2016年7月21日木曜日

コーヒーブレイク その2 - JMスマッカー (SJM) -

新鮮なコーヒーの香りがした。夜と昼とを隔てる香りだ。
村上春樹 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 文春文庫
先日JMスマッカー(SJM)が11.9%の増配を発表しました。これで19年連続増配です。個人的には大好きな銘柄です。BIG HEART PET BRANDSを買収してから一年以上経ったこともあるし(参考記事:JMスマッカー (SJM)、私立探偵御用達銘柄へ)、良い機会なのでFY16の結果を見てみます。


まずFY16にCEOが交代した模様です。あたらしいCEOはマーク・スマッカー氏、119年の歴史を誇るSJMで5世代目で6人目のCEOとのことです。よく言えばSJMは長期ビジョンに基づいてCEOが舵を取る腰が据わった企業ですね。

ただし裏返せば、同族によるどんづまり経営に陥る可能性も高いと言えますが、これまでのところSJMはそうではなく、もともとジャムの会社だったのがいろんなビジネスを吸収して、どんどん姿かたちを変えていっております。以下のプレゼン資料でもわかるように、ピーナッツバターやコーヒー、そして人間の食品に飽き足らず、イヌ・ネコの領域にまで進出しています。コーヒーのFolgersなんてもともとプロクター&ギャンブル(PG)ですぜ。


SJMの2016年6月のプレゼン資料より抜粋
Net Salesは前年度比37%増ですが、これはBig Heart買収の影響が含まれています。買収や売却、為替の影響を除くと3%増です。Folgersコーヒーやスナック・ピーナッツバターのJifなどでPricingが思わしくないとのことで、まあ、こりゃ、ペットの領域に突破口を求めるのも仕方がないかな。

FY19のセグメントの割合は:


数値の元ネタはアニュアルレポート、外側がNet Sales、内側がProfit
それでも売り上げ的にはコーヒーが一番なんですね。そのコーヒー、前年度比8%増、これは2016年から導入されたDunkin’ Donuts K-Cup®podsが寄与しているそうです。これは家庭内コーヒーでワンカップというカテゴリーが大きくなってきているのにうまく乗っかっているようで・・・


SJMの2016年6月のプレゼン資料より抜粋
ふーん、オフィスだけでなく家庭でもこんなワンカップ用のコーヒーメーカーの需要が増えているんですね。ちなみに私は古色蒼然たるコーヒーメーカー(automatic drip)を愛用しています。ワンカップと言われるとねえ、コーヒーより大関を連想してしまうな。

財務3表。数値のソースはアニュアルレポート、P/Lはつじつま合わせをしています。あくまで概要を把握する目的なので。




わりと重たいBSです。キャッシュフローをみると、Big Heart買収がオオゴトだったのがよくわかります。しばらくは負債の返済に勤しむことでしょう。稼いだキャッシュの40‐45%をdebt repaymentに充てるとのことです。

まあ、なんといいますか、コーヒーにジャム、ピーナツバター、それから聞き分けの良いペットがそばにいて、これで近所に落ち着いた図書館でもあったら、私としては結構満ち足りた人生を送れそうな気がする。

うん・・・? ジャムがあってもパンがなけりゃあ、意味ないな。じゃ、ちょっとあの銘柄を調べてみますかな。

情報開示:この記事を書いている時点でSJM22株、PG83保有

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