「そうです、カステルさん」と、彼はいった。「まったく、ほとんど信じられないことです。しかし、どうもこれはペストのようですね」
カミュ 『ペスト』 宮崎嶺雄・訳 新潮文庫そうです、カステルさん。地球温暖化です。やつらは益々跳梁跋扈します。油断大敵です。
というわけで害虫・害獣がもたらす災厄から、人々の家と商業施設を守るペスト・コントロールの雄、今年NYSE上場50周年を迎えるローリンズ(ROL)の2017年度を振り返ります。
年に一度の密かな楽しみ、ROLのアニュアル・レポートの表紙ですが、今年はどういうものかというと…(閲覧注意)
日本じゃさ、KINCHOの殺虫剤のゴキブリイラスト付きパッケージが剥がせるようになったと話題になっておるというのに(『「やっと分かってくれたか」 KINCHO「コックローチ」パッケージを剥がすとイラストなしの真っ白デザインに』)、キミたちは何をやらかしとるのだ。ここまでくるとハラスメントだぞ。
そのうち、ジャポニカ学習帳並みに、色鮮やかなゴキブリの、どアップ写真を載せそうでこわい・・・
しかしアニュアルレポートの表紙を除くと、2017年のROLの成し遂げたことは、なかなかのものです。
*20年連続の増収増益
*相次ぐハリケーンの襲来にもかかわらず(ROLは米国南部を中心にビジネス展開してる)、Revenueはvs LYで6.4%増加
*一般住居のペストコントロールのRevenueは6.4%増
*商業施設のペストコントロールのRevenueは9.7%増…商業関連のBed Bug(トコジラミ)対策が好調。モーテルが増えているのか?
*害獣関連(ワイルドワイフ・・・じゃなかったワイルドライフ・コントロール)のRevenueは14.3%増
*シロアリ関連のRevenueは6.3%増
*Orkinの全支店にBOSSシステム導入完了
*米国南東部のペストコントロール・シロアリ防除(名前からして駆除?)大手のNorthwest Exterminating社買収
*15年連続増配(6年連続の年末特別配当)
また着々と海外(OUS)展開を進めている模様(53ヶ国)ですが、Revenueの92%は米国からです。というわけでシン・ダイトーリョーのTax政策の恩恵を大いに受けます。それで得られる利益を原資に、CRM(おそらくCustomer Relationship management)のBOSSシステムの導入をOrkin Canadaに導入する予定だそうで、ますます顧客訪問するサービスマンたちの業務効率化も進んでいきます。
特筆すべきはTraining MagazineのTop125のリストに載り、これが都合13回目なのだとか。ここがROLの最大の強みです。
ROLは、27,000SQFTのトレーニングセンターを擁し、そこにはホテルの個室や病院、レストランの調理場やスーパー、3つのベッドルームがある家のレプリカがあり、ROLのサービスパーソンは、それらを利用した研修を受けられるそうです。
競合他社を次々に買収し、個々の経験に頼っていた害虫防除技術をある一定レベルにまでスタンダード化し、安定したサービスを提供していきます。そしてそのときに害虫防除は、よく言えばクラフトマンシップ、悪く言えばTribal knowledge頼みの原始的魔術から、サイエンスの域に達するのです。
RevenueとOperating incomeの推移:
数値のソースはモーニングスターのサイト |
財務3表(数値のソースはアニュアルレポートより)
P/LがFY16となっていますが、正しくはFY17です。 |
純利益の利回りは17%。
2017年度の投資キャッシュフローが多いのはNorthwest Exterminating社買収のため。無借金でやっております。そのぶん自社株買いは控えめ。Goodwillが大きくなっていますね。
というわけで、
- 米国の人口動態
- 米国の住宅動向
- 健康意識の高まり (ここは情報源マーリンこと農林中金-農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンドの受け売り)
- 地球温暖化による、やつらの増殖
- ビジネスの安定感(2017年のRevenueの80%は定期的な収入によるもの、たいてい年間契約)
上記を鑑みた時に…ROLを持たない理由はどこにもありません。
えっ!? まだ持っていない?
ふーん、キミは、地球温暖化を、手をこまねいて傍観しているだけなのかい?
情報開示:この記事を書いている時点でROL160株保有
ちなみにWild Wife Controlを提供している企業があったら投資したい…というか、契約したい。
このブログでのROLのその他の記事はコチラ
Appendix
Annual reportより |
Wild Wifeで笑ってしまいましたw
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