「羊?」
「うん」と言って彼女は半分ほど吸った煙草を僕に渡した。僕はそれを一口吸ってから灰皿につっこんで消した。「そして冒険が始まるの」
村上春樹『羊をめぐる冒険(上)』講談社文庫
最近読んだチャーリー・ティエン著『とびきり良い会社をほどよい価格で買う方法』(長尾慎太郎・監修、山口雅裕・訳、パンローリング)に、ドナルド・ヤックマンなる投資家が紹介されています。
ヤックマン氏はヤックマン・アセット・マネジメントの創業者で、彼の運用するファンドはITバブルのころはひどい成績だったけど、2000年、2001年、2002年には、それぞれS&P500を20%、31%、33%上回ったそうです。
またサブプライム金融危機下でも、2008年には11%、2009年には33%、S&P500を上回ったとのこと。
ヤックマン氏は、顧客が毎日消費し、景気にかかわらず頻繁に買う必要があり、なおかつ現金で買われるような商品を提供する企業を好んでポートフォリオに加えている(た?・・・最新のポートフォリオはコチラで確認可能なようです。ふーん、サムソンねえ・・・)とティエン氏は書いています。
そう、いわゆる「生活必需品」ですね。
私のように、売るのが苦手なゆえに、結果的に株式を長期保有するスタイルの投資家にとって、生活必需品を提供する企業は相性がいいですね。生活必需と言っても、定義はいろいろあるかとおもいますが、当ブログでは、飲料や嗜好品は除き、どちらかというと洗剤や石鹸、トイレタリー関連の、ケミカルな領域の日用品(最終製品)を「生活必需品」と呼びたいと思います。
この「生活必需品」は、投資するにあたり常に意識してる以下の恒常的な人類のトレンドの3つのエリアを、まんべんなくカバーしていますしね。
ただこれらの生活必需品界隈ですが、知っているようで、なかなか知らないですね。走攻守3拍子そろったプロ野球のドラフト一位選手みたいに、無難な印象しか残らないんだよな。
なんせね、根がズボラな私は、例えばトイレのクリーナーって言われても、どこのメーカーの製品か・・・なんて、それこそ株式投資を始めるまで気にしたことなかったからね。そもそも掃除は得意じゃない。
ビールは、泡さえ出りゃ基本なんだってOK、ではあるのだけれど、やっぱり一番搾り、みたいなこだわりがある。これがシャンプーとなると、マジで泡さえ出りゃなんだっていい。
でも、これじゃ、投資家失格ですね。
というわけで生活必需のグローバル・ジャイアント企業を複数選んで、ちょっと比較してみようかと考えました。複数の地域を代表して8企業を選び、以下の表のとおり、投資をするにあっての(現時点での)関心事の数値を並べています。
米国代表としてP&G(PG)、クロロックス(CLX)、チャーチ&ドワイト(CHD)、コルゲート・パルモリーブ(CL)。このうちPGとCLXの2社がThe 3rd Man's Fundの構成企業。
我らが母国、日本の代表として花王。
欧州代表としてユニリーバ(UL)、ヘンケル(HELKF)、レキッドベンキーザー(RBGPF)。
その他の国や地域にも、これらに勝るとも劣らずの企業があるやもしれんが、不肖投資家K.の貧弱なレーダーにはひっかからず。とりあえずこの8企業をおさらいしてみたいと思います。
なおPGとCLXが2018年度の数字、それ以外の企業は2017年度。それぞれモーニングスターのサイトや、各アニュアルレポート・有価証券報告書からポツポツと数値を拾ってきました。そのさい誤って拾ってきている可能性も無きにしも非ずですが、もしそうであっても、ま、素人が楽しんでいるだけなので、許せ。ご指摘いただければ幸いです。
花王のRevenueは1ドル・114.17円で計算。
自信がないのがEUR(ULとHELKF)とGBPのドル換算。2017年の年間平均レートを使用し、EURの売り上げを0.89で割って、GBPは0.78で割って、それぞれドル換算しているのだが、それで正しいのかどうか、あんまり自信がない。間違っているようだったら、ご指摘いただければ幸いである。
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なんでこんなんことを始めたかというと、PGとCLXの2018年度のアニュアルレポート読んだけど、もうブログに記そうと思うことが、なーんもなかったからである。せっかくなんでちょっとだけおさらい。
PG
PGの株価推移、赤丸がおおまかな獲得のタイミング、Yahoo! Financeより |
こうしてみると、もうちょっと待った方がよかったタイミングで獲得していますね。あとからなら何とでも言える。たとえ待っていたとしても、結局のところ株価的にある程度回復するまでは獲得できないのがオチである。
数字のソースはモーニングスター |
2018年度はみてのとおり。特筆すべき件無し。
それよりもだ、気になるのは・・・なにやら10あるBusiness unitを2019年の夏に6にまで減らすらしい。おそらくアニュアルレポートで記載されている10のProduct categoryのことを言っているんじゃないかと推測するのだけど、よくわからない。これまでPGはずっとリストラしてきたけど、今度のはもっと腰が据わっているように思える。どうだろう。
CLX
CLXの株価推移、赤丸がおおまかな獲得のタイミング、Yahoo! Financeより |
RevenueとOperating profitの推移は:
数値はモーニングスターのサイトより |
サプリメントの会社を買収したこと以外は特筆すべき件無し。
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てなわけで、今後(おそらく不連続で)何回かにわたり、上記の生活必需品ジャイアンツの比較を、表の数値を見ながら楽しみたいと考えております。
情報開示:この記事を書いている時点でPG133株、CLX57株保有
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