2023年2月9日木曜日

保有株式のフォローアップ

 投資判断は数字や利回りだけで下すべきではない。配当利回り、配当性向、株価収益率(P/E)、投下資本利益率、フリー・キャッシュ・フローといった数値の分析は行うが、これらの数値は物事を単純化しすぎていると感じている。すべての道はローマに通じるというように、どんな手法や数値を用いても最終的には安いか、高いかの判断に行きつくわけだが、定性的な分析の重要性の方が高いと思う

by アンソニー・ナット、Roald W.Chan 『価値の探究者たち』 山本御稔・小林真知子・訳 きんざい 

とはいえ私のような数字が苦手な個人投資家が株式を評価する際、どうしたって定性的なところに偏重しがちです。投資は「儲け」を出すことが大前提なので、やはり定期的に数字はきっちり押さえておいて、ある程度客観的に獲得・維持・放出の判断を下さないといけません。理想は永久保有の無回転ポートフォリオなのではあるが。

以前、『真のバリュー投資のための企業価値分析』の著者である柳下裕紀氏が主宰する「Aurea人生と投資の会」に参加した際、参考資料としていろんな数値が入ったエクセルファイルが送られてきたのですが、さすがプロ、その情報量に圧倒されてしましました。

真似しようとしたのですが、あれと同じものをメンテするのは、素人個人投資家には無理です。時間も根性も足りません。

なので自分なりに情報量を厳選し、省エネ(死語? ではSDGs)で保有株式、もしくは興味を持った企業の数値を追いかけるファイルを作成しました。保有株式については年に一回更新します。私のような投資スタイルではそれくらいがちょうどいいペースかと。今後はこのファイルをもとにブログも更新していけたらと考えます。

なお、私はハナッから理論株価を求めることは捨てています。そんなものは私のサークル・オブ・コンピタンスから一万光年離れているのである。

フォローする数値は:

  • 売上高(と、その増加率)
  • 売上総利益(と、その増加率)
  • 販売費および一般管理費
  • 営業利益(と、その増加率)
  • ROA
  • ROE
  • ROIC
  • WACC
  • RoCE
  • ROICとWACCの差(グラフ)
となります。いたってシンプルに、持続可能性を追求しました。

ROAとROEを加えた理由は、うーん、これらの指標、いまだにすっきり腹落ちしていないので、これをもとに判断というより、逆にビジネスの進捗具合で数値がどう変化するかを観察したいためになります。

RoCEはビジネスの質をみるため。20以上はエクセレント。

ROICとWACCの差はグラフにします。+であれば企業価値を創出できているので、一番大事に見るべきポイントと考えるからです。

***

最近ポートフォリオを整理しました。

放出:システムD、サカタのタネ、P&G、ユーホール(UHAL)
追加獲得:ニチハ、KeePer技研、ゾエティス(ZTS)、マコーミック(MKC)、トラクターサプライ(TSCO)、ホーム・ディーポ(HD)
新規獲得:日立製作所

結果的に2022年末より3社減りました。計16企業になっています。

今回は、

  1. 成長という変数
  2. 株式保有ストレスの有無
  3. 特徴がきわだっているか
  4. 持続性があるか
  5. 安定性はあるか

の5つの視点で考えました。

放出された企業の理由は、システムDとサカタのタネが1、P&Gが1と3、UHALが4と5にひっかかったからになります。いえけっしてシステムDやサカタのタネ、P&Gの成長性そのものに疑義があるわけではないのですが、ほかの企業の方が確度がたかいと考えたからです。

いっぽうの獲得された7社は、せっかくなので、あらたなファイルを眺めながら、ちょっとメモをしておきます。

【ニチハ】


知ったきっかけ: 「Aurea人生と投資の会」

投資開始:2022年12月

品質の高いサイディングボードを提供することにより、人手不足が加速する建築業者さんの負担軽減という価値を提供。成長という観点で見ると、

  • 高付加価値製品の量産体制が整いつつある
  • 非住宅の需要増
  • 金属製の外壁
  • 米国市場開拓中
がある。

定量的な数値は目立ったものはないけど、確実にROIC/WACCスプレッドは+を維持中。

【KeePer技研】


知ったきっかけ: 散歩中。近所にショップがあった。

投資開始:2019年12月

提供する価値:ドライバー・ライダーへの高揚感

成長は、

  • まだまだ店舗数拡大の余地あり
  • 女性ドライバー開拓
  • 車・バイク以外への可能性
  • 人々のモノに対する意識成化「好きなものを、よい状態で、より長く」
がある。

定量的な数値は・・・すごいですね、とくにスバルやトヨタのディーラーとタイアップを始めてからのモメンタムたるや。RoCEなんて50近いですね。今回これらの数値を確認してまだまだいけると判断し、少ない株数ですが追加しました。

【ZTS】


知ったきっかけ: NVIC長期厳選投資の記念すべき第一回運用報告会

投資開始:2018年10月

提供する価値:ペット愛好家と畜産業者(というか獣医かな)への安心感

成長は、以下を鑑みると、もう言うことなし。

  • 人類の生活スタイルの変化(高齢化、少子化、少人数世帯数の増加)
  • (特に中流階級)の人口増による食(肉)の問題
  • さらなるM&A
定量的な数値は・・・これも圧巻。

【MKC】


知ったきっかけ: Dividend Championsのリスト

投資開始:2015年1月

提供する価値:特に食品メーカーに対しては安心感、それにプラスして一般消費者に対しては「時間」

成長は(特に中流階級)の人口増につきますね。

RB Foodsの買収以降、経営効率の数値が悪化中です。また直近はインフレのあおりを食らっています。個人的にビジネスモデルがすごいので心配ではないのですが、今後これらがどう変化していくか、は興味深く注視します。

今回追加するかどうか相当迷ったのですが、P&Gを放出して得たキャッシュを円転して日本の企業を獲得しようかとも考えたのですが、投資顧問であるフジマキ氏が「私の目が黒いうちにドルを円に換えるなんて許さん!紙くずになるぞ!」と強硬に反対されるので(嘘です)、消去法的にMKCに追加投資しています。

TSCOは簡潔に:



知ったきっかけ: US版 Morningstarに記載されていたArticle

投資開始:2020年6月

提供する価値:米国の田舎暮らしを楽しむ人々が定期的に訪れたくなる娯楽施設的な場

ここ2年の増収はすごいものがありますね。

HDに関してはファイル未作成。また別途。

最後に今回新規で獲得した日立製作所。



投資対象として見始めたきっかけは、スパークス新国際優良日本株ファンドの月次レポートを読み続けて、ですね。

いずれ日本を代表する、トヨタを凌ぐ存在になるのでは、と考えます。いや、まじで。成長株ですよ、これ。いま押さえておかないと、と考えて動きました。

別途改めて記事をまとめたいかと思います。

それにしても日本の老舗大型個別株式に投資する日が来るとは・・・。

下手な横好きレベルの日本酒愛好家としては、どうしても地方の酒蔵のものに手を出しがちですが、聞くところによると大手日本酒メーカーが本気を出したお酒は、地方の酒蔵じゃ太刀打ちできないレベルで凄いそうです。

それと同様、今後生き残る日本大手企業は、世界的に本当に凄い存在になっていくのでは、と思ったりしますが、さてどうでしょう。

情報開示:この記事を書いている時点でMKC637株、TSCO195株、HD91株、ZTS160株、KeePer技研500株、ニチハ700株、日立製作所400株 保有。

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