私たちは選択をするたびに未来の可能性に賭けている。自分の決定から生まれる未来の自分が成功することに賭けているのである。意思決定という賭けの目的は、未来の自分が手にするリターン(お金、時間、幸福、健康など、その状況で自分にとって価値のあるもの)を、他のどの選択肢で得られる分より大きくすることである。
アニー・デューク 『確率志向』 長尾莉紗・訳 日経BP社
上記の文章のあとに、誰もが当然抱く疑問である
だが、どうすれば自分にとって最善の選択をしているとわかるのだろうか
という一文が続きます。あさはかな本であれば、そういう疑問を出すまでもなく、こうすれば万事OK的な明快な答えを見出しに持ってくるのですが、そこは世界最高峰の大会での優勝経験を持つ元ポーカープレーヤーのデューク氏、至極まっとうな回答をしています。
答えはもちろん、「わからない」である。
決してコントロールできない運や偶然といった不確実なものが物事の結果に必ず介在してくるから、「わからない」のです。
そして人々は(もちろん私も含む)往々にしてその結果にとらわれてしまいます。とくに現在のネットやSNSは結果論を増大させる格好のツールであるので、その傾向は益々高まりつつあるように思います。
自分自身の家族をもった今では、以前の独身での気ままな一人暮らしのときと比べると物事の選択における不確実性は指数関数的に増加しており、また意思決定のプロセスも複雑になっており、そしてそれらの決定による結果の解釈は様々で、もうパパはけっこう大変です。
たくさんの制約がある中で、客観的にみてより確実と思われる選択肢を、都度都度の結果にとらわれないように留意しながら選んでいくしかありません。真実は長期で姿をあらわすのです。
Zoetis Inc. (ZTS)
(株)MonotaRO (3064)
Graco Inc. (GGG)
(株)SHOEI (7839)
GGGの放出およびZTSの追加は、6224の獲得の余波に過ぎません。ひとえにポートフォリオ内のメンバー数を増やしたくなかったからになり、GGGより6224やZTSがよいと考えたわけではないです。
なお、このアクションで余ったキャッシュは$MMFにしています。
また6501をほんの少し減らし、そのぶん3064を増やしました。AI・データセンター方面への期待が若干過熱気味と判断したのと、3064の株価がストライクゾーンに入ってきたためです。
さらには7839を全放出し、3064を追加しています。7839そのものものはまったく問題はないと思うのですが、企業文化の構築という角度から見ると、私としては3064の方が理解・フォローしやすいので資源を集中しました。これもポートフォリオ内のメンバー数削減のために行ったアクションです。
このアクションで余ったキャッシュは楽天マネーファンドにしています。
この一連の動き - 6224の獲得とその余波、ならびにその他調整 - を1パンチとしてカウントします。この結果、2035年度末までに私に残されたパンチカード(『私に残されたパンチの機会』)の残数は一つになりました。自分では長期的にみてよい選択をしたつもりではありますが、どうでしょうか。
★★★★☆
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The 3rd Man's Fundのポートフォリオは以下の通りとなっています。日米10/31終了時点、1ドル153.99円で計算。
ROCE(私の計算)は過去10年のMedian、Debt/Equity Ratioはモーニングスターから取得。円グラフでは$MMF、楽天マネーファンド(RMF)も含めています。
メンバーのイコール・ウエイトでの初回獲得からの保有日数平均は1,369日。
最長はROLで3,438日、最短は6224で66日。
2025年度以降に放出された株式の保有期間は以下の通り。
FND:1,067日
GNTX:189日
LSTR:444日
MKC:3,787日
3835:1,237日
GGG:692日
7839:707日
計算にはこれらも含まれています。
2034年四月末にイコール・ウエイトで平均3,650日が(あくまで結果的な)目標です。
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FY26の第二四半期の各株価のパフォーマンスは 以下の通り(為替考慮せず)。
あくまで7月末時点の各株価との比較になります。平均取得価格に対する含み損益ではありません。
The bottom three performers
- (株)MonotaRO (3064)
- (株)JRC (6224)
- Watsco (WSO)
3064は主に工場関節資材を卸業者・メーカーから仕入れ、ウェブサイト経由でエンドユーザーに直接販売しているeコマース企業。2028年5月には水戸DCも新たに稼働予定とのことで、品揃え+スピードという障壁を着実に強化していると考えます。
前述したように期間中に株式を追加しました。
5 - 10年後には、3064が突然消失したらガテン方面が即時に立ち行かなくなるほどの見えない存在感を誇っていることでしょう。
6224は屋外用ベルトコンベヤ部品の販売・保守メンテで国内トップシェアを誇るメーカー。
期間中にプラント設備、公共施設の水処理・焼却場における機器の据え付け・更新・修繕を行っているセイコーテック社を子会社にしています。
WSOは米国でのHVACのディストリビューター。もともとはHVAC関連の部品メーカーだったが、1989年にディストリビューターの買収を開始し、以降70社を傘下に収めてきたベテランの同業他社serial acquirer。
8月のInvestor Presentation資料をみても、2024年のQ1と比較して、Revenueベースでは同業他社との差は縮まっていません。
The top three performers
- (株)日立製作所(6501)
- KeePer技研(株)(6036)
- The Home Depot, Inc(HD)
6501は世界的規模でインフラ課題解決事業を営む会社。日本がかつてない金融緩和政策を行っている間に、しっかりやるべきことをやってきた上場企業。ご多分に漏れずデータセンター関連が好調のようです。送配電にせよ鉄道にせよ、サービスの比率が上がってきているのがよいですね。
6036は洗車・カーコーティングの材料製造卸と施工サービスを提供する企業。車やバイク以外のもの(スマホや風呂とか)のコーティング材も扱っています。
2024年8月に出光興産と業務提携をし、11月からフランチャイズ募集を開始したところ、スタンドや新車ディーラーを経営する企業約50社・100店舗以上から申し込み・適合検討の申し入れがあったとのことです。現在の日本ではどちらかというと斜陽産業であるスタンドの経営にも付加価値をしっかり提供しています。
私の投資方法からいくと、ソフト99関連の騒動は、ノイズに過ぎません。
HDは米国の、ちょっとあっけにとられるくらいにどでかい総合型ホームセンター・チェーンを展開する企業。こちらも3064同様、スピードと品ぞろえにフォーカスしています。とくに今回コメントすることはないですねえ。
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【教育準備金】
「汝の父を敬え」作戦は、NISAを利用し、投資信託の積み立てを引き続き毎月行っています。1st Frontはムスメ(10)向け、2nd Frontはムスコ(7)向けです。いまのところ積み立ての金額は維持しています。
積み立て投資枠
- 楽天・S&P500インデックス・ファンド (1st Front)
- コモンズ30 (1st Front)
- 農林中金<パートナーズ>長期厳選投資おおぶね (2nd Front)
成長投資枠
- スパークス・新・国際優良ファンド (2nd Front)
ムスメはねえ・・・中学受験の塾に通いはじめたのはいいですが、さっぱり成績があかん。算数も国語も全部だめ。私も人の事は言えんが、「お勉強」のセンスはないと思われる。
ただ塾通いそのものは楽しいようです。私もビール片手に彼女を迎えに行くのが楽しいです。
ムスメは絵を描いたり工作したりするのが好きで、通信簿もそこのところは◎が付くことが多いです。だから、もっととんがった芸術方面に行く方がええんとちゃうかな、と思ったりします。
AIが台頭してきたこのご時世、そこそこの教育機関に進んでいったとしてもなあ...
ま、お受験はワイルドワイフたっての希望なんで私としては唯々諾々と従うしかありません。ムスメのような性格だと、中高一貫でノビノビ通った方が絶対いいのだとか。
たぶん彼女は将来いろいろ苦労するでしょう。私がそうであるように。
ムスコは毎朝家を出る前に、玄関先にグローブ(ドンキで買った、ほとんどおもちゃに毛の生えた程度のもの)とバット(少年野球チームの先輩のお古)、それから友達に配るおやつ等々を詰め込んだバックパックを玄関先にセットしておき、下校したら間髪入れずにそれを背負って外へ飛び出していきます。
暗くなるまで年齢の垣根を超えた友達と遊びまくっております。仲間なしでは間が持たない性格ですね。道すがら顔見知りとすれ違うたびに「おい、今日遊べる? えっ‼ ムリ!? なんでだよ!」と声をかけまくっています。この社交性のよさは誰に似たのだろう。
そろそろ、ちゃんとしたグローブを買ってやるべきか。
あと姉のおさがりの古びた自転車もボロボロです。友達はみな格好いいのに乗っているし。
それを言うなら、オレもそろそろくたびれたママチャリ(前後チャイルドシート付)を買い替えたい。
アニー・デュークさんや、『確率論的思考』(日本実業出版社)の著者の田淵直也さんは、なにかの選択をするさいには、客観的になること、感情をできうる限り排することが重要と述べていらっしゃいますが、家族のこととなると、いや、これがなかなか難しい。
【リタイヤ準備金】
企業型拠出年金でMSCIコクサイ指数に連動するものとTOPIXに連動するインデックス投信(まともなアクティブ投信がラインアップされていないので)を積み立て中です。また以前には一時期個人型もやっていましたが、そちらではMSCIコクサイ指数に連動するものと農林中金<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねを積み立てていました。それはそのまま保有中です。
これに付け加え、以前勤めていた会社(グローバルなヘルスケア企業)でESPPを通じて購入していた株式もそのまま保持し続けていてます。
【ささやかだけれど、役に立ってほしいこと】
上記以外の「投資」は下記のプログラムを通じて行っています。
【株式投資を含むThe General Lawをつかむための知識習得】
課題図書のアップデート。読む順番は変わる可能性高し。
サイエンスは:
- 種の起源 / チャールズ・ダーウィン(読了)
- 利己的な遺伝子 / リチャード・ドーキンス (読了)
- 進化と人間行動 / 長谷川寿一・長谷川眞理子・大槻久(読了)
- 学びなおし高校物理 挫折者のための超入門 / 田口義弘 (読了)
- 儲かる物理 / 鈴木誠治 (読了)
- 生き物の「居場所」はどう決まるか / (読了)
- 生物から見た世界 / ユクスキュル、クリサート (第六章まで読了)
- 教養としてのエントロピーの法則 / 平山令明
- 大学生物の教科書シリーズ / デイヴィッド・サダヴァ
- 思考改善ドリル / 植原亮
人文は:
- 人類の起源 / 篠田謙一 (読了)
- 神々の沈黙 / ジュリアン・ジェインズ(読了)
- 言語の本質 / 今井むつみ、秋田喜美(読了)
- 千の顔を持つ英雄 / ジョーゼフ・キャンベル(読了)
- 風土 / 和辻哲郎 (読了)
- 日本社会の歴史 / 網野善彦(上・中巻読了にて一旦終了)
- 日本の歴史をよみなおす / 網野善彦 (読了)
- 詳説 日本史研究 / 五味文彦 高埜利彦 鳥海靖 (戦国時代まで読了)
- 日本思想史 / 末木文美士 (第六章まで読了)
- 無縁・公界・楽 / 網野善彦 (本編読了)
- 信長公記 / 和田祐弘
- 神々の明治維新 / 安丸良夫
- 銃・病原菌・鉄 / ジャレド・ダイアモンド
- 万物の黎明 / デヴィッド・グレーバー
- 詳説世界史研究 / 木村靖二 岸本美緒 小松久男
- サピエンスの未来 / 立花隆(一度読んだことあり)
株式投資およびその周辺は:
- 確率論的思考 / 田伏直也 (読了)
- 確率思考 / アニー・デューク(読了)
- 真のバリュー投資のための智慧と実践 / 柳下佑紀 (スポットで読書中)
- Poor Charlie’s Almanack チャールズ・T・マンガーの金言 / チャールズ・T・マンガー (スポットで読書中)
- Rule Breaker Investing / David Gardner (Part I 読了)
私の場合、晩夏から秋にかけては、どうしても歴史の方に偏ってしまいます。
なんとなく南北朝から室町時代にかけては私にとって印象が薄かったのですが・・・
このあたりから、どちらかというと庶民の間で現在の日本人に相通じるものの考え方やベーシックな価値観が形成された大事な時代だったんだなあ・・・とイメージが変わってきました。いわゆる神道的な思想もこのころが黎明期のようで。

『無縁・公界・楽』も興味深く読了。著名なファンドマネジャーだった藤原敬之さんの本でおススメしてあっただけありました。
網野さんの『日本の歴史をよみなおす』や神崎宣武さんの『神主と村の民族誌』を読んだ時にも感じたのですが、戦後の教育によって日本の歴史はずいぶん漂白されてしまっているんじゃないかと思います。
ま、戦前戦中からの反動がでるのは仕方がないことだったとは思いますが。
それだけではなく・・・日本では施政者がなかなか取り込めなかった「無縁」な人々・風習は記録に残らず、ときには彼らの勢力をそぐために権力側が意図的に蔑視させたのでは、という印象を受けています。
ただ歴史を動かしてきた力の源は、記録や教科書に載らない「無縁」な人々であったりするわけで・・・実のところ時の権力者はその動力に対してリアクトしているにすぎないのかもしれない。
現在では、日本に限らない話ですが、頭でっかち啓蒙系と「原始の自由」継承者たちの綱引きで世が動いていますね。
思想的な右か左かではない気がする。てなわけで啓蒙系の『銃・病原菌・鉄』を読んだら、ブルシット系の『万物の黎明』にチャレンジしよう。
いくばくかのお金を握りしめて株式市場(市庭)に足を運べば、(可哀そうな)プロを除けば誰でも「有縁」の束縛から解放されます。個人投資家にとっての株式市場という場は、アジールなのか、それともサードプレイスなのだろうか?
ちなみに2011年に出版された藤原さんの『日本人はなぜ株で損するのか?』(文春新書)は、もっと話題になってもいい名著だと思います。
『確率論的思考』で取り上げられていた織田信長に対する考察が非常に興味深かったので、『信長公記』を買ってきました。『詳説 日本史研究』はいったん小休止で、寄り道する予定。
「人生はチェスではなくポーカー」とアニー・デューク氏は言っていますが、日本風にアレンジすると、人生は実力差がはっきりと結果につながる将棋ではなく、不確実性の高い麻雀なのかもしれない。まったくの未経験なのだけど、ちょっと麻雀やってみようかな。
『Rule Breaker Investing』はね😆、アタマがしんねりむっつりになってしまわないように😁
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