2015年1月23日金曜日

ドーバー(DOV)のレビュー (2015年1月)

Early in the morning factory whistle blows
Man rises from bed and puts on his clothes
Man takes his lunch, walks out in the morning light
It's the working, the working, just the working life

Bruce Springsteen 『Factory
私は留学を終えて94年の暮れに帰国したのですが、内定していた会社への出社は4月からでした。それでそれまでの間、その会社の工場でバイトをさせてもらうことになりました。

全社員で300人未満の会社だったので、規模もたかが知れていましたが、トタン板の三角屋根の、いかにも昭和的な工場で(現在は立て直されピカピカになったようです)、慣れないプレスマシーンを扱ったり、ステンレスの板にドリルで穴をあけたりして結構奮闘していました。周りの人にはハタ迷惑ばかりかけていた気がします。

ようやく春めいてきた日差しの中、工場の庭で缶コーヒー片手に休憩をしつつ、阪神・淡路大震災の傷跡が生々しく残っている近所の街並みを眺めていたら、頭の中でB.スプリングスティーンの『Factory』が流れてきたものです。

BGMがわりにつけてあった班長の席に置いてあるラジオからは、アナウンサーの緊迫した声がかすかに聞こえてきます。

東京の地下鉄で・・・えっ、なんだって・・・毒ガス!? 聞き間違えだろう・・・

このようにして私はFlorsheimの革靴ではなく安全靴を履いて、社会によろよろと一歩を踏み出していったのでした。

ドーバー(DOV)


59年連続増配中の、Energy、Engineered System、Printing & Identification、それからCommunication Technologiesの分野で、設備や部品の生産、それらのサポートサービスを行う企業です。はい、私の苦手分野です。従業員数は3万7千人。

Energy

オイルやガスのドリリングや搾り出し、貯蔵、輸送等に使う設備・部品や発電装置等をエネルギー業界に提供。これらの製品は北米で生産され、主に北米で販売されているようです。ただ海外での販売も増えつつあるとのこと。

Engineered System

主にスーパーやコンビニ向けに、食品関連の冷凍システムや貯蔵、肉の包装機械等々。
リサイクルやオートメーション分野の装置や部品。 
流体分野でポンプやコンプレッサー、ケミカル分野で調合したりする製品等々

Printing & Identification

一般消費財や産業製品へのシリアル番号やバーコード等を印字する機械・装置。

Communication Technologies

携帯用オーディオセットの部品。航空宇宙・防衛・医療機器産業に、なにやらいろいろ。

もーイヤ、だんだん疲れてきました。上記は大雑把な私の理解ということで・・・正しいかどうかは自信なし。

2013年度のRevenueでは、48%が米国外ということです。

セグメント別の比率は以下の通りです。

数値はアニュアルレポートより

最近注目を浴びているEnegy関連でEarningの36%を得ています。そのせいかどうか、最近のDOVの株価はいまひとつ。狙い時かもしれません。

原油価格の下落で株価も下落している、例えばエクソンモービル(XOM)やシェブロン(CVX)を獲得するのも一つの手ですが、DOVのような銘柄を狙うのも面白いかもしれません。

そのDOV、Annual organic sales growth(既存の組織での年毎の販売成長率という私の理解)で3-5%、買収による成長も年率3-5%を目標にしています。ちなみに2013年は前者は2.9%、後者は7.7%。

なかなか画期的な製品が生まれる余地が少ない成熟産業に身を置く成熟企業がさらなる成長を行うには、シナジーが見込める適切な買収を行い、 そののちリストラして効率を高めるよりほかないのでしょう。

というわけで2011-2013年で26もの事業を買収し、また将来の成功は今後の買収に大きく依存するとアニュアルレポートで謳っております。

こうしてみると経営者と労働者は、例えばAldenの革靴を履いている人と安全靴を履いている人はたとえ同じ企業に身を置いていたとしても、まったく別の世界の住人なんですね。教育も発想も組織に対する姿勢も根っこから違うんでしょうね。

経営者で、あのスティールの底冷え感を体感した人はどれだけいるのだろう。機械油の匂いをかぎながら、道場洋三(あれ、浜村淳だったっけ?)をラジオで聞いていた人はどれだけいるのだろうか。

日本はまだ創業者とか、生え抜き社員が会社のトップになることが多いように見受けられますが、今後はどうなるんでしょう。

Revenueです。

数値はモーニングスターのサイトより
 
マージンはエマソン・エレクトニック(EMR)と同じようなものですね。

一株当たりの指標

数値はモーニングスターのサイトより

わりとフリーキャッシュフローが潤沢、これもEMRと同じ。ふーん、意外ですねえ。悪くない。

というわけで、MachineryのDOVは、例えば清涼飲料水の銘柄のように、ウキウキとする要素が無い(少なくとも私には)のですが、けっこう長期的に安心して保有できる銘柄かもしれません。

すでに述べたようにオイルの価格が下がっている今は、獲得のチャンスかもしれません。ちょっと注目しておきたいと思います。若干配当利回りは低めですが。

情報開示:CVX64株、XOM30株、EMR30株保有

米国のこの手の企業を調べると、私の頭の中でブルース・スプリングスティーンかビリージョエルの曲がかかります。『Factory』はアルバム『闇に吠える街』に収録されています。このアルバムの原題は『Darkness on the Edge of Town 』です。日米ともに素晴らしいタイトルです。

そういう意味では、映画『The Way We Were』 の邦題が『追憶』、これも日米ともにアッパレです。

それにしてもワムの『Wake Me Up Before You Go-Go』が『ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ』・・・ウキウキときた日にゃGo-Goですとぉ・・・日英双方ともカツ入れといてください。渇!!

Appendix

BS
数値はアニュアルレポートより、項目は適当にまとめています
Cash Flowのウォーターフォールチャート
数値はアニュアルレポートより、項目は適当にまとめています

 




 



 












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