米国連続増配当株式の小売店訪問記

「通帳に匂いがしみ込んでいたのよ。なんていうのかよくわからない。とにかく・・・・・・匂いよ。匂い。それを手に持つと、手にも匂いが浸み込んだの。どれだけ手を洗ってもその匂いは落ちなかったわ。どれだけ洗っても駄目なのよ。骨にまで匂いが浸み込んでいるの。今でも・・・・・・そうね・・・・・・そういうことなの」
村上春樹　『土の中の彼女の小さな犬』　（中央文庫　『中国行のスロウ・ボート』に収録）

先日の記事に書いたように、米国に出張してきました。それで泊まったホテルの目の前にLowe's(LOW)のお店がどどーんとそびえ立っていました。目の前といっても歩くと10分はかかるけど。LOWは52年連続増配中の銘柄です。

ホテルに到着したのが平日の夕方4時くらいで、時差ぼけの眠気覚ましにぶらりと覗いてきました。まあ、このお店も巨大というか広大ですね。建築材や園芸品を含むDIY関連が豪快に陳列されています。

私は大工仕事は不得意なのですが、こういう道具を見て回るのは大好きです。米国の商品はワイルドなのが多いですし、見ていて楽しい。しかし、いかんせん長旅直後の身にとってはじっくり見てまわる体力がなく、お店を半周したくらいでギブアップ。

オフィスへの通勤はレンタカーです。約4年ぶりのアメリカなので最初はちょっと緊張。でも出勤に車ってのも、たまにはいいですね。

今回米国外からプロジェクトに呼ばれたのは私一人だけなので、自由気ままに車がつかえます。で、その通勤ルートのハイウェイのそばにホーム・ディーポ(HD)とターゲット(TGT)がどどーんとそびえ立っているのが見えます。

行かない理由はありません。

というわけで、最終日の仕事が午前中だけだったのを幸いに、行ってまいりました。

いやあ、ターゲットのお店を訪れるのは20年ぶりくらいです。なんせこの手のお店は出張や観光で短期で来ていたらあんまり用がないですからね。個別株式に投資していていいことの一つは、半日程度の中途半端な空き時間を有意義?に過ごせることが挙げられますね。

インデックス投資してたら、そうはいきますまい。でも、代わりにもっと有意義なアクティビティができるかもしれん・・・ふむ、インデックス投資家はいつだってスマートだ。

気を取り直して、まずはホーム・ディーポ。まずお店の前の従業員募集中のデコレーションが目を引きます。景気いいんじゃないですかあ。

わかりにくいですが、黄色くNow Hiring!とあります

陳列されている商品はLow'sと似たような感じです。違ったのは店員の反応。以前ホーム・ディーポ(HD)のレビュー　（2015年1月）で書いたように結構従業員の教育に力を入れているようです。そのせいかやたら愛想よくCan I help you anything?とかニコニコしながら声を掛けられます。Lowe'sはここまで愛想よくなかった。たまたまかもしれませんが。

Lowe'sと同じく平日の午後3時ごろに行ったので、だだっ広い店内に客が私を含めて2-3人しかおらず、逆に店員の数のほうが圧倒的に多かった。店員はけっこう年配の方が多く、孫を見るような目つきで接してきます。いったんリタイヤ後、再就職してみたみたいな雰囲気です。なーんも買うつもりがない私はすっかり恐縮してしまい、這う這うの体で脱出しました。なかなか手ごわいぜ。

次に広大な駐車場を車で横切って、カナダから粛々と撤退中のターゲットへ。午後3時半。

ここも店の前に従業員募集中の垂れ幕がありました。

みな頑丈且つでっかいショッピングカートを押しながら買い物をしています。まだ時間が若干早いせいか、日本のスーパーでの買い物に慣れたものにとっては、とっても閑散としたイメージです。

商品は生鮮食料品からちょっとした家具や電化製品、衣料まで、だいたいイトーヨーカ堂やイオンがカバーしている範囲と同じです。日本が3階建てなら、米国ではこれらをフラットにワンフロアにした感じ。なのでひろーく感じます。

店舗もそうだけど商品そのものもでかい。久しぶりに米国のこの手のお店を見てちょっとめまいがしました。なんかSF巨大生物の島に足を踏み入れたみたい。とくに大きいと感じたのが衣料洗剤の容器で、その付近に行くとあまったるい香料がぷーんと漂ってきて、ああ俺はアメリカにいるんだなあと実感します。

香りや匂いって、一瞬で人の記憶を蘇らしますね。20年前の留学時代の情景がありありと目に浮かんできました。

ペット用品付近では、おお、これはJMスマッカー(SJM)が買収したBIG HEART PET BRANDSの犬用スナックMilk-Boneが一番目立っておるではないか。

手前の赤いのがBIG HEART PET BRANDSの商品

しばらく前に中国産のペットフード食べたペットが死んだとかいう騒ぎがありましたが、そのせいかパッケージには、アメリカはニューヨーク（州）産と強調されていました。

あと面白かったのはスポーツコーナーにウィルソンの廉価テニスラケットがあったのですが、おやどこかで見かけた人が・・・

Go Nishikori !!

あと日本では（おそらく）お目にかかれないクロロックス(CLX)の商品群勢揃いシーン。

というわけで約一時間弱店内をブラブラしていたけど、なんか留学時代の記憶がよみがえってきたりして楽しかったなあ。はたから見ると私の行動は怪しかったろうけど。 

で、6時から夕食の約束があったので帰路についていると、なんと、ハイウェイの反対側にウォル・マートがあるのを発見!　まさかこの地にウォル君がいたとは!!　私は西友を除けば行ったことがないので、ハイウェイをUターンし、ウォル・マートに向かいました。午後5時過ぎ。

まず気が付いたのが駐車場での車・・・時間帯のせいかどうか知らないけど、さっきのターゲットより混んでいて・・・それらの車の見栄えが先ほどとはいささか劣る・・・こころなしかお客さんの身なりも。そういえばターゲットの方がウォルマートよりはハイエンドと聞いたことがあるのを思い出す。それが表れているのかな。

オムツコーナーでもPampersより廉価なLuvsの方が目立っていた気がする。先入観が入っているのでちょっと怪しいですが。

でもその分生鮮食品や衣料の陳列とかは雑多な迫力が感じられて、私はこちらの雰囲気の方が好きです。

ああ、ウォルマートが近所にあると知っていたら、ターゲットと商品の価格の比較とかしてみたたかったけど、ぬかりましたなあ。休日にどれだけ混むのかも見てみたかった。

またしても日本ではお目にかかれないクロロックスの商品群。

そんなにまでして何を漂白するのか。

時間の都合で20分ほどで退散。駐車場の向こうではウォル・マート傘下のSam's Clubもあったけど、行くのは断念。長年のアメリカ人の朋友との夕食に向かうため、急いで立ち去ったのでした。

情報開示：この記事を書いている時点でTGT43株、SJM22株、WMT140株保有

このブログでのTGTの記事はこちら、SJMはこちら、WMTはここ、CLXはこちらにまとめてあります。