2019年7月13日土曜日

インバウンドの先にあるもの -アリアケジャパン(2815)の獲得-

つい先日「令和の改新」は終了と言った舌の根も乾いていませんが、新たに1社、The 3rd Man's  Fundに加えました。アリアケジャパン(2815)です。


原資はいざ・波の鎌倉新書(6184)を400株売却し、足りない分は現金を充てました。よっていつもよりタイミングは早いのですが、2019年Q3の定期獲得扱いにします。


2815に関しては、昨年末に、中国でのハウス食品の奮闘に関する毎日新聞の記事を読んだあたり(参考記事:
サードマンの収入明細(2018年11月)』)から獲得対象として意識していたのですが、今回、こりゃ、四の五の言わずに押さえてかなきゃいかん、と決意したのは、ろくすけさんによるブログ、『ろくすけの長期投資の旅』での、2815の株主総会に参加された記事を読んだからです。このシリーズ記事はおもしろかった。

2815に関しては、そのろくすけの長期投資の旅』の記事を読んでいただくとして・・・ここでは、私がなぜ獲得したかを簡単に書き残しておきます。


まずはRevenueとOperating incomeの推移を見てみます。なおこれ以降のグラフの数値のソースはモーニングスターのサイトです。




Revenueの伸びもそうですが、なんといっても目を引くのがOperating margin (営業利益率)です。日本のこの手の企業でこんなに利益率が高いのは、めったにお目にかかれないと思う。


なぜそうなのかは・・・『ろくすけの長期投資の旅』で探ってみてください(笑)。


似たようなグローバル企業のマコーミック(MKC)、インターナショナル・フレーバー&フレグランス(IFF)、及び味の素(2802)と比較してみましょう。過去10年のOperating marginの推移です。




2815が唯一の20%越え企業で、トップです。すごいですね。


私は慈善事業をしているのではありません。なので投資先の儲けは大事です。ピーター・リンチ氏も連呼しています、「収益、収益、そして収益」と。(*)


2815はその収益の高さが安定して持続しています。

それでいくと、味の素は・・・ちょっとしんどいなあ。


経営効率の指標を見ましょう。子会社株式売却益があり、異常値になっている2019年度(でいいのかな?モーニングスターではそういう表記)を除いた推移は以下の通り。




素晴らしいではありませんか。ひとつ言わせてもらいますと、もっとROEは高くていいと思う。このあたりがまだ日本的なのかもしれない。


これも『ろくすけの長期投資の旅』で知ったのだけど、最近カリスマ的な創業者が第一線を退いたのだとか。それ自体は不安要素ではあるものの、逆に言えば、さらなる経営効率向上のよいチャンスかもしれませぬ。


***


ただしこれらの数値は、獲得の補助的な理由です。ほんとうの理由は、2815の成長余地がものすごく大きい、特に海外において・・・と考えるからです。


私は1990年代前半に、米国は北西部の田舎の大学に留学していました。当時の日本食のプレゼンスは非常に低く・・・町のスーパーで、かろうじてキッコーマンのSoy sourceを見かけるくらいでした。スシ・サシミなんて、現地の米国の田舎者はもとより、アジア諸国からの留学生の間でも際物扱いされていましたなあ。


そんな人口約6万人程度の田舎に(それでもそのあたりじゃ、ちょっとした規模だった)日本食レストランなんぞなく・・・、米国人が実家に帰るサンクスギビングの休暇の際には、日本人の友人たちと車で片道10時間以上かけて大都会へ出て、日本食屋さん(ヤオハンだったっけ?)に買い出しツアーをしていたもんです。


それがいまや、その留学先のちいさな町にも、日本食レストランが3件あるらしい。


以前に勤めていた会社に出張してきた外国人連中からは、昨日は渋谷のどこそこのラーメン屋に行った、スープが絶品だった、朝は立ち食いそばを食った、今日は新橋のラーメン屋に行く、オマエ、他においしいラーメン屋知らないか? とかいう会話を耳にするようになった。


あんたらは小池さんか?

こういう会話が、10年位前から目立ってきたような気がする。

グルメじゃないオレは、なんのお役にも立てなかったが。


で、いまは、インバウンドという言葉が当たり前に使われるくらいに日本は旅行先として人気になっています。これが永続的かといわれると、私は懐疑的です。デフレで円安でこの品質だから人気なのであって、日本の観光資源そのものには、そんなにワイドなモートは無いんじゃないかと。


でも、どんなに為替や国際政治情勢が変わろうが、いちど舌が覚えた味というのは、そうそう忘れません。舌の記憶に国境や時のバリアは存在しないのです。


いま諸外国からどんどん日本に来ている人々は、日本の絶妙な味を覚えて帰国します。こうして日本の食文化は、世界中にタネを撒きつつあるのです。いずれそのタネは世界各地で芽を出します。そして世界のミドルクラスの人口は増え続けていきます。

いったん繁殖した舌の根は、何をもってしても根絶やしにすることはできません。

日本の味の需要は、とどまるところを知らないんじゃないか。


すでに
The 3rd Man's  Fundでは、Spice (MKC)、Flavor(IFF)を押さえています。2815を獲得することにより、ここにUmamiを加えることができました。

これで無敵だ。


***


さて、関係ない話だが・・・留学する前、高校を卒業した私は、8千円で買ったボロボロのランドナー(自転車)で九州を放浪したりしていました。


ロクでもない人生を送ってきたもんです。


で、長崎市(自転車で訪れるには、とんでもない場所)から峠を越えて有明海沿岸に出てきた私は、眼下に広がる、夕日の染まった穏やかな海を見ながら気分よくペダルをこいでいた。吉田拓郎の『落陽』を口ずさみながら。しぼったばかりの、夕日の赤がぁぁぁ・・・


衝撃

気がついたらアスファルトの上に大の字になっていた。

どうやらガードレールの土台みたいなブロックに豪快に激突し(100%わき見)、一回転して道路にたたきつけられたらしい。

幸い怪我はなかったものの、自転車は車輪が大破。もともとボロだったので、あきらめて自転車を近くの駅の駐輪場に放置し(ゴメンナサイ)、電車での旅行に切り替えてしまったのでした・・・


有明海。18歳の私に失意と敗北感を味わせてくれた、憎き海。

この苦い記憶のオトシマエ、アリアケジャパンにつけてもらおう。



情報開示:この記事を書いている時点で2815x100株、MKC170株、IFF76株、保有


なお、今回の原資を得るための売却対象として鎌倉新書(6184)を選んだのは、ポートフォリオでの偏重を是正するためです。これ以上の同社株の売却は考えていません。


(*)ピーター・リンチ/ジョン・ロスチャイルド 『ピーター・リンチの株で勝つ』 三原淳雄/土屋安衛・訳 ダイヤモンド社

2 件のコメント:

  1. シリーズがお役に立てたようで何よりです。
    私もIFF,MKCも持っています。
    確かに無敵感ありますね。

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    1. ろくすけさん、来年の株主総会もよろしくお願いします(笑)。冗談はさておき、島原はとてもよさそうなところですね。いつか訪れてみたいと思います。

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