私はいまやオーキンレック将軍に指揮解任を告げなくてはならなくなった。過去の経験から、この種の不愉快なことは口頭よりも書面によるほうがよいのを学んでいたので、私は次の手紙を持たせて、ジェイコブ大佐を空路彼の本部に派遣した。
W・S・チャーチル 『第二次世界大戦3』佐藤亮一・訳 河出文庫きたるべき砂漠のキツネとの決戦を前に、時の英国首相チャーチルは指揮権の変更を決断します。ずいぶん思い切ったことをしたもんだ。それからほどなくして連合軍はエル・アラメインの戦闘で歴史的な勝利を得ます。
「アラメイン以前に、われわれには勝利はなかった。アラメイン以後、われわれには敗北はなかった」。サッカーには興味がこれっぽっちもないのですが、ワールドカップ目前で日本代表チームの監督が変わりましたね。これまたずいぶん思い切ったことをしたもんですね。
さて、私はと言えば、諸事情により今年の前半は株式の定期獲得は見合わせていてヒマです。その間に20年後の配当金のちゃりん・ちゃりーんの音色を確かなものにするため、《スレッジハンマー》作戦と題して(すっかりチャーチルの『第二次世界大戦』にかぶれている)、The 3rd Man's Fundの構成銘柄の見直しを行っています。
すでに第一弾として明光ネットワーク(4688)が全株放出されました。それと引き換えにステップを200株追加で獲得しています。(参考『ポートフォリオの再編成 戦力外通告第一弾《春なのに》』)
さらに引き続き、第二弾としてコカ・コーラ(KO)を47株放出し、代わりにアルトリア・グループ(MO)を36株、追加で獲得しました。
さてそのKO。2017年までのRevenueとOperating profitの推移を見てみます。
数値のソースはモーニングスターのサイト |
トップラインが下がっているのは、北米でボトリング事業の再フランチャイズ化を行っているためです。反対にOperating profitが高くなっているのは、おそらく再フランチャイズ化の結果として、マージンの高い原液販売の比率が高くなっているからだと推測します。
KOの2017年度の10Kより抜粋 |
ま、以前のCEOがやったことを、今のCEOが元に戻しているだけのようにも見える。
キャッシュフロー推移を見ても≪資本を食う豚≫(*)、Capexがとても少なく、フリーキャッシュフローが潤沢にGenerateされています。
数値のソースはモーニングスターのサイト |
これだけを見るとKOは、Buy & Holdで配当をちゃりん・ちゃりーんし続けてもらうには、うってつけの銘柄のように見受けられます。
しかし以前からずっと指摘し続けている(関連記事はこちら)ように、キャッシュ・フローを別の側面からみると、あのサブプライムクライシス以降、KOはバカげた量のDebt issueとDebt paymentのジャグリングを繰り返しています。
直近3年は以下の通り。
数値のソースは10Kより |
現在の低金利下では、このような資金調達というかファイナンス行動を行うのがもっともコストが抑えられるのかもしれないし、これに懸念を表すのは、素人の杞憂なのかもしれません。あるいは企業が成熟してくると、こういうキャッシュフローになってくるのかもしれません。似たような例は老舗連続増配当銘柄のジェニュインパーツ(GPC)や、コルゲートパルモリブ(CL)でも見られます。
しかし私は気にくわない。
さらにはBSを見てみると、
数値のソースは10Kより |
これもおそらく再フランチャイズ化でBSの規模は数年前と比べると小さくなっています。にもかかわらず負債は大きくなり続けています。
Short termはLoans & Notes payableとCurrent maturities of long term debtの合算 |
というわけでFinancial Leverageも右肩上がりです。もちろん、KOのような生活必需品・飲料における強いブランドをもっている企業は、これくらいでどーにかなってしまうものではないと思うし、流動性資産もたっぷりあるけど。
数値のソースはモーニングスターのサイト |
KOは、Buy&Holdで安心安全な銘柄だって言い張れるほど、私はナイーブでもスマートでもない。というか気に食わない。
というわけで、KOと比べると(私から見て)常軌を逸していないキャッシュフローをもつMOの配当利回りが上がってきているので、KOとMOをトレードしました。
さすがにもうこれ以上KOを減らすことは無いと思います。
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そしてスレッジハンマー第三弾として、ゼネラル・ミルズ(GIS)を全株式放出し、引き換えにインターナショナル・フレーバー&フレグランス(IFF)を15株新規で獲得しました。
GISは2014年6月から保有していたのですが、結局-14%のキャピタルロス、累計$241の配当金という結果でした。放出した理由は、以前に『ゼネラル・ミルズ(GIS)の最近』で述べた通り。長期保有するに足るエッジがない。
GIS was sledge hammered out, men.
IFFはウィッチクラフト作戦での採用銘柄第一号となりました。同銘柄については、別の機会に。
私としては随分思い切ったアクションです。陣容は整ったぜ、いざ、ゴールデンウィークだ! なんも予定無いけど。
情報開示:この記事を書いている時点でKO238株、MO322株、IFF15株、9795x300株保有
(*) ジェレミー・シーゲル『株式投資の未来』瑞穂のりこ・訳 (日経BP)より
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