どこの社会でも、市場の本来的な原理はたぶん同じだろうと思います。
網野善彦 『日本の歴史をよみなおす(全)』 ちくま学芸文庫
前回『長期投資におけるマーケットに対する考察 その1 -欧州にてー』のつづき。
出張の最終日、お土産屋さんが5時に閉まってしまう前に・・・と早足でVillageに向かっていた私は異変に気が付きます。
なにやら人の気配が・・・それどころじゃなく活気が伝わってくる。何事だとばかりに駆けつけてみると(オレは小学生かよ)・・・
おお! 市(マーケット)が立っている。クリスマスマーケットだ。
あとでこの辺りの事情に詳しい人に聞いたのだけれど、11月の最後の週末からクリスマス・マーケット(アドヴェント、待降節)が始まるらしい。まったく予備知識のなかった私にはうれしい大誤算。
昨日まで閉ざされていた出店(デミセ)小屋もオープンし、クリスマスグッズを中心とする様々な商品がずらりと並んでいます。私がムスメへのお土産にと狙っていた、ばね付きの木製人形も、小屋の屋根から無数につりさげられて、ビヨンビヨンと上下しています。
ホットワインを提供する特設カウンターも設置され・・・いやあ、Village中が大賑わいで、こりゃ、楽しいなあ。
なんか音楽隊まで出没し・・・演奏が終わると近くの特設バーからお酒が差し入れられていた。
ついつい私も楽しくなって約2時間、付近を行ったり来たりして雰囲気を楽しみました。
こういうこじんまりとした規模の賑わいや出店での買い物が私には性に合っていますね。もちろん家族へのお土産も出店で購入。ついつい必要以上に買ってしまう羽目になる・・・なんせお店の人がホントににこやかに喜ぶのですよ。
またもや、カモは、この私のようだ。(参考記事:『為替に対する考察 -欧州にてー』)
えーと、ユーロは・・・このさい無粋なことをいうのはやめておこう。
☆☆☆
私の株式の投資方法は、おもに連続増配する(しつづけるであろう)銘柄を選んで、あとはひたすらホールドが基本です。これが私の性分と現在の生活にあっているのでそうしています。そして向こう数十年はこれらの銘柄を保有し続けます。基本的に。
ここで重要になってくるのは、銘柄の選択ももちろんですが、その銘柄がどこのマーケットで扱われているかも非常に重要になってきます。個別の銘柄は良くても、市場そのものが怪しければ、安心して長期ホールドができません。
マーケットの魅力の一つとして、多種多様な品物を求めて、多種多様な人々が気軽に好きな時に安心して買い物ができる(販売ができる)ことが挙げられます。これらを提供できるのが健全なマーケット(市場)です。
ところが・・・例えば日本のマーケットである東証ですが・・・
ブルームバーグの『大株主「日銀」、17年末に日経平均4分の1で筆頭-ETF増功罪』という記事にもありますように、マーケットへの参加者の構成がいびつになっていたりします。
市場全体を見渡してみても、半数近くがダークスーツにネクタイをした、ええ年こいた偉そうなおっさん連中がしんねりむっつりと理論的に正しい買い物をしており、目を反対方向に転ずるとそっちはほとんどガイジン客が占めていたりして・・・
これじゃ、商店街のはずれの玄関が曇りガラスな怪しいパブみたいじゃないですか。一般市民のいちげんさんが入るには相当勇気がいりますぜ。おまけにぼったくられそうだし。
しかも割と最近まで持ち合い株みたいな「無縁」とは縁のない行為があからさまに行われていたし。マーケットの原理原則からして反故にされとりますやんけ。
あと、新興国のマーケットも・・・
私自身これからこれらの国や地域の人々の経済状態や生活水準が発展するのはまったく疑っておりません。個人的にはフィリピンのファストフードのJolibeeの株式が手に入るようであれば興味津々だったりします。
しかしですね、経済の発展=マーケットの健全化とは必ずしも言えません。前出の東証マーケットが証明しております。その結果としての日経平均株価も、長期で見ると・・・見ての通りです。
おまけにいつなんどき黒いスーツを着た方々がマーケットになだれ込んできて、取引中止な事態になるか不安ですし(参考記事:ブルームバーグ『中国株、売るに売れず-71%の銘柄が売買停止やストップ安』)
これじゃ、違法な怪しいバーに入り浸っているようなもんですな。いつなんどき当局に踏み込まれてアウトになるやもしれず。私のような投資方法をとっているものは、この手の危うきには近寄らないのが無難です。
Josef Winkler氏の作品。ほかの12ユーロの作品を購入したのと引き換えに撮影許可承諾済み。 |
そういった意味では、私のような機を見るに鈍で機動力のない投資家にとっては、米国のマーケットが一番安心です。
まずマーケットの規模がでかいですし、参加者も多種多様で人数も多い、そしてなにより米国人というのは公平さを尊び、ズルを嫌う。
ピーター・リンチのようなグロース株への投資で市場平均に勝ち続ける人もいれば、ウォーレン・バフェットのようにじっくり企業のバリューを見極めて集中投資をすることで世界長者番付の上位になる人もいます。
なにやらズルが行われているとなると、ビル・アックマンのような物言う株主が怒鳴り込んでくるし、空売り王ことジム・チェイノス氏がネクスト・バッターズ・サークルから歩み寄ってきます。
研修医として病院で16時間勤務に就いていたにもかかわらず株式取引で莫大な利益を得て、その取引内容を夜中にブログ更新し、名だたるファンドマネージャーがそれを参考にしたという隻眼の相場師マイケル・バーリのような投資家がいれば、そのブログ内容が気に食わずに排除命令を弁護士を通じて届けたバンガード社に代表されるインデックス投資家もいます。
なかなか市場そのものが怪しい方向に進みづらい環境が整っています。そしてS&P500の長期的な株価が結果的にその健全性をあらわしています。
そして米国そのものは、軍事的にも世界のスーパーパワーです。
これらを総合的に勘案してみると、やはり私のような投資方法をやっているものに関しては、米国のマーケットを主戦場にするのが安心かなと思います。
☆☆☆
などとたわいのないことを、まったく私には無縁の地である欧州は山岳地方の小さな集落(Villageの適切な日本語訳がようやく見つかった)のクリスマスマーケットを、ホットワイン片手にぶらつきながら考えたのでした。
みなさま、Merry Chris・・・Happy Holiday!!
情報開示:とくになし
ブログの排除命令ねえ・・・。その穏健な投資方法とは裏腹の、インデックス投資家がときおり見せる攻撃性というのは、洋の東西を問わないのでしょうかね。このあたりの心理学的な研究が待たれますなあ。
いや、バーリさんのことだから、よっぽどヒドイことを書いたんでしょう。
参考図書:
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