株式も加わり、結果27企業を保有するに至っています。(『The 3rd Man's Fund』に限っての詳しい経歴は『令和の改新 その1 -始まりの終り-』を参照ください。)
放散の時代でしたね。
これからは収斂の方向に向かおうと考えています。
やっぱり本業を別で抱えていて尚且つまだ小さい子供たちの親である個人の投資家だと、30ちかい数の企業をフォローするのはしんどいものがある。理想を言うと15企業くらいかな。いま進行中のみっつの作戦(参考記事『令和の改新、最終章 -作戦術の導入ー』)があるのですが、それぞれの作戦に5企業というのが理想ですね。
今月に入ってエマソン(EMR)を放出しましたが、収斂の過程の一環です。同企業に関しては全然不満も不安もなかったのですけどね。
また近い将来分割が予定されているジョンソン&ジョンソン(JNJ)も、これを機に来年折を見て全放出します。これ、まだ外国株式用の特定口座がないころに獲得したので、ややこしいことになりたくないのと、よくよく考えてみたら私はクスリやコンタクトレンズに関しては、さっぱり知らないし興味もない。以前私が勤めていたヘルスケア企業の競合だった事業はとっくの昔にJNJから無くなっているし。
つまるところ保有していた理由は、ヘルスケア業界における大衆に認知されている総合百貨店、みたいな安心感だけだったので 、もうそろそろ潮時だな。
これからは保有企業を中心に事業内容をきちんと確認し、それぞれが価値を創出しているかを確認しながら、徐々に収斂・厳選の度合いを強めていこうと考えます。
株価は企業が造り出す価値に収斂することだし。
そして行き着く先はもちろんツァラトゥストラが語った世界である。
たんなる発狂かもしれんが・・・ いや、私の場合は酔狂だな。
情報開示:この記事を書いている時点でJNJ174株保有
参考図書
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