2021年3月9日火曜日

スパイスのない人生なんて 6 - マコーミック(MKC)の2020年度 -

 

結局のところ、胃袋がその人の王なのだ。

ミン・ジン・リー 『パチンコ 上』 池田真紀子・訳 文藝春秋 


我らがThe 3rd Man's Fundの2020年末におけるポートフォリオの首位打者であり、なおかつOperation Jupiterの旗艦企業でもあるマコーミック(MKC)の2020年度の結果を振り返ります。

MKCは配当の再投資を中心に過去6回に分けて獲得しています。初回獲得は2015年1月。


MKCの2015年からの株価(月次)チャート。赤矢印が獲得の大まかなタイミング。


ではRevenueとOperation incomeの推移。

数値のソースはモーニングスター


トップラインは前年比4.7%伸びです。為替の影響は、ほぼ無し。セグメント別にみると、一般消費者向けのConsumerセグメントが+10%、企業向けのFlavorセグメントが-3.5%となっています。

ここらあたりはコロナ禍の影響がもろに出ていますね。ステイホームで人々が家庭で食事をすることが増えています。それだけでなく調理そのものを楽しんだり工夫を凝らしたりする傾向にあるらしく、そうなれば多種多様なスパイスの出番ですわな。MKCは、このトレンドは決定的なもので、アフターコロナでも続いていくであろうと推測しています。いくら時間ができても、塩コショウ・ミックスの瓶一本とウスターソースさえあれば、それ以上の工夫を放棄してしまう私なんぞは例外的な存在かと思われます。

一方のConsumerセグメントは、Packeged Food(包装食品)やクイックサービス・レストラン(ファストフード店等)からの需要はコロナ前と同等ではあったものの、それ以外が落ち込んでいて、回復には時間がかかるだろうとの見立てです。

新製品投入はそんなになく、それはこれまでの製品の浸透をはかってるからとのこと。

2020年度の買収は2件。

ひとつはFONA Internationalで、ナチュラル・フードや栄養・健康食品に技術をもつ会社のようです。世の中の食に対する健康志向を意識している買収かと思われます。こうしてきらりと光る技術を、すでに作り上げているMKCの規模に掛け合わせて、ますます筋肉質な企業になっていきますね。

もうひとつはCholula Hot Sauce。メキシカンのスパイシー・ソースを代表するブランドを有している企業のようです。

米国ではこれからメキシコを含む中南米系の「ラティーノ」と言われる人々の人口がどんどん増えていきますからね。ここらあたりはしっかり押さえておかないと。トランプがああ言ったこう言ったとか、金利がどうのこうのとかの枝葉末節に注意を奪われていると、大事なことを見逃しかねません。

ナショナルジオグラフィック誌、2018年7月号

経営効率をめぐる指標とBPSの推移。


数値のソースはモーニングスター

数値のソースはモーニングスター

効率よく資本を使って利益を出し、価値を積み上げていっています。

MKCの長期的な目標は以下の通り。
  1. Salesの年間成長:4-6%
  2. Operating Incomeの年間成長:7-9%
  3. EPSの年間成長:9-11%
結果は以下の通り。

数値のソースはモーニングスターそれをもとに計算

個人的な関心で増配率も含めいます。目標をアウトパーフォームしています。

***

つまるところ、どんなにご高邁な人がどう理屈を語ろうと、ミン・ジン・リー氏が大作『パチンコ』で書いたように、人は胃袋に支配されているものなのです。胃袋がサキで理屈はアト。腹が減ってはイクサは出来んし、テツガクも無理だ。私自身、大英帝国を築き上げた原動力は、マズいメシしか与えられなかった胃袋のなせるワザだったと固く信じています。

であるならば、スパイスの世界での巨人であるMKCを押さえておかない手はない。持っておかない理由がない。ひきつづきストロング・ホールド。

情報開示:この記事を書いている時点でMKC352株保有

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