疑いえない唯一の勝利は、種子に宿る力が体現している勝利だ。広々とした黒土に撒かれるだけで、種子はすでに勝利しているのだ。だがその勝利の歓喜に立ち会うためには、時が流れるのをじっと待たなければならない。
サン=テグジュペリ『戦う操縦士』鈴木雅生・訳 光文社古典新訳文庫当ブログを開始した2014年の4月(そう、日本がドログバ選手にやられてしまったワールドカップの年)に投資方針を策定しました。それ以降、株式投資の経験を重ねるにつれ、少しづつ考え方が変わってきたのと、先日の農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)さんとの座談会でいろいろなインプットがあったのを踏まえ、投資方針を改定することにしました。
投資方針【2018改訂版】に記載しています。
一番意識したのは、長期で企業の株式を保有し続けるグリップ力です。でなわけで、投資指標(PERとか、増配率とか、配当率)とかは全て省きました。こういう数字で投資先を選定しても、いざとなったら、あっけなく手放してしまいそうですからね。持たざるを得ない理由にならない。
あと、いちおう営業利益率とROAは意識しますが(この辺はNVICさんの受け売り)、厳密に数値を設定しているわけではありません。漠然としたものです。
これくらいのToleranceが、私には心地よい。
戦術のところに、長期的・不可逆的なトレンド(ここもNVICさんの受け売り)と格好つけて書いていますが、いまのところは世界の人口動態(参考資料:人口動態 <資料>)とにらめっこして、あの波にうまく乗れそうな企業を意識していくことになります。
人口動態に関心を持ち始めたのも2014年前半あたり(参考『株式投資に未来はあるのか』)ですが、きっかけはジェレミー・シーゲル著の『株式投資の未来』(瑞穂のりこ・訳、日経BP)を読み、彼がこの本を著すきっかけとなった「ベビーブーマーたちが引退した後、誰が株式を買い支えるのか」という題目に関心を持ったのがきっかけです。
ちょうど私が同書を読んでいた時に、購読している山口正洋氏のメルマガに人口動態のデータが得られるソースが紹介されていたので、よーしとばかりに利用しました。以後、私の株式投資活動において人口動態を意識することは、バロック音楽における通奏低音みたいなものになっています。
なんせ、もっとも確度の高い予測ですからね。過去にあったような急激な気候変動が来ない限り。
日本では、ご存知のとおり少子高齢化で、一見ネガティブな人口動態ですが、この逆風を糧としてバリューを創り出す企業もあるはずです。アントニオ猪木氏の言うところの「風車の理論」ですね。
これを強く意識したのが、別枠の『いざ・波』ファンドになります(参考『ポートフォリオの命名 -いざ・波ー』)
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というわけで、これまでもそうでしたが今後はさらに、PERやPBRなどの投資指標、配当率や配当性向などの財務指標、株価チャート・・・というより株価そのもの、トレンディーなテーマ(流行りものはなんですかぁ、儲けやすいものですかぁ、それより僕と踊りませんかぁ)、セクターの比率、リバランス、グリーンスパンのカバンのサイズや太陽にあらわれる黒点の数等々、株式投資において本筋でないものは一切考慮にいれません。
見るべきは企業、事業、およびそれらが創造するバリューのみ。そのバリューを見極めた時に余裕資金があったら、四の五の言わずに株式を獲得する。シンプルです。
というわけで、この投資方法は私としてはバリュー投資と呼びたいのだけれど、世間的には理論的な株価に対し割安度が高い株式に投資するのがバリュー投資といわれてますからね・・・
どうしようか、新バリュー投資、あるいは真バリュー投資とかにしようか。うーん、どっかの空手の団体みたいやな。ネオ・バリューとかだと、いよいよ怪しくなるし・・・。
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じつは人口動態に次ぐ長期的・不可逆的なトレンドをもう一つ見つけたと思って、ちょっと研究していたんですけどね。失敗に終わりました。これに関しては、また別の機会に書きたいと思います。
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というわけでNVICさんとの座談会を発端とする記事も、これが最後です。いろいろ考えるよいきっかけになりました。いただいた書籍のライフネット生命保険の出口さんのパートを読んでいると、「人・本・旅」が発想の源とありましたが(*)、やはり時にはFace to Faceで話すのもいいものですね。
貴重な機会をいただきましてありがとうございました。
それにしても、ああ、旅行に行きたい。
情報開示:とくになし
(*) 川北秀隆 / 奥野一成・編著 『一流の経営者は、何を考え、どう行動し、いかにして人を惹きつけるのか?』 ダイヤモンド社
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