2013年のはじめに菊池誠一氏の『配当パワー投資入門』(日経BP)を読んで、いよいよ 連続増配当株式投資に軸足を置こうと考え始めたので、それならばとシーゲル氏の本も買い求めたのでした。
さてこの本、内容はもちろん面白いのですが、読まれ方がもっと興味深いですね。
この本のタイトルは 『株式投資の未来』(原題The Future for Investors)であって、決して『セクター別投資の未来』や、『S&P500に勝つ銘柄』や、『配当金再投資のススメ』ではありません。株式投資に未来があるや否や!?が最大の題目であり、それゆえにタイトルは『The Future for Investors』であり、訳者も 『株式投資の未来』にしていると思います。
“本書では、インデックス運用のリターンを引き上げる方法としていくつか補完戦略を紹介しているが、それは本書のテーマではない。” - 序文よりシーゲル氏は、株式投資の未来に漂う暗雲として米国社会での高齢化を挙げています。ベビーブーマー世代が引退をはじめたら、いったい誰がモノの作り手となり、資産の買い手となるのか・・・と。
それに対し、通信テクノロジーの発展による経済のグローバリゼーションの恩恵を受けた中国やインドをはじめとする途上国が繁栄すると、“高齢化する国々の退職者は、さらに長く、さらに豊かな余生を過ごすことができる”、なぜならば“途上国の若者が、モノの作り手となり、退職者の資産の買い手となる”からと述べています。
それを踏まえたうえで、D‐I‐V指針(すみません、何のことかは本を読まれたし)を味付けした株式投資戦略をとると、単純なS&P500等の米国株式Index投信よりもリターンがよいかもよ、と書いています。
私はてっきりフィリップ・モリスやアボットなどの個別銘柄を強烈に推している本だとばかり思って紐解いたので、若干あれれっていう感じでした。でも今では、この本の本当に面白いところは第4部だと思っています。
本来であれば『株式投資の未来』を取り上げる場合は、セクターや個別銘柄がどうのこうのというより、新興国の成熟度合いや国際情勢の動向が話題になってしかるべきかもしれません。
今現在の世界はシーゲル氏にとってどのように映っているのでしょう。彼の思い描いた通りに途上国は成熟してきているのでしょうか? いまから20年後の人口動態は、我らの資産を支えてくれるのだろうか? 果たして株式投資の未来は如何に?
というわけで、成熟度合いまでは難しいにしても、約20年後の人口動態の予測を調べてみました。
以下のグラフのソースは全てUnited States Census Bureauです。単位は千人、グラフ毎に横軸の値が異なるのに留意してください。
まずは全世界の2035年。
でもこれをMore Developed Countries(注1)に絞ると・・・
つぎにLess Developed Countries(注2)の2035年。
それでもですね、現在の世界情勢を見るにつけ、そうすんなりと途上国が豊かになるとは思えないです。極東の島国が経験したような、数十年間にもわたり、飢えと戦争から解放された状態が保たれるなんてのは奇跡に近いです。(個人的には、並大抵ならぬ政治手腕が発揮されてきたと思います・・・経済一流・政治三流なんて言葉は、いくらなんでも言い過ぎ)。
となると、やはり未来は暗いのか・・・。では、シーゲル氏の母国の現在と20年後を見てみましょう。
右が2014年、左が2035年。
まず全人口で16%増です。20-64歳の人口比率は、2014年が約60%に対し35年が55%で減っていますが、35年には40-44歳が6.7%を占めて一位、30-34、35-39歳がそれぞれ6.4%で2位、45-49歳が6.3%で3位と、働き盛りで消費も旺盛と思われる年代が上位を占めるという理想的な形になっているようです。
それに米国在住の人々が豊かになる可能性は、途上国在住の人々のそれより、かなり高いのではと思います。
ジェレミーくん、心配するこたぁねーよ。
逆に私は米国企業で、売上の半分強が米国、残りが米国外みたいな企業が一番長期投資の対象として安心なんじゃないかと思ったりしはじめました。 これでシェールガスもあるんだから、米国は鬼に金棒じゃないか。
で、日本。もちろん私は調査しました。いや、覚悟はしてたけどね、あらためて自分でグラフを作ると、戦慄が走りますね・・・これは、別のエントリーで改めて・・・。今週は予定が詰まっているので、次回は来週になります。
See you next week!
情報公開:ABT108株保有
注1)2):国の構成までは調べていません。あしからず。
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