EMRは2015年のQ1に2回に分けて購入しています。そのうちの一回目はNISA口座。
こうして株価の推移をあとから眺めますと、2015年後半から2016年がEMRのバーゲン期間でしたね。
この頃はアボット(ABT)やアルトリア(MO)を、もっと大バーゲンと判断したり(少なくともABTに対する判断は間違っていなかったと思う)、ローリンズ(ROL)の存在を知ったり(もっと集めとくべきだったのだが・・・ま、ベストは尽くした)、日本株式に戦線を拡大したり(『適当なる投資家K.の日本株式投資録』)していて、そのなかではEMRは私にとって魅力が低かったんですな。
EMRは、人口動態+3つの重点エリアのうち、「豊かになった、あるいはなりつつある人々の、よりよき環境(衛生)への絶えることのない欲求」を特に意識して投資をしている企業になります。みんな、昨日より汚いトイレで用を足したくはありません。でしょ?
・・・と、格好つけて書いていますが、後出しじゃんけんです、ハハハ。2015年にEMRに投資を開始した時は、んなこたぁ、ちっとも考えていなかった。2017年度のアニュアルレポートを読んで、こんなことを言い出しているしまつです。
2015年度時点のEMRの事業は以下の5つでした。
- プロセスマネジメント
- インダストリアルオートメーション
- ネットワークパワーシステム
- クライメイトテクノロジー
- コマーシャル&レジデンシャルソルーションズ
2017年は:
- オートメーション・ソルーションズ
- コマーシャル&レジデンシャルソルーションズ
となっています。
個人的にアニュアルレポートで印象に残った、というか驚いたのは、P.12から始まる広大なレタス畑(おそらく)の写真ですね。一瞬ディア(DE)のアニュアルレポートを読んでいるのかと思った。ここでEMRは、人々に届けられる食の安全は俺たちが担っているのだ、みたいなことを謳っています。
これまで私が持っていたイメージと違うぞ、EMRくん。というか、コチラ分野でのご活躍をすっかりスルーしていました。
またCold ChainとHVAC (Heating, Ventilation, and Air Conditioning)という言葉も今回はじめて知りました。
では、Revenue、営業利益率、ROAの推移を見てみましょう。
数値のソースはモーニングスターのサイト |
2017年度のセグメント別の成績は以下の通り。
数値のソースはアニュアルレポート |
グローバル企業のコングロマリットは、事業の切った貼ったが当たり前のようにおこります。これは米国企業への株式投資を始めてから知った事柄のひとつです。
あと腐れのなさというか変わり身の早さは正直驚きですね。日本企業でいうと重工業の企業というより商社をイメージしたほうがいいんかもしれない。例を出すと、2016年11月にはネットワークパワーシステム事業を、2017年の1月にはpower generation, motors and drives事業を売却しています。
一方で2017年4月にvalves & controls事業を買収し、オートメーション・ソルーションズ事業を強化しています。
もちろんやみくもに切った貼ったをしているわけではありません。例としてオートメーション・ソルーションズの以下の図で示されてるように、経営陣は確固たる道筋を建てて、冷徹に強化する分野を取捨選択しているようです。
Electrical Products Group Conference 2018のEMRのプレゼン資料より |
で、今回注目したいのが、マージンが良いCommercial & Residential Solutions事業。このセグメントも大きく分けて、Climate TechnologiesとTools & Home Productsに分かれます。
2016年度と比べて5%のSalesをのばしたのがHVACと冷凍関連のClimate Technologiesです。環境(衛生)分野ですね。全世界的に売り上げを伸ばしていますが、とくに中国での需要が高かった模様です。
ご存知の通り中国は石炭火力による大気汚染が深刻なの(だった?)ですが、EMRのテクノロジーを用いたElectric powered heat pumpsは、寒暖差を利用して夏は涼しく冬は暖かいという快適な環境を効率よく共同住宅や商業施設等に提供していてるそうです。結果的に中国人のQOLと環境に大きく貢献しているそうで…
ある意味、かの地で空気清浄機を提供するA.O.スミス(AOS)の競合ですな。
そして注目はコールド・チェーン。EMRは、収穫からお店の棚まで、食(糧)品の安全と品質を保っているのだとか。
これは大事ですね。いくらDEの農耕機械がたくさんの農作物を刈り取ったとしても、マーケットに出回ったときに鮮度が落ちていたら元も子もありません。
アニュアルレポートでは、Food Industryは毎年$750Bを不適切なコールド・チェーンによって失っていると述べています。人々の健康(衛生)への意識は高まりつつあり、それは先進国のみならず、経済的な台頭が著しい新興国でも顕著になってくるかと思われます。
さすがEMR、61年連続増配等の老舗コングロマリット! おいしいところを押さえましたね。
・・・と思ったら、ウィキペディアによると、そもそも
スーパーマーケットに生鮮食品やアイスクリームをおくことを可能にしたのもエマソンの技術である
とのこと。
初歩的なことだよ、投資家K.。そんなことも知らずに投資していたのか。
というわけで、昨今の温暖化はもはや不可逆的な現象だ、新たなる投資の対象だ、とばかりに俄然HVAC界隈に興味を持つ発端になったEMRの2017年度のアニュアルレポートなのでした。
それもあって、
5月にこの本を勇んで読んだのですが(参考記事『サードマンの収入明細(2018年5月)読書と、いささか頼りない読解力』)、結果は自身の浅はかさを知る破目になっただけですね。ま、それまでHVAC関連の企業をつらつら眺めたりしたので、機会があれば記事にまとめておきたいと思います。
最後に財務三表。
情報開示:この記事を書いている時点でEMR55株、MO322株、ABT161株、ROL160株、AOS40株保有
このブログでのEMRのに関するほかの記事はこちら。
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