よい銘柄さえ選べば相場のほうは気にしなくてもよい。
ピーター・リンチ/ジョン・ロスチャイルド 『ピーター・リンチの株で勝つ』 三原淳雄/土屋安衛・訳 ダイヤモンド社
マーケットで生き残ることは、戦場で生き残ることと本質的に同じことだ。できるだけ損失を出さないようにして生き残ることさえできれば、結果的にいくらかの財産ができているものさ
Ronald W.Chan 『価値の探求者たち』 山本御稔/小林真知子・訳 きんざい グレアム・ドッド村のスーパー投資家(by ウォーレン・バフェット)こと、ウォルター・J・シュロスの言葉さて、あくまで「例えば」ではあるのだが、懲役20年をくらってしまい世の中から完全に隔離されることになろうとも、何の心配も不安もなく刑期を務めあげられるくらいの強靭な株式ポートフォリオを築き上げるのが、プリゾナーインベスティングの目指すところである。
これからも永続するであろう全人類・社会の発展に、長期にわたって貢献することができる精鋭企業の株式を持ち続けることによって、いくばくかの恩恵を最低限のコストで手に入れることができる・・・そういう株式ポートフォリオを作り上げるのが目標になる。
いや・・・堀の中に閉じ込められてしまうなんていうのはあくまでメタファーであり、実際は通常の日常生活を行いながら株式投資をするので、強靭なポートフォリオを作り上げて維持し続けるのは、かなり困難なものとなる。
玉石混合の溢れんばかりの情報の波に、日夜さらされざるをえないからだ。
そうなってくると、賢人ピーター・リンチ氏が言うところの「週末の不安」(*)に煩わせられたり、以前『長期投資における大罪 Envy』で書いた通りの株式長期投資における最大の難敵が首をもたげてきたりして夜も眠れなくなってくる。
これはツライな。
生半可な理由で投資先企業を選んでいると、隣の投資家が眩しいあまり、ついつい「脱獄」して別の投資先や投資法を試してしまいがちだ。誘惑には事欠かない。BRICS(すでに死語)にFX、仮想通貨の次はFAANG、居酒屋で吹聴する友人たち。
それがどれほどの愚かな行為か…ここで師ポール・ウェイドの言葉を引用しよう。
タフガイになりたい男たちが犯す最大の誤りが何か、わかるだろうか? それは移り気だ。あるトレーニング法から別のトレーニング法へといとも簡単に移ることだ。あるツールや技術が流行すると、今までやってきたことを捨て、それを始める。システムを変え、目標とアプローチ法を変えることは、トレーニングにおける自殺行為に等しい。
ポール・ウェイド『プリゾナートレーニング 超絶‼ グリップ&関節編』山田雅久・訳 CCCメディアハウス踊らされてはいけない。踊り続けるんだ。自身のステップを踏んで。
それらの誘惑だけならまだしも、本当に恐れるべきは相場の急落だ。どんなに本やセミナーで得た知識をもとに理論武装をして備えていたとしても、いざサブプライム金融危機クラスの暴落に見舞われたときの衝撃たるや・・・それは例えるなら、通信教育で空手の黒帯を取得したボクちゃんが、自信満々で極真空手の色帯にかかっていったときに受ける衝撃と同じくらい強烈なものである。
ちなみに私は遥か昔、ある程度著名な空手の有段者とお手合わせをしていただく機会があり、そのときスパーンと下段廻し蹴りを合わされたことがある。その刹那、私の燃える闘魂は成層圏の彼方へと吹きとばされていった。魂消るとは、このことを言う。
以来、私はインディラ・ガンディーでさえ地団太を踏んでしまうほどの平和主義者である。
***
もし貴殿の株式投資の目的が、資本主義がもたらす果実を永続的かつ確実に受け取ることなのであれば、最初になすべきことは決まっている。鉄棒にぶら下がっているときに、廻し蹴りをくらっても、いかなる嵐に遭遇しても、落下してしまわないグリップ力(握力)を鍛えることだ。
相場の変動や世の流行をものともしない圧倒的なグリップ力を手に入れなければならない。
この場合、グリップ力=持ち続ける理由、である。
そうなると個別株式投資しかチョイスが無い。それ以外の手法では、グリップする理由を見つけ出すのが困難だからである。
株式投資におけるグリップ力を鍛える方法として意識すべきは、以下の6つ(THE BIG SIX)が挙げられる。やるべきことよりも、やめるべき・やらないでおくべきことの方が多く、実際のところ、師ポールウェイドが指南するConvicted Conditioningより随分ラクである。
ここにTHE BIG SIXを記載する。
- KILL THE PRICE TAG -値札を見るな-
- KILL THE BORDER ‐国境を取っ払え‐
- KILL THE MODERN INVESTMENT SCAM -業界用語に惑わされるな-
- BURN THE BOOK - 投資指南書を焼き払え‐
- TERMINATE THE THEORY WITH EXTREME PREJUDICE ‐圧倒的な偏見をもってタダしいセオリーを蹴散らせ‐
- ASK NOT WHAT THE COMPANIES CAN GENERATE FOR YOU, ASK WHAT VALUE THEY CAN PRODUCE FOR THE PEOPLE -その企業が何を生み出しているかを問え‐
そして準備すべき道具は以下の2点のみ。
- NOTEBOOKS -ペンと紙-
- THE MASSIVE POWER ON YOUR OWN -限りない可能性を秘めた、他人のものではない、自身の脳みそ-
電卓すらいらない。世界史の試験を受けるんじゃないんだからPERやROAとかの指標の意味を丸暗記する必要もない。
自身でグリップする理由を考え、選択し、決断を下す。そしてそれを書き留める。
思考の一助になるようだったら、上記にコーヒーを付け加えるのも悪くない。それがFolgersだったら言うことないのだが、日本では入手がほぼ不可能なのが残念ではある。
***
かつてウォーレン・バフェットはこう言った。
"You never know who's swimming naked until the tide goes out" (**)潮が引いたときに誰が裸で泳いでいたかわかる、と。
間違っているぞ、ウォーレン。
確かにバフェットは偉大なる投資家だ。しかし同時に海のないネブラスカ州はオマハに住む田舎者でもある。若かりし頃に海水浴に行ったことなんて無いのではないか。もちろんブラッディ・オマハ・ビーチにも無縁だっただろう。
教えてあげよう。裸で泳いでいるかどうかは重要ではない。潮が引いたときに、タプタプのおなか、貧そな太ももが露わになって動揺することが恥ずかしいのだ。あわててスクワットをしても、もう遅い。
潮が引いたときに貴殿が、鎧のような胸、鋼のような三頭筋、引き戸のような背中、大砲のような上腕、地獄のシックスパック(注、ルートビールの6缶パックのことではない)、エレベーターケーブルのような太もも(***)を擁した肉体を保持していれば、たとえ水着を着ていなくても、全くうろたえる必要はない。
これとおなじで、潮目が変わったときにこそ、鎧のように強靭な株式ポートフォリオはその真価を発揮する。他人の評価による値札の上下に惑わされることはない。
えっ? 裸だと留置所行きだって?
それこそプリゾナーインベスティングの望むところである。
Hey, are you convinced, or...convicted?
情報開示:特になし
当ブログは、女性の読者を想定していません。ご了承ください。
プリゾナーインベスティングのChapter 1はこちら。
(*)ピーター・リンチ 『ピーター・リンチの株の法則』平野誠一・訳 ダイヤモンド社
(**)元祖のソースは把握していません。
(***)茶色部分の表現は、以下の大参考図書より
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