2019年3月30日土曜日

エマソン・エレクトリック(EMR)の獲得

 例えば、日本電産を分析する過程で、産業用モーターで競合する(二〇一二年時点)Emersonを分析することは避けて通れません。そこで、Emersonの中核事業である「プロセス・マネジメント(PM)」という素晴らしい事業に行きつきます。石油プラント、化学プラントでは、気体や液体のような流体を取り扱うわけですが、EmersonのPM部門では、それらのプラントで使用されるバルブやアクチュエーターの製造、販売、保守メンテナンスを行います。分析を行った当時(同時点)での同部門は総資産利益率二四・二%、営業利益率一八・九%と非常に高いものでした。
川北英隆/奥野一成・編著 『経営者はいかにして、企業価値を高めているのか?』ダイヤモンド社
こんまり流の「ときめき片付けメソッド」を忠実にフォローすれば、燃えないゴミの日にまるごと出すしかないThe 3rd Man's  Fundもっともときめかないコア構成企業のひとつに認定されているエマソン・エレクトリック(EMR)を追加獲得しました。2019年度の第一四半期の定期獲得になります。

EMRは、人口動態+3つの重点エリアのうち、「豊かになった、あるいはなりつつある人々の、よりよき環境(衛生)への絶えることのない欲求」を特に意識して投資をしている企業になります。


2017年度のアニュアルレポートを読んだあとの、まさしく後付けの理由ではあるのですが・・・。





EMRのRevenueと営業利益率の推移は以下の通り。


数値のソースはモーニングスターのサイト

EMRは2018年度末時点で以下の2つのセグメントがあります。
    1. オートメーション・ソルーションズ
    2. コマーシャル&レジデンシャルソルーションズ

    1.は主にオイルとガス、製油所、発電所
    等のエネルギー関連を中心に、製薬・食品・自動車・製紙・鉱物・ウォーターサプライ等の産業に顧客がいます。それらの企業の(おそらくは製造サイドの)オペレーションの効率化・生産性・安全性を提供する製品やソリューションを提供しています。

    このセグメントのSalesとEarningの推移 (以後、グラフの数値はアニュアルレポートより):



    2018年度のSalesは前年度比+21%。このうち事業の買収と為替の影響が11%。伸びていますね。

    このセグメント内の各事業のSalesの推移:



    Industrial Solutionsでは、Aventics社を買収。Fluid(流体)オートメーション市場の、とくにヨーロッパでのプレゼンスの向上が見込まれるとのことです。

    それにしてもValvesとActuators事業の伸びがすごいですね。エネルギー業界も息を吹き返しつつあるのが察せられます。なんだかんだ言っても、ここのところ世界経済は好調(だった)なのでしょう。

    2.は、HVAC(暖房換気空調)、及びなんといってもコールドチェーン。人々の生活レベルを一段階上に保つインフラを担っています。

    このセグメントのSalesとEarningの推移:



    マージンは安定して20%越えです。いいですね。

    このセグメント内の各事業のSalesの推移:



    発展途上国(新興国という言葉はミスリーディングなので使わない)の経済の発展=Climate Techの需要の伸びと推察します。

    地域別のSales:





    やはり中国での需要の伸びがすごいようですが、米国・カナダや欧州でもなかなかなものですなあ。

    ***

    今回、EMRが定期獲得になった理由は以下の通りになります。

    まずはエネルギーセクターの補強です。


    • 昨年ゾエティス(ZTS)獲得のために、エクソンモービル(XOM)を放出してしまったので、ポートフォリオの中のエネルギーセクターが手薄になった。
    • 一方、米国が世界No.1の産油国になった結果、米国の中東への関心が低下する可能性がある。仮に米国の中東でのプレゼンスが低下し続けると、資源のない日本にとって、ネガティブな事態が発生する可能性が高くなる。
    • その日本は、福島原発事故の混乱のさなか、民主党政権が雰囲気にのまれて『失敗の本質』のど真ん中級の失政を行い、あまり検証もせずに再生エネルギー法案なんぞを通してしまった結果、エネルギーコストが・・・おまけにそれに群がる自己中心的かつ短絡的な視野しか持たないネズミ男的発想の・・・(以下話がそれるので割愛)
    • よって手薄になったエネルギーセクターの補強を平時である今、行う必要がある。油(オイル)断大敵。

    そして、二つ目の理由として(どちらかというとこちらがメインの理由)、EMRは世界的なコールドチェーンの需要増を取り込むことができる企業であることが挙げられます。

    個人的には今後HVACは、世界経済の発展、人々の生活水準の向上を鑑みると、投資するのに外せないエリアと考えています。

    これらの2つの重要なエリアをカバーするのにぴったりな企業がEMRです。今後もSalesや利益率の動向を注視しつつ、機会があればEMRへのエクスポージャーを広げていく所存であります。

    それにしても、今回はA.O.スミス(AOS)、JMスマッカー(SJM)、EMRのどれにするか、最後の最後まで迷いました。

    情報開示:この記事を書いている時点でEMR76株、AOS90株、SJM54株、ZTS102株保有

    このブログでのEMRのに関するほかの記事はこちら

    Appendix


    EMRの2018年度版アニュアルレポートより




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