2019年4月27日土曜日

害虫防除がサイエンスの域に達するとき その5 - ローリンズ(ROL) -

さて、毎年密かに楽しみにしているローリンズ(ROL)のアニュアル・レポートの表紙です。2018年度のものは・・・



・・・つまんねー。

NY市場上場50周年はおめでたいのだけどさ、私がキミたちに求めているのはそこではない。来年に期待しよう。

ちなみにROLはもともとAMラジオとかのブロードキャスティング会社だったようで、上場した1968年は害虫防除業界に関わってからまだ4年しか経っていなかったのだとか。

ROLは2016年の2月(NISA口座)と6月に獲得しています。当ブログの読者に教えてもらったことと、それまでの配当率重視から事業内容重視への穏やかな転換の第一歩を踏み出した投資先として、ROLは印象深い企業です。



ROLの株価推移。赤丸が大まかな獲得のタイミング。

人々のよりよい(住)環境をもとめる本質的な欲求に応えることのできる企業として、投資先に選んでいます。




2018年のROLの成し遂げたことは、。

*21年連続の増収増益
*株式分割
*Technician tracking software(おそらく技術者・サービスパーソンの現在位置情報とかを顧客とシェアするシステム)の導入 
*カリフォルニア州とネバタ州北部を基盤とするClark Pest Control社買収のためのデューディリジェンスを行う。
*シンガポールのAardwolf Pestkare社買収。さっそくOrkinの制服を着たサービスマンと思しき人々の写真がAardwolf Pestkare社のホームページにばばーんと出ています。
16年連続増配(7年連続の年末特別配当)

RevenueとOperating incomeの推移:


数字のソースはモーニングスター

*一般住居のペストコントロールのRevenueは9.1%増
*商業施設のペストコントロールのRevenueは6%増
*害獣関連(ワイルドライフ・コントロール)Revenueは27.6%増
*シロアリ関連のRevenueは12.8%増

会社全体でのRevenueは8.8%増で、このうち買収による効果は3.5%とのこと。アニュアルレポートに同社の初代CFOだったHenry B. Tippie氏の

The real work starts the day after the acquisition.

との言葉が大きく紹介されているとおり、買収はROLにとって成長戦略のかなめです。2018年は計38の買収をしています(ちなみに2017年は23)。

経営効率をみてみましょう。


数字のソースはモーニングスター

セロニアス・モンクも文句のつけようがありません。

そもそもROLの創業者のJohn. W Rollins氏は、いまふうで言えば生粋のプロ企業家だったらしく、すでに述べたようにBroadcasting業から始まり、オートモービルのリーシング業を開拓したりしていたらしいです。

察するに、それらの一環で買収した害虫防除のOrkin社の事業が儲かると見込んで、事業の選択と集中を行い、世界最大のペスト・コントロールの会社を築き上げていったのだと思われます。そこのところがROLのDNAで、それにのっとって粛々といわゆる3チャン企業を買収して従業員を教育しなおし、Tribal knowledge頼みだった害虫防除をサイエンスの域にまで高めつづけているのです。

財務3表(数値のソースはアニュアルレポートより)







買収重視でも無借金経営。

というわけで、


  • 米国の人口動態
  • 人々の健康意識の高まり (ここは情報源マーリンこと農林中金-農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンドの受け売り)
  • 地球温暖化による、やつらの増殖
  • ビジネスの安定感(2017年のRevenueの80%は定期的な収入によるもの、たいてい年間契約)
  • 経営のプロによる成長戦略

上記を鑑みた時にROLを持たない理由はどこにもありません。ただしさすがに現時点では株価は高いと思われるので、積極的に追加獲得することもしません。ただRevenueの推移からも分かるように同社の不況時の耐性は素晴らしいので、リセッション時の株価下落につられてROLの株価も下がったりした場合は、ためらうことなく追加に動きたいと考えます。

情報開示:この記事を書いている時点でROL241株保有

なお、米国株式長期厳選ファンドの2019年一月の月次レポートでは、同ファンドの組み入れ企業のROLの競合先であるサービスマスター社が紹介されています。どんだけ虫嫌いやねんさすがプロ、競合他社と業界の調査にぬかりありません。

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Appendix


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