2021年1月7日木曜日

投資家K.のアニュアルレポート 2020 (中編) - インデックス投資は敗者のゲーム ‐

投資は型にはめられたものではない。投資手法に対する自分の適性を理解し、時間をかけ、経験を積みながら投資方針を発展させていくことが求められるのだ。もし性格に合わない投資をしていたら、いつも自分自身と戦うことになってしまう

 by ヴィーニー・イェ、Ronald W.Chan 『価値の探究者たち』 山本御稔・小林真知子〔訳〕きんざい

投資家K.のアニュアルレポート 2020 (前編 Feet On the Ground )』で記述した通り、私は個別株式とは別に、株式の投資信託を毎月積み立てています。企業型拠出年金や、つみたてNISAの制度も活用しています。

2020年は計5本の投資信託を積み立てましたが、インデックス投信が2本、アクティブ投信が3本となっています。

アクティブ投信は、

  • 農林中金<パートナーズ>長期厳選投資おおぶね
  • スパークス・新・国際優良日本株ファンド
  • ひふみプラス

です。

このうち、農林中金とスパークスのものは投資対象が米国の企業と日本の企業という違いはあるものの、両社とも比較的少数の企業を長期にわたって保有するというスタイルをとっています。私の投資に対する志向・思考・嗜好にそっていますね。

この2つの投信の特徴として運用レポートが充実していることが挙げられます。投資に対する哲学はもちろんのこと、ポートフォリオを構成する企業、もしくは候補企業を対象にした分析がとても丁寧に書かれており、大いに参考になります。

また純粋に読み物としても面白かったりします。

私がこの2つの投信に積み立てている理由として、これらのレポートから愉しみを得ることが出来る、というのが大きな割合を占めています。受益者でなくてもネットで読むことはできますが、実際にいくらかでも投資しているのといないのとでは全然愉しさの度合いが違ってきますね。

あと私にとっては、お酒を飲みながら読むに堪えうるレポートか否かが大事になってくるのですが・・・そんなこと言いだしたらまたグダグダになりそうなので割愛。

もうひとつの理由として、戦力外通告を出しやすいというのがあります。両投信とも、企業の本源的な価値を重視したうえで厳選した株式を長期的に保有することにより、受益者の資産を増やすことを目指しています。

であれば、いきなり今月の月次レポートで投資先が300社とかに膨らんでいたり、保有企業が月ごとに目まぐるしく変わり始めたら、ハイ、さようなら、と言うことが出来ます。

これは投信を選ぶうえで重要な要素ですね。

***

さて、もう1本のひふみプラスは、ムスメが生まれたその日から彼女の教育費用に毎月積み立てています。もうじき丸6年になりますね。

同投信を保有している理由は、前述の2本の投信と異なっています。正直ひふみの運用レポートは、そんなにじっくり読んだりはしていません。私の場合、同投信の投資先の数の多さ、およびその回転の速さについていけないのです。

ではなぜひふみプラスを保有しているのか。

それは『カントク・フジノ、頼んだぞ -投資信託積立開始その3 ひふみプラス-』で


でも別に多くは望みません。実際のところ、特に上げ相場でTOPIXのパフォーマンスを下回ったところで目くじらを立てたりしません。期待するのは、いざ市場がおおきく調整した時に、私にはない機動力を持ってダメージを最小限に抑えてくれることです。


と書いたように、2020年の春先に起こった株価急落のような事態にうまく立ち回ってくれることを期待しているからになります。

投資家K.のアニュアルレポート 2020 (前編 Feet On the Ground )』のとおり、私はイザというときにはお地蔵さんのように動けなくなるフニャチン野郎だからです。胆力や瞬発力を自分に求めることは、あきらめて久しい。であるならば、それらを手に入れるには、しかるべき料金を払ってしかるべき人たちを雇うしかありません。

積み立て開始から初めての大きい調整が訪れた2020年、ひふみプラスはどうだったでしょうか。基準価格とTOPIXの推移を振り返ってみましょう。


グラフはYahoo!ファイナンスからとってきています。青色がひふみプラス、ピンクがTOPIXです。

指数が大きく下落した3月ですが、3月の月次報告書によると、前月比でTOPIXが-6%、日経平均が-10.5%のところを、ひふみは-2.4%にとどめています。

なんでも2月末時点で現金比率を31%まで高めていたのだとか。1月末時点では0.7%だったので、その動きは圧巻です。

そしてそれ以降の基準価格補回復の力強さは目を見張るものがあります。まるで神宮での7回裏ワンアウト満塁で4番・ファースト・ペタジーニがバッターボックスに立っているという場面を、たった1球でショートゴロゲッツー、スリーアウト・チェンジで終わらせたリリーバーを見ているような感じですね。


My  compliments


としか言いようがないです。

この一連の動きだけでじゅうぶん期待に応えてくれているのですが、信託報酬支払後の基準価格も長期的にみますとTOPIXを凌駕しています。

で、その信託報酬が、年率1.078%。そしてTOPIXの株価指数に連動するインデックス投信のeMaxis slimの国内株式投信の信託報酬が年率0.154%。その差額分は納得して支払いさせていただきます。

先の2投信と違ってひふみプラスの場合は、もし今年の上四半期でノロノロしていたら、さっさと別の投信に乗り換えていたことでしょう。

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ちなみに信託報酬の額ですが、実際のところ投資信託を選ぶ際の障害になるほど高すぎるのか。これを高いだの安いだの言っている人々は、老舗の寿司屋と回転ずしチェーンの値段を比較して判断を下しているようなものですね。

判断の基準がPrice tagの数字だけだとすると、本質的なところで豊かにはなれない気がするが、どうだろう。

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というわけで、2020年は、ひふみ投信に対する私の信頼度がまたひとつ上がった年でした。

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現実が牙をむきつつある。

先日ムスメのランドセルを買ったのだが、なんとあんなガラパゴス製品が6-7万円もする。私が愛用しているアウトドアメーカーのデイパックがいくつ買えるんだ・・・。


・・・引き続き、上記ファンドの関係各位におかれましては、さらに気を引き締め、馬車馬のごとく働き、
身を粉にしてレポートを書いてもらいたい。ウイスキーをグラスに満たして待っている。

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念のため・・・私はインデックス投資自体は非常に有効な投資方法のひとつであると考えています。ただコアをインデックス、サブをアクティブ(個別株式)という投資方法は、人間性に反する方法という印象を持っています。私の場合は、選択肢がなくて困った場合、消去法的に選ぶ対象がインデックスファンドです。

企業型拠出年金がそうですね。たわらノーロード先進国株式を積みたてていますが、それはラインアップされているアクティブ・ファンドの目論見書をいくら読んでも何を目論んでいらっしゃるのか、さっぱりわからないからです。私の読解力不足の問題だけではないはずだ。

やはり自分のお金を使ったり投資したりする対象先は、できるかぎり主観的に選びたい。私にとっては、投資したくないゾンビ企業の株式に心ならずも投資してしまうことこそが、「敗者のゲーム」なのです。

勝者と敗者の定義も、個々人によって違いますね。

情報開示:面倒くさいのでSkip

ちなみに指数に勝った・負けたにこだわるのは「(心の)貧者のゲーム」だな。あるいは単なる業界かぶれか。

過去のアニュアルレポートはこちら

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