2018年12月22日土曜日

ゾエティス(ZTS)の追加獲得と、株式を巡るよもやま話

今年の最後の投資活動として、ゾエティス(ZTS)を追加獲得しました。2018年の配当金の再投資になります。


最近の相場環境(年末セール)のおかげで、どの企業の株式にしようか結構迷ってしまったのですが、あわてなくても今後しばらくIndustrials系はバーゲンセールが続きそうな気がするし、地味な生活必需関連は、マーケット参加者の多数が浮かれポンチ状態になった時にこそ獲得すべきかなと考えたので、そのどちらでもなさそうなZTSにしました。

ZTSに関しては、少し前に『暁のZ作戦・その1 -エクソン(XOM)の放出とゾエティス(ZTS)の新規獲得-』で書いたばかりなので、とくに書くことはありません。でもそれだけじゃ寂しいので、珍しく直近の話題について。

ジョンソン&ジョンソン(JNJ)の株価が大きく下落しています。JNJの経営陣が、ベビーパウダーに発がん性物質が混入するケースを認識していたにもかかわらず、当局への報告を怠っていたんじゃないかという疑惑をロイターが報じたことがきっかけです。うーん・・・、ヘルスケア企業は、ときおりこういうことがありますね。

2015年、マニラにて


私の株式投資の経歴は、以前勤めていた外資系ヘルスケア企業のESPP(従業員株式購入プラン)に加入したのが馴れ初めです。たしか2006年のことでした。

当時は世界的に景気が良く、米国の株式指数も、そのヘルスケア企業の株価も好調でした。給料のXX%(自分で設定できた、確か3~10%の間で選択可能だったように記憶している)を毎月積み立てて、3ヶ月に一度、株式を時価の15%OFFで購入するというものでした。おまけに配当はDRIPで再投資されます。

その会社は私の3つ目の就職先だったのですが、それまででベストな職場だったこともあったし、周りの同僚もやっていたし、さらにはすでにDRIPの知識があり、その優位(?)性を知っていた私は(なんでだろう、おそらくジェレミー・シーゲル氏の本について書かれたブログでも読んでいたに違いない)、じゃ、やってみようかと申し込みました。入社して2年目のことです。

しばらくは株価も好調だったのですが、ある日突然急落。

理由はメインの製品の一つがFCA(Field Collective Action)になったからです。簡単に言うと、自動車のリコールのように、製品に不具合が発見され、回収することになったのですが、ま、回収とはいってもね、その会社の製品は体内にインプラントする医療機器なのでね、そりゃ、おおごとですわ。

私は医療機器業界の経歴が浅かったので、当初どれほどのおおごとかわからなかったのですが、まずは株価で思い知らされましたね。

この時点で複数の同僚がESPPを停止。機を見るに敏なマーケティングの連中の逃げ足が速かった・・・いや、正確には若干早すぎたんじゃないか・・・気のせいか。

私は辛抱強くESPPを続けていましたが、そのうちにサブプライム金融危機によるリーマンブラザーズの破たんのあおりを食らって、暴落。

その後、その会社もしばらく業績が振るわなくなり(日本はそれでも保険制度がばっちりあるので、調子は悪くなかった。おかげでリストラはたいしたことなかった)、おまけに新たに財務畑出身の人がCEOに就任した結果、会社の雰囲気が辛気臭くなってしまい、S&P500や他企業と比べて長い間、株価は低迷。(ひとくちアドバイス:CEOが財務畑出身の会社の株式には手を出さない方がいい)。

さらには円高と来たもんだ。

この時点で大半の同僚がESPPをやめるか、株式を換金したらしい。喫煙室で(当時私はスモーカーだった)こう言われたものである。

えっ、K.、おまえまだアレ続けてんの?

そう、私は続けた。意志が強かったからではない。やめる手続きが面倒くさかったのと、自暴自棄になっていただけである。ただし、この会社が提供する製品とサービスは、ちょっとしたもんだし、一番大きな事業部の製品のシェアはゆるぎない1位なのだから、いつかはきっと・・・という小さな確信も正直あった。

結局10年以上勤めたその会社。退職したときのESPPの口座の時価は、財務畑CEOが去ったあとの株価の回復と、さらにはドル高、及び15%ディスカウントも相まって、元手の3倍の価値になっていました。

石の上にも3年、いや10年、おしんのしんは辛抱のしん、とかいうことを言いたいわけではない。

私が言いたいのは、のほほんと保有して未来永劫安泰な個別株式なるものは存在しない、ということである。

どこかでちらりと見たんだが、JNJは初心者向けの安定銘柄とか書かれてあるのを読んで、唖然とした記憶がある。おそらくは「ディフェンシブ株」なる、どこぞのファンドか証券会社による宣伝文句をそのまま受け売りしているだけだと思われるのだが、それにしてもあまりに浅はかな風潮が最近ちらほら散見される。

株式投資を、なめたらあかんで。

初心者向けの株式なんぞ、存在しない。ETFも含めてだ。「野球初心者であるあなたが、初めて応援するのにおすすめのプロ野球の球団」なんぞが存在しないのと同じくらい自明なことだ。

ヘルスケアだろうが生活必需品だろうが株価指数連動であろうが、ひどい目にあうときはひどい目に合う。私が勤めていた会社もそうだったし、JNJもしかり。ZTSも例外ではないだろう。

JNJの業績や株価が今後どうなるか、私にはさっぱりわからない。ただし今後の展開はきっちりと注視し、情報を確認し、自分なりのCode of Conductをもって対処すべきである。心構えだけはしておかなければならない。

株式投資とは、自身の知恵と胆力とを引き換えに、幾ばくかのリターンを取りにいく行為である。怠惰(SLOTH)を差し出したところで、いったい誰が引き換えにリターンをくれるんだい?

しまっていきましょう。

情報開示:この記事を書いている時点でZTS102株、JNJ174株保有

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