2015年1月19日月曜日

身嗜みは足元から - ウェイコ・グループ (WEYS) -

「靴なんか―」
「ああいう企業トップたちの靴を見ろ。息苦しいほどぴかぴかだろう?あれは彼らのこころの砦だ。だから、俺はよく彼らの靴を見る。長期間の取り調べが続いて最後に彼らが落ちるときは、靴も輝きを失っていることが多いものだ」
「だから?」
「だから? ―さあな。写真に写っていた君の姿がちょっと心もとなかったんだろう。とにかくもう少し靴を磨け。見ていられない」
「だったら見るな。ウィスキー、呑むか?」

高村 薫 『レディ・ジョーカー(中)』 新潮文庫
米国に出張する際には気をつけなくてはならないことがあります。 

私の場合、顧客に会いに行くとかではなく、本社での会議とかが多いです。基本的にビジネスカジュアルで、襟のついた派手すぎないシャツにチノパンみたいな格好をします。

そのさい、①シャツの裾は必ずズボンに入れる、②靴は磨いておく、③靴のかかとを直す、を必ず行います。これらが守られていないと、米国人のカウンターパートが、あんまり私を見てくれなくなります。 いわゆるひとつのマイルドなOut of 眼中(死語)ですな。

①はポロシャツであってもそうです。でも、夏でも会議室はいささか寒すぎるくらい冷房が効いているので、ポロシャツは着ないですが。

②と③ですが、やはり日本を含むアジア諸国の靴への対する意識は、やっぱり低いですね。バリッとしたスーツを着てても、かかとが昭和の子供の刈り上げヘアスタイルみたいになってしまった人をたまに見かけますが、正直痛々しくて見ていられない。

靴は、高級でなくてもいいのですが、きちんと手入れだけはしておきましょう。とエラソーに言ってはみたものの、私も最近海外へ出張がないので、手を抜き気味です。砦も何も、加納検事にかかれば3分で完落ちまちがいなしですね。

ウェイコ・グループ (WEYS)

1906年にウィスコンシン州にてWeyenberg Shoe manufacturing Companyとして設立、1990年に現在の名前に変わった、33年連続増配当中の靴の流通に携わる企業です。2013年末時点で従業員数は599人。

扱っているブランドは以下の通り。 
  • Florsheim
  • Nunn Bush
  • Stacy Adams
以上3つは紳士靴。知っているのはFlorsheimくらい。留学中のときに、そろそろ卒業で就職先も決まっていたころ、ビジネスシューズでも買おうかなと田舎のショッピングモールの靴屋さんを覗いたら、Florsheimがありました。

結局その時は購入しませんでしたが、田舎のモールにあるダサイ靴という偏見と先入観を今の今まで抱いていました。でもネットで調べたら、男のマジメ服というサイトにFlorsheimに関する記載があって、ありゃりゃ、結構な老舗なんですね。ヴィンテージものもあるみたい。 

ただ私の感覚じゃ、米国でそんなに服装にこだわらない人が、なんとなくチョイスするブランドというイメージです。合っているかどうかはわかりませんが。

  • BOGS
  • Rafters

アウトドア用のシューズやサンダル。Raftersのサンダルは、留学中愛用していたかもしれない。

  • Umi
子供用の靴。

セグメントは以下の通りです。

数値はアニュアルレポートより
ほとんど北米で私好みです。それ以外の地域ではオーストラリア、ヨーロッパ、南アとのことですが、それらは上記のOtherに含まれます。

Retailでは17の直営店およびネットでの販売です。

靴そのものの生産は、おもに中国やインドにある3rd Partyから完成品を購入しているようですが、近年は人件費等コストが高くなっていて、ちょっとつらいようです。

Revenueの推移。


ソースはモーニングスターのサイト


2011年度からRevenueが増えているのはThe Combs Company (BOGS/Raftersブランドの会社)を買収したため。ただ金融危機あたり以降、マージンは低い状況が続いています。上記に述べたコスト上昇が響いているっぽいです。Pricingに転嫁できるほどのブランド力はなさそうな感じですね。

一株当たりの指標。

ソースはモーニングスターのサイト
 まず2013年度の配当額が減っているように見受けられますが・・・これは税制(Tax law)の変更が予想されたため、2013年分を前倒しで2012年に支払ったためだそうです。均すと増配は継続中という理解です。

2010年のフリーキャッシュフローがマイナスなのはThe Combs Companyの買収の影響と考えます。

BSを見ると、

数値はアニュアルレポートより
純資産が多くて新鮮。なんだか日本企業みたいですね。あんまり日本企業のBS覗いたことないけど。

さて最近の動向ですが、11月のプレスリリースによると、14年度第三四半期は、North AmericaのWholesaleでみると、SalesとEarning from Operationが前年比5%アップ、とくにBOGSブランドが37%増だそうです。

逆に紳士靴のNunn BushとFlorsheimがそれぞれ12%と9%減。

米国では、アウトドア志向が高まりつつあるのかなあ?The Combs Companyを買収しといてよかったですな。今後の紳士靴の動向には興味があります。注視しておこう。 米国の景気と相関関係が発見できるかもしれません。景気の砦も足元からだったりして。

個人的には、広く一般的な靴を提供するという意味で、逆に安心感がある企業という印象ではあります。間違っているかもしれませんが。WEYSは地味だけど長期的に保有して、配当を得る分にはよい獲得候補となります。

情報開示:とくになし

それにしても日本の靴メーカーは、もっと幅の狭いサイズを出してほしい。日本人が総じてデカすぎる靴を履いていることはもう調査済みでしょう。客の嗜好に迎合するんじゃなくて、きちんと啓蒙活動しないと、ますます接骨院や整体サロンに患者があふれることになる。ひいては財政に影響しますぜ。

Quality of Lifeも足元からです。

Appendix
数値はアニュアルレポートより










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